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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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『蛍草 菜々の剣』
庭の片隅にひっそりと、しかし色鮮やかに咲く蛍草のように、淡々とした展開の中にも強い印象を残す作品でした。清原果耶の芯を感じさせる演技のおかげだったと思います。
子役を含む各キャストがそれぞれのキャラクターを確立させて物語を彩っていましたが、中でも北村有起哉は期待にたがわぬ悪役ぶりでした。普段の酷薄さと、複雑な生い立ちから芽生えた野心や風早家への執着心の激しさのギャップにははっとさせられました。切腹前の憑き物が落ちたかのような穏やかさも印象的でしたが、市之進とはまた異なる武士の覚悟を見せられたように思います。
脚本も演出も、すべてが質の高い時代劇でした。

『サイン-法医学者柚木貴司の事件-』
主人公が死ぬという展開はなかなか衝撃的でしたが、いろいろと雑な部分が気になって、キャストのわりにもったいないと感じるドラマでした。
なんか最後は仲村トオルが「柚木の分も頑張るよ!」的な感じで幕を閉じましたが、アンタが法医研にこだわるあまりたくさんの人が死んだという事実はどうなるのかね…。そもそもその法医研自体、日本には馴染みそうにない組織でしたね。
ラスボスもインパクトが弱かったし。いろんな殺人現場に指紋残しまくってたんじゃないか? 柚木の部屋で「絶対証拠を残しているはず!」と松雪泰子が躍起になって探していましたが、一発アウトじゃね? そもそも毒って解剖時には残っていないのか?
豪華キャストだったので展開が面白くなることを期待しながら最後まで見てしまいましたが、残念でした。ただ、下手に恋愛をからめなかったのは良かったと思います。

『ノーサイド・ゲーム』
日9らしいわかりやすーい展開・勧善懲悪・ハッピーエンドでしたが、今までにない感動がありました。最後も「絶対勝つ」とわかっていながら拳を握り、ハラハラしてしまいました。
「敵は味方のふりをする(←岡田将生の声で再生)」と知ってはいたけれど、あまり何も考えずに観ていたので滝川の失脚から脇坂の裏切りという展開は予想外でした。風間との関係を暴くオチは割と強引な気もしましたが、その頃頭はアストロズvsサイクロンズのことでいっぱいだったので、どうでも良かったです(『ルーズヴェルト・ゲーム』の最後のコンペに通じるものがある)。
日9といえば演技力皆無のタレント起用で冷めてしまうことが多いのですが、今回もアストロズの面々に俳優が本業ではない人が多く出演していました。しかしまったく気にならなかったのは、彼らが総じてラグビー経験者(コージはアメフトですが)だったことです。そして彼らがいなくては、アストロズのあの迫力は出せませんでした。たま平のパス回しがCGなしと知った時には驚きましたが、福澤監督も慶応大のラグビー出身とあって、こだわりは相当なものだったようです。
浜畑の登場時にはその正体を知らず、「目力は強いけど、なんでこんな棒読みを重要ポジに置くんだ」などと思ってしまったことを恥じたい。まさか4年前のW杯日本代表の陰のキャプテンだったなんて…。トップアスリートやん…。
しかし最終回の選手生命を賭けて試合に出る場面は迫真に迫っていて泣かされました。私の中ではすっかり廣瀬=浜畑です。
高橋光臣のキャプテンシー、眞栄田郷敦のなりきりぶりや、佳久創(郭源治の息子!?)の存在感も印象的でした。
ラストゲームも、4年前なら「所詮ドラマだから」とどこかで冷めていたかもしれません。しかしあのW杯の《ブライトンの奇跡》を目の当たりにしてしまうと、素直に感動できてしまいます。そして日本で開催されるW杯が、もうすぐ始まります。今度はどんな奇跡が起きるのか、このドラマでますます楽しみになりました。







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『凪のお暇』
原作は1巻だけ読みました。絵柄は昭和風ですが、空気を読みすぎてパンクする主人公はSNSに振り回される現代の若者そのもの。そして自分らしくありのままに生きようとする流れも昨今ありがちですが、古風なタッチのおかげで逆に新鮮に感じました。
そんな凪に空気を吸えなくしたのが元彼の慎二ですが、面と向かっては凪を追い詰めるようなことしか言わないくせに本当は好きで好きで仕方ないという、好きな子をいじめる小学生男子そのもの。そして不思議系隣人・ゴンとの三角関係もこの話の見どころでもあるようです。
この主人公が今風美女だったら嫌味にしか映りませんが、黒木華という絶妙なキャストのおかげで楽しんで観られます。黒髪ストレート女子アナ系OLとくるくる天パぶかぶかTシャツのギャップも、黒木華のナチュラルな質感でどちらも魅力的です。
慎二役が高橋一生と聞いた時には、少し年嵩すぎやしないか? と疑問に思いましたが、モラハラ全開時の冷たい両目と、凪の家を号泣しながら去る情けない背中のギャップに、不覚にも萌えてしまいました。慎二に魅力がないとただのド最低男になってしまいます。確かにこの二面性を演じられる俳優は高橋一生だけかもしれません。
そしてリア充陽キャ的風貌ながら凪の心にすっと寄り添ってきたゴンも、中村倫也のイメージではないなあと思いきや、これまたすこぶる萌えました。『半分、青い』の正人と同じく、ふんわりした羽のような柔らかさを持ったタラシ男は今や中村倫也の真骨頂。『闇金ウシジマくん』でサイコパスを演じていたのが嘘のようだ。慎二とゴンの配役がそれぞれ逆でも面白かったと思いますが。
「自分らしく生きるって素晴らしい!」というメッセージはありふれているので、三角関係を絡めてひと味違うテイストで最後まで楽しめたらいいなあと思います。

『蛍草 菜々の剣』
最近すっかり実力派若手女優として名をあげた清原果耶。CMでもよく見かけるようになりましたが、たたずまいだけで醸し出す透明感に、ついつい目を惹かれてしまいます。『あさが来た』の頃よりも演技力がずいぶん上がりましたし。
風早家の高潔な雰囲気が素晴らしいです。町田啓太がこんなに時代劇にハマるとは思いませんでした(『西郷どん』は印象に残っていない)。谷村美月も武家の奥方らしい芯の強さを感じます。演技を良いと思ったことがあまりなかったのですが、死の間際に正助ととよに呼びかける時のトーンの違いは、思わず涙を催されました。
つつましくもあたたかい、心に秘めた人の情と繋がれる縁の糸。全体的に藤沢周平の世界観をしっかり構築しているように思います。
展開も含め、なかなか見ごたえのある時代劇です。

『いだてん』(承前)
田畑政治のあわただしさに少し疲れるところはありますが、しっかりした構成ながら失われないスピード感に毎週目が離せません。
前半の主役・金栗と異なり、政治は時代の先頭に立ち人びとを引っ張っていきます。新聞社という世界情勢をいち早く察知できる環境にいることで、これからの日本の姿を誰よりも先に明確なものとして思い描いていたのかもしれません。彼はまさにファーストピングインでした。超がつくほどマイペースで強引で、周囲にいたらたぶんお近づきにはなりたくないであろう大変な男ですが、国のかたちを作っていく人というのは、こういう性格でないと不可能なのかもしれません。
明治維新から60年と少しの日本はまだまだ不完全な状態。オリンピックを通して、日本は世界を知り、そして世界もまた日本を知ります。さらに、世界の一員となった証のように、日本は否応なく世界を覆ってゆく戦禍に巻き込まれていきます。この根っからポジティブで陽気な男がいったいどのように不穏な時代を生き抜いていくのか、またクドカンが戦争をどう描くのか、興味深くもあります。
そして志ん生一家もいかにしてなめくじ長屋を抜け出すのか…。彼を支えるおりんの夏帆が実に良い。つつましやかだった当初のおりんからだんだん噺家の妻らしい気っ風の良さが出てくる変化を魅力的に演じています。長じてからのりんと瓜ふたつなのも驚きです。
それにしても、皆川猿時はやっぱりプールサイドにいるのね…そのうち「あーまーのーーー!」と叫び出しはじめるんじゃないかと錯覚を起こしてしまいます。阿部サダヲとの阿吽の呼吸はさすがです。

『なつぞら』(承前)
いい最終回だった…と一瞬錯乱してしまう結婚式でした。まだ残り2ヶ月あるよね?
相手はやはり一久さんでした。ノブさんはいつの間にか結婚しとるし…どういうこっちゃ。しかし中川大志が何とも愛嬌ある一久さんを演じてくれているので、なつとはいいコンビのようです。
一久さんのモデルは高畑勲なのだとか。そして宮崎駿は神地。なるほど、彼らもまたいいコンビネーションを見せています。登場時から異彩ぶりを発揮していた神地ですが、ヘンゼルではなくグレーテルに行動力を持たせるなど、ジブリ作品の下地を思わせるイマジネーションにわくわくしました。今後、高畑勲と宮崎駿のように独立してジブリを立ち上げる場面も出てくるのでしょうか。そうなると、なつのお話よりこっちの方が面白くなってしまうな…。
千遥のエピソードは今後の再会を匂わせて終了しました。清原果耶をあてて、出会うことなく終わりということはないでしょうし…終盤のクライマックスとなりそうです。
苦労したという割に長じては戦災孤児という背景をあまり感じさせないなつですが、彼女がそういう健康的な女性に成長できたのは、松嶋菜々子演じる母親の愛あってこそなのだろうと自分を納得させています。彼女との出会いを「奇跡」と言った時や千遥が訪ねてきた時など、感極まって涙ぐむ場面は本当に素晴らしかったです。一瞬でなつの心に寄り添い自然に涙があふれてきてしまう、それは彼女に同情や憐みなどでは決してない、母親としての無償の愛を注いできたからこそなのだろうと。
もちろん、おんじの涙も胸に響きました。十勝の面々が魅力的すぎて、また東京編に戻ると物足りなくなってしまいそうