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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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堺雅人&香川照之は、公開された2012年より前の『ゴールデンスランバー』『南極大陸』で共演を観ていたはずなのに、それらはまったく印象にありません。このふたりといえば、なんといっても『半沢直樹』です。今年の春、ようやくこの顔芸コンビを拝めるとあって楽しみにしていたのに放送延期になってしまい、ガッカリしました。
それもあって、ヤスオーが観てから6年、ずっと薦められていたこの作品をやっと鑑賞してみたのです。
監督・脚本は『運命じゃない人』の内田けんじ。さすがの構成力です。導入からエンディングまでいっさい無駄がなく、きれいにスッキリ爽快な気分でラストを迎えられます。
なんといっても、主演のふたりです。堺雅人は半沢直樹とは思えないほどダメ人間でしたし、香川照之も記憶喪失による子犬状態と必殺仕事人の二面性をサラリと演じていました。もともと自然に上手い俳優だったはずなのに、日曜劇場ではゲップが出るほどくどい演技の連続だったので、ひさびさに演技派俳優・香川照之を堪能できました。
そして香川照之が堺雅人に演技を指導するという、稀にして贅沢なシーンも。演技の下手な俳優志望の桜井をわざとらしくなく下手に演じる堺雅人はさすが演技派俳優…というわけのわからない状況。
さらに、恋に落ちる香川照之を観たのははじめてかもしれません。殺されたり結核だったり泥まみれだったり大和田常務だったりする香川照之しか知らなかったので、新鮮でした。『運命じゃない人』よりラブストーリーの色が強くて、個人的にはこちらの方が好みです。
そのお相手を演じたのが広末涼子。実年齢より若く見えるし、その歳まで結婚できないのが不自然なくらい画面に映えて美しい(職場の男性に想われているような描写もあったとはいえ)ので、もう少し年増で色気のない女優が良かったような気もしますが、身体の整ったバランスと姿勢の良さは几帳面な香苗という人格そのもので、コンドウに惹かれていく様子や最後の切ない表情も良かったです。香川照之とのツーショットも意外にしっくりきていました。
こうなると半沢直樹で3人の共演を観てみたくなりますね…。
つくづく、この状況が悔しいです。







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原作の最終話ですからこれでFINAL、伊藤淳史&仲村トオルのコンビも見納めです。このふたりの軽妙なかけあいが好きだったので、ちょっと残念。しかしテレビドラマの延長版を映画にする意味があったのかと言うと…まあ、そこはナゾですが。
物語はAiセンター設立をめぐるサスペンスですが、このドラマは田口&白鳥コンビをはじめ個性的な登場人物がめじろおしで、医療の抱える問題よりも彼らのくり広げるやりとりを楽しんできたところがあるので、犯人さがしメインの映画ではドラマ版『チーム・バチスタ』の魅力は半減していたと感じます。1クールのドラマと映画では割ける時間が段違いですから、仕方ない部分はありますが、せっかくFINALなのですから、田口&白鳥をもっと楽しみたかったというのが本音ではあります。
また、物語の鍵を握っていたのが桐谷美玲。同じく伊藤淳史と共演していた『あぽやんでの鼻っ柱の強いOLはかわいかったのですが、心に闇を抱えた犯人役は荷が重いと言うか…あの演技力ではさすがに厳しいものがありました。ミスキャストだったのではないですかね。仮に2時間ドラマだったとしてもキツイです。
さらに原作者が同じなせいか、オチが『ブラックペアン』とかぶっていました。これは先に観ていたから仕方ないですかね。
『螺鈿迷宮』がそれまでのバチスタシリーズと較べて重いテーマで見ごたえがあっただけに、思い入れのあったすみれ先生の顛末が気になっていましたが、割とアッサリ片づいてしまいました。
うーんなんだか、すべてが中途半端で、1クールでじっくり観たかったような気がします。
ただ生瀬勝久だけはパワー全開で、バッチリハマっていました。さすがです。





ジャケットには犯人探しを煽るような言葉が書かれていますが、それが主題ではありません。「誰が」という点では、キャスト的にも立ち位置的にもすぐ(なんなら登場した瞬間に)目星をつけられますし、「なぜ」殺したのかについてはいっさい語られません。むしろ、直接手を下していない人間たちが、彼女を死にいたらしめたのは自分だと悔やみ、苦しみ続けます。
人は、時に自分ではどうにもできないことに直面します。亜弓の死もそうですし、勝美の病気もそうです。勝美が妻を救えなかったことも、美波がいじめにあったことも、郁男が亜弓殺しの犯人と疑われたことも、そして郁男の依存症も、もはやみずからの力だけで避けられるものではありません。
人生はそういう荒波の連続です。
だから人は凪を待つしかないのです。
夏の、海の見える町。美しく映し出されるはずのその景色は、どこか不穏で重たい空気に包まれています。
かつてこの町は津波によって破壊されました。多くの命が奪われました。あれから世界は変わりました。美しい海を美しいと感じてはいけないような、どこか後ろめたさを憶えるような、そんな世界になりました。
郁男を演じた香取慎吾の纏う空気感に通じるものがあります。
トップアイドルグループの一員として、さらにその中の末っ子的存在として、香取慎吾はいつも光り輝いていました。
しかしそのあかるさの奥深く、誰も知ることのできない場所にある暗い塊のようなものを、その笑顔の下に感じていました。さまざまなバラエティやコメディドラマの「慎吾ちゃん」がスポットライトを浴びる一方、『聖者の行進』や『ドク』の「香取くん」が見せる脆くあやうい繊細さは、まるでアイドルとしての彼の背後にできた影の世界に生きるもうひとりの彼のようでした。その二面性こそが、香取慎吾の魅力なのかもしれません。
そして郁男という男も、ギャンブル狂でヒモで心弱いダメ人間でありながら、恋人の娘である美波に慕われる人懐こさもある、二面性を持った人間です。
そして白石和彌監督は、彼の奥深くにひそむ暗い塊を容赦なくひっぱり出します。次々と降りかかる禍にもまれ、堕とされ、苦しむ郁男の姿は、いつしか香取慎吾と重なっていきました。彼にしか演じられない役柄だったと強く感じます。
郁男はどうしようもない男です。勝美が命のように大切にしていた船を売って作ったお金さえ、ギャンブルに溶かしてしまいます。しかし因果応報という言葉は、この町にはありません。もう、なくなりました。すべてはあの日に消え去ったのです。
それを知る勝美は、絶望する彼に手を差しのべます。娘の亜弓がそうしたように。かつて妻にそうされたように。
運命のすべては海のようなもの。荒波は去り、やがて凪がやってくる。
郁男の凪は、海を臨むその家にありました。
今は静かなその海も、いつまた牙を剥くやもしれません。それでも人は希望を失わず、今日も海に抱かれます。
何もかもが不確かなこの世界で、生きていくために。











