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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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『おカネの切れ目が恋のはじまり』
次々と衝撃的なニュースが続き、心はざわめいていたけれど、それでもドラマ視聴は癒しの時間。
あえて思いを差し挟むことなく、物語に入り込むことができました。
節約家女子と浪費家のボンボン。最悪の出逢いから距離を縮めていく展開はいかにも漫画的ですが、演技派のふたりのおかげで違和感なく観られました。
地味女子になりきった松岡茉優の清貧ぶりには共感できましたが、ボンボンキャラはもう少し若手でも良かったのでは(それこそ北村匠海でも)と思います。原作でも33歳設定なのでしょうか。30超えであの浪費ぶり、母親の激甘ぶりはさすがに痛かった…それが物語のキモだったのかもしれませんが。ただ、それを嫌味なく演じられるのはさすが三浦春馬と思いました。
先週ラストの突然のキスで、ここから物語が盛り上がるはずだった第4話冒頭。
慶太は、突然姿を消しました。
現実に引き戻された気がしました。ああそうだ、きっと慶太はもう出てこないんだ。
慶太のいない家から、みずからの過去にけじめをつけるため旅に出た玲子。
おともは慶太のペットロボット猿彦。慶太のかわりに玲子に寄り添い、会話し、会いたかった人のもとへ導きました。
慶太の出てこない物語の中で、玲子が、板垣が、富彦が、菜々子が、慶太のことを語りました。
板垣が言うように、慶太はひょっこり帰ってくるだろう。それなのにもう二度と帰ってこない三浦春馬のことを、どうしても考えてしまいました。
「会いたい」という玲子の言葉が、どこか悲痛に聞こえたのは、気のせいだったでしょうか。
壁にかけられた、現実にはもう着る人のいないジャケットに触れるキムラ緑子の声が少し涙ぐんでいたのは、気のせいだったのでしょうか。
ラストシーン。玄関の扉を開けて、玲子の前に現れた誰か。
玲子が微笑みを見せた相手。
「ただいま」と言ってくれるのを期待していました。あの声で。あの笑顔で。
しかしそれがなかったからこそ、ようやくこれが彼の「遺作」だったのだと受け入れられた気もします。松岡茉優の悲しそうな、うれしそうな、淋しそうなあのラストの微笑みが、戻ってきたかもしれない慶太を演じた三浦春馬が戻ってこないという事実を、その感情のすべてを代わって受け止めてくれた気もするのです。
この作品をお蔵入りにすることなく、代役を立てることもなく、脚本を変更して全4話として作り上げた制作陣の、三浦春馬の最後の姿を伝える覚悟を感じた最終回でした。









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『半沢直樹』
毎週のお笑いをありがとう…。
思えば前シリーズが放送された時、自分は長の無職生活を送っており、半沢直樹を自分に重ねて観ることはどうしてもできませんでした。言いたいことを全部押し殺していたら身体が悲鳴をあげた前職での日々を思い出し、「こんなことしてもクビにならないんだ…そんな会社あるわけないだろ…」という思いがまず先に出てきてしまったからです。その後ようやく働き口に恵まれ、末端ながら組織の一員として細々雇われ生活を送らせてもらっていますが、半沢直樹のような人間にはいまだ出会えていません。もちろん大和田のような上司も、中野渡のようなトップも存在しません。
まあ、あたりまえです。これはドラマ、作り話なのです。
日々賃金をもらえるありがたさの中で、ようやく『半沢直樹』を娯楽作品として受け入れることができました。
もっとも今回は、前回を超えるファンタジー、いや、もはや喜劇です。「あるわけないだろ…」から「あるわけないやろー!」と大笑いしながら楽しめました。
いくらなんでもやりすぎでは、と思うくらい、全員パワーアップしていました。アドリブ全開大和田や、いつの間にやら「ナオキ」呼びの黒崎に囲まれて、いつもしかめっつらなのは笑いをこらえているからとしか思えない半沢。もはや苦行。周囲を固める脇役陣も芸達者な舞台俳優ばかりで、誰ひとり見劣りすることなく、テンポ良くわかりやすい展開もあって見ごたえがありました。
そしてなんといっても陰の立役者は、ものまねセントラル証券@せやねん。関西の視聴率の高さはきっと『せやねん!』のこのコーナーのおかげでしょう。毎週楽しませてもらいました。大和田団長のいない土曜日は淋しくなるなあ。









『竜の道 二つの顔の復讐者』
原作は未完だそうですが、うまくまとまっていたと思います。復讐劇というありがちな設定をうまく伏線を使いながらおさめるところにおさめ、かつ余韻を残す秀逸な最終回でした。
最初は「ありがち」な部分が目立っていてそこまで興味を惹かれなかったのですが、俳優たちの抑えた演技と登場人物ひとりひとりの背景を丁寧に描く展開のおかげで、誰しもに感情移入できるところが良かったです。(沖の父親が曽根村というのは唐突な気もしましたが…)
ラスト、拳銃に弾が残っていなかったことを知った源平の小さな背中は非常に印象に残りました。悪の顔の裏に残す人の情をほのめかす演技は、さすがエンケン。
竜一の結末は、「ありがち」といえばそうなのですが、兄弟で鍋を囲む幻想と相まって、やはり悲しかったです。玉木宏と高橋一生、それまで似ていると思ったことがなかったのに、くしゃっと笑う顔の雰囲気が似ていて、改めて秀逸なキャスティングだと感じました。

『未解決の女 警視庁文書捜査官』
鳴海が比較的アクティブに動いて矢代との絆がいっそう深まり、草加や鳴海の過去も描かれ、もりだくさんのSeason2でした。完全にお笑い要員の古賀や宗像含め、それぞれのキャラがしっかり定着してきたように思います。国木田室長をのぞいては…。
彼のあまりの存在感のなさに、Season3を望まずにはいられません。前回のラスボスも解決していませんし。



『私の家政夫ナギサさん』
全9話という通常よりコンパクトな話数のおかげで、よけいな展開に持ち込まれることなく淡々と話が進んで、最後もまとまるところにまとまったという印象です。
メイとナギサさんが結ばれることは当初からわかっていたので、田所が当て馬ともわかりきっていましたから、やきもきすることなく穏やかな気持ちで観られました(歳を取るとこのやきもきがシンドイ時がある)。優秀で性格も良い田所は当て馬にするにはもったいないキャラでしたから、ナギサさんを選ぶラストには「え、ホントに田所さんでなくていいの?」と若干ひっかかりましたが。
メイがナギサさんに惹かれるのはまあ、わからないでもありません。ですが、ナギサさんがメイに好きだと告白するに至るまでの描写にはもの足りなさを感じました。仕事に邁進するメイにかつての後輩を重ねて、放っておけなくなるナギサさんの気持ちは理解できますが、果たしてそれはラブなんだろうかと。もちろん日々を一生懸命生きるメイは人間的に魅力的(それをあますところなく表現してくれた多部未華子は好演でした)ですし、目を離せないその気持ちがいつの間にかラブになっていたのかもしれませんが。
そんなもの足りなさを特別編で補ってくれるのかと思いきや、ただの犬も食わない夫婦喧嘩が総集編の合間に挿しはさまれていただけでした。まあ、あのふたりがイチャイチャしているところは想像できませんし、ほのぼのカップル感を最後まで貫いたのは良かったかもしれません。
亭主関白モードのナギサさんはカッコ良かったです。一瞬だけだったのが残念…。大森南朋はこういうぶっきらぼうな役柄のほうが男の色気がダダモレしていて良いな。

『おじさんはカワイイものがお好き。』
最後まで笑って楽しく観られました。
小路さんとケンタのすれ違いを経て深まる友情の過程は、まるで少女漫画のよう。LINEのきっかけがわからないだの相手の気持ちを邪推して距離を置くだの、アンタらは恋に悩む中学生かとツッコみたくなるものの、大人の男女なら解決のしようは他にあるのでしょうが、年齢も環境も違う友達が相手となると、大人になったぶん距離感の縮め方はなかなか難しいのかもしれません。そんな思春期のようなもどかしいふたりを差し置くかのように、正直に気持ちを言葉にできる鳴戸と真純が急速に距離を縮めていくのは微笑ましかったです。
主要4人のキャラを立たせながら起承転結をしっかり描くという、脚本と演出が非常に良かったです。とくに鳴戸は魅力的でした。登場時はイヤミなワンレンメガネですが、猫のためなら短パンを買いだめし、職場では段ボールから飛び出すという、終わる頃には愛しくて仕方なくなっている振り幅の大きなキャラでしたが、桐山漣がそんな漫画チックな鳴戸を楽しそうに演じていました。今までとくに印象がなく、菅田将暉と『仮面ライダーW』に主演したくらいしか知らなかった(それも観たわけでなくオリックスとコラボした時に知識として仕入れた)のですが、「ぐぬぬぬ」の歯噛み顔からは想像できないくらいイケメンだったのですね。ネットで見てびっくりしました。
初回には「かわいいけど、まあ普通」と感じていたパグ太郎が、最後には「抱きしめたい! 囲まれたい! 一緒に寝たくなる!」くらいかわいく感じたのが不思議…あのてとてとした歩き方か? 小路さんの熱いプレゼンに感化されたか?
もちろん、パグ太郎に極楽浄土へ連れていかれた小路さんがいちばんかわいかったことに間違いはありません。どうしよう…大河の細川藤孝もきっともう小路さんにしか見えない…。
Huluの番外編も非常に面白そうなので気になります。できれば続編希望です!







『おじさんはカワイイものがお好き。』
渋いイケオジで仕事もできて部下からの信頼も厚い小路三貴には秘密があった。それは、黄色いもちもちキャラクターの《パグ太郎》が大好きということ。部屋にはパグ太郎グッズがあふれ、毎晩パグ太郎に囲まれて癒されているものの、女子に笑われた過去のトラウマから、カワイイもの好きであることをひた隠しにして生きてきました。
そんな小路さんが出会ったのは、中目黒のダンサー風なケンタ。彼も《くまのがっこう》の手作りドールハウスで彼女にひかれた過去を持ち、小路と同じようにカワイイもの好きを隠して生きてきました。ようやく同志を得て、ふたりは友情を深めていきます。
イケオジブームの次は、カワオジか? と言いたくなるくらい、今期はナギサさんといい、小路さんといい、カワイイオジサンたちがコロナですさんだ心を癒してくれます。全5話と短いのが残念です。
まさか眞島秀和がこんなキャラクターを演じるとは思いもしませんでした。怖い借金取り(『あしたの、喜多善男』)だの、ふたりの女の間を行ったり来たりする優柔不断男(『花衣夢衣』)だのを思えば、出世したよねえ…。いい俳優さんだと信じていました。
ネコちゃん大好きなワンレンメガネ鳴戸や、少女漫画描きの真純も、これからカワイイもの好きの同志となっていくのでしょうか。鳴戸、野良猫に餌付けはアカンよ! そして現代はあんな風に漫画を描くのかと驚きました。Gペンとかスクリーントーンとか、今は使わないのね…。


『太陽の子』
三浦春馬のことがあってそちらに注目がいきがちでしたが、主題は「日本でも原子爆弾の開発計画があった」という、あまり知られていない戦中日本の一面です。
最先端の原子物理学の研究に胸躍らせていた彼らが挑んだのは、日本を救う新型爆弾。科学者としての使命感に燃える一方、未来を変えるはずの研究が殺人兵器に使われるという葛藤がつねに彼らの胸にありました。遅々として進まない開発。その一方で戦況は悪化し、身近な命は次々に消えていく。そして目の当たりにしたヒロシマの惨状。自分たちが目指していたものの結末に、壊れていく心。——
結論から言えば、これだけのテーマを描くのに80分はあまりにも短すぎたと言わざるをえません。
柳楽優弥は素晴らしかったです。夢中になるとまわりが目に入らなくなる実験バカながら、普段は控えめで心やさしい普通の青年である修が、戦争によって徐々に精神をすり減らしていく変化を繊細に演じていました。
また、主人公を取り巻く人たち、死の恐怖に涙しながらもその運命から逃れられることはなかった裕之や戦禍の中にも未来への希望を失わぬ世津など、それぞれのぶれない芯を抑えぎみの演技の中にもしっかり感じられたので、やや現代的な演出もあったにせよ作品の質を損なうものではありませんでした。
とくに、ラストの田中裕子には胸を打たれました。展開上あまりにも唐突な、理解に苦しむ修の決断でしたが、彼女の存在感が場を乱しませんでした。人としての一線を超えてしまった言葉を放つ息子は、戦争によって変わってしまいました。彼を産んだ者としての責任を全うしようとする母の姿は、戦場でなくても、兵器開発でなくても、この戦争に向き合っていることを主張し、誰もが戦わざるをえなかったこの国のありさまを物語っていました。
被爆地の実際の様子が映されることは最初に提示されていましたが、ご遺体の写真まで出てくるとは思いませんでした。戦争の伝え方がソフトになってきた世相と反するように、ぼやかさず、ごまかさず、現実を突きつけられたことによって、修たちが成そうとしていたことをあらためて思い知らされました。
焦土と化したヒロシマ。母親「だった何か」から離れることができず震えていた原爆孤児。炎に焼き上げられていく遺体「かもしれない何か」の山。
彼らの信じた科学の行きつく先は、ここだったというのか。
修の心に去来したものは、「怒り」なのか「悲しみ」なのか「憎しみ」なのか「絶望」なのか。
あるいは、科学者としてのプライドだったのか。
そして、京都に原爆が落とされることなく迎えた玉音放送を、比叡山の修はいったいどう受け止めたのか。世津が夢見た戦後の日本を、裕之が迎えられなかった未来を、修はいったいどう生きたのか。
何も語られることなく、想像の余地もなく、物語は突然終わりました。
この作品は、映画化が決まっているそうです。違う視点で描かれるそうですが、同じキャストのロングバージョンなのか、あるいはまったく別の収録なのかはわかりませんが、もしそのために余白を多く残したのなら残念です。キャストが語っていた印象深いシーンもカットされていました。一昨年の『夕凪の街 桜の国』もそうですが、作り手の想いが伝わってくる真摯な作品だけに、それを伝えきるだけの尺は大事にしてほしいと思いました。

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