『きっと、うまくいく』と同じインド舞台の作品で、インド社会を反映した作品です。
しかしフランスとの共同作品だけあって、『きっと、うまくいく』のような賑やかさは皆無であり、ヨーロッパ映画的な静けさと芯の通った強さを感じました。
農村出身の未亡人ラトナは、ムンバイで建設会社の御曹司アシュヴィンのもとでメイドとして働いています。細やかな気遣いで熱心に働くラトナに対し、アメリカ帰りのアシュヴィンは素直に感謝の意を示し、空き時間に仕立て屋で働きたいというラトナのお願いも難なく許可します。
寡婦は婚家に仕え続けるという村の掟に縛られながらも、口減らしに追い出された先のムンバイで妹の学費を稼ぐために働き、デザイナーになりたいという夢を持つ前向きなラトナに惹かれていくアシュヴィン。階級社会であるインドらしからぬ旦那様の優しさと好意を、とまどいながらもラトナは受け入れます。しかし主人とメイドという立場が変わることはありえません。ラトナはアシュヴィンを拒絶し、家を出ます。
身分差のあるラブストーリーは、障害を乗り越えて結ばれるか、涙にくれながら別離を選ぶかの二択しかないと思っていました。ましてや舞台は差別意識の色濃いインド。ふたりがハッピーエンドを迎えられないであろうことは、わかっていました。
しかし、祝福もなければ悲しみもない、けれどこれほど最良のエンドがあろうとは思いもしませんでした。
階級もそうですが、インドにおいて女性の地位はきわめて低い印象があります。ましてやメイドであるラトナは、アシュヴィン以外の富裕層には人間とも思われていません。勝手に水や料理を持ってきたり部屋を片づけたりする何かです。しかし彼女は人間です。夢もあれば意志もある。わずか二畳ほどながら自分の部屋には神棚を飾り、そこで目を輝かせながら自分の作りたい服を作りました。ひとりの人間としての彼女の心がはっきり伝わってくるにつれ、アシュヴィンは彼女に惹かれていく自分を抑えられなくなっていましたが、彼の友人は、彼と彼の想いを尊重するからこそ自重をうながしました。
そしてラトナもまた、自分たちの恋が世界を変えることなどできないことをわかりきっていました。
そう、どれだけの熱量をもってしても世界は簡単に変わらない。
それでも自分を変えることはできる。ラトナとの結婚を諦めたアシュヴィンが別の場所からラトナを支えることを決意したように。それを知ったラトナが彼を「旦那様」ではなく「アシュヴィン」と呼びかけたように。小さな歩みが、ムンバイの片隅で起きていました。
禁断の恋、というテーマほどのドラマチックな展開はありません。淡々と、ひとりの女性と彼女を想う男の織り成す心模様が紡がれます。ムンバイの発展した街並みとラトナの故郷の農村、アシュヴィンの仕事場の無機質なコンクリートとラトナが纏う鮮やかな布地の色彩というコントラストが、それぞれふたりの置かれた環境を示唆しているようでもありました。
自立した心。世界のすべてはそこから広がっていくのかもしれません。







・麒麟の翼~劇場版新参者~:★★☆☆☆
 
ミステリーの面白さよりも、親子の絆を描いた感動物として作っているように見える作品で、僕はひとつも感動してませんから、大した映画じゃないんでしょうね。それ以外にもいじめだの非正規雇用だのマスコミだの色々なテーマが詰め込まれているんですが、どれもこれも浅い切り口とつまらない着地点なので心に響きません。時間が長くなって冗長に感じただけですね。

・ジュマンジ ウェルカムトゥジャングル:★★★★☆
 
キャラクター設定もベタだしストーリーもわかりやすいので、まさに暇つぶしには最適の映画です。前作とはまったくテイストの違うノリの軽い映画になったので批判する人もいるでしょう。しかし、僕は前作の「ジュマンジ」も観ていますが、むしろこっちの方が面白かったですね。ジャングルとTVゲームの要素はあまり上手に使えていなかった気がしますが。

・バッドジーニアス 危険な天才たち:★★★☆☆
 
評判通りのいい映画ですね。カンニングシーンは、当然ですが試験中の場面なのでセリフがないんですが、かなりの緊張感が伝わってきますので、この監督は上手いんでしょう。ただ、リンによりカンニングに手を染めた、元々は真面目なバンクが最後悪人になって、リンは父のおかげで良心に目覚めたエンディングが、これは好みなんでしょうが、すっきりしなかったです。

・ドラゴンクエスト ユアストーリー:★☆☆☆☆
 
この監督は、ドラクエのようなゲームにハマる人は、現実世界では能力もないし努力もしないし成功できない人とバカにしてるんでしょうね。そうじゃないとあの終盤の展開は思いつかないです。確かにこの監督は色々な映画をヒットさせている成功者ですが、僕のようなドラクエ好きは、いい女を抱いたりいい車に乗るよりも、ドラクエをやっている時間の方が幸せですから。

・凪待ち:★★★★☆
 
ミステリー部分が弱いですね。キャストで犯人が想像できるのは仕方ないですし、動機やその場面を詳しく描かないのもありですが、やはり引っ掛かりますね。人間の堕ちていくさま、再生していくさまを描くのはこの監督は上手いので、いい映画なのは間違いないですが。主役の香取慎吾も、演技力うんぬんではなく役柄にはすごく合っているので、良かったと思います。


・トイストーリー:★★☆☆☆

話自体は面白いと思いますし、それぞれのキャラも個性があって良かったですが、ウッディが本当に僕が最も嫌いな性格で、いくら後からバズを助けようと友情が芽生えようと最初から最後まで嫌いでしたから、まったく感動できなかったですね。3はすごく好きで、4はまったくハマらなかったのですが、結局は僕がその作品のウッディを好きになれるかどうかですね。

・ゾンビランドダブルタップ:★★★☆☆

前作の10年後に作られた続編なのですが、前作とノリも雰囲気もラストもまったく変わらないですね。ただ、この映画は、変わらない所がいいような気がしますね。最後ファミリー4人が全員生き残って、どこかホッとしましたから。緩い雰囲気で予定調和のストーリーを楽しむ作品なんでしょう。前作と同じ★3ですが、こういうコメディが嫌いな僕にしては評価は高いです。

・海獣の子供:★☆☆☆☆
 
壮大なテーマを抽象的な表現で描き、「さあ、何か感じるだろう!それが何かって?言葉では説明できないんだよ。とにかくすごいものなんだよ!」という映画です。映画うんぬんより、原作が僕には合わないんでしょうね。どうせこの映画ははっきりとしたオチもないし伏線回収もしないから真剣に観るだけ無駄だなと気づいてからは、修行僧のような気持ちで観てました。

・潜水服は蝶の夢を見る:★★★☆☆
 
原作が主人公の自伝なだけあって、主人公以外の登場人物はあまり深く描いていませんし、女優陣に至っては僕は最後まで見分けがつきませんでした。僕はヨーロッパ映画が苦手なのですが、この作品もヨーロッパ映画らしく過剰な演出もなく、淡々と単調なストーリーが続きます。ただ、主人公の感情はひしひしと伝わってきましたし、いい映画なんだろうなとは思います。

・ナミヤ雑貨店の奇蹟:★★★☆☆
 
少し前に麒麟の翼を観て、東野圭吾も書けば売れるから粗製濫造の作家になったなと思いましたが、この映画を観ると、やはり気合いの入った東野圭吾は違うなと思いましたね。むしろなんで原作を読まずに映画を観てしまったんだと猛烈に後悔しています。つまり、この映画は映画としては大したことないんですが、原作がいいので、特にラストはけっこう面白いんです。

・スリービルボード:★★★★★

こんなに緻密な脚本の映画は久々に観ました。さすがアカデミー脚本賞だとさや氏に言ったら獲ってなかったので恥をかきましたが、「ゲットアウト」よりこっちだろと思うんですがね。1つ1つのシーンやセリフにちゃんと意味がありますし、登場人物の善悪がコロコロ変わるところが面白いです。主人公すら態度は悪いし口も悪いし、1人1人が人間臭いところもいいですね。

・ジュマンジ ネクストレベル:★★★☆☆

面白いんですけど、2作目とほとんど変わりないですね。じいさんが2人加わるだけですからね。2人のじじいの口喧嘩は同じ内容ばかりでだるいですし。あと、今作は、ライフが1しかない状態でもみんな勇敢だったのが、どうも納得いかないです。マーサがリア充になっちゃってスペンサーが距離を置き始めるのは、僕も冴えない男ですからとてもよくわかるんですが。

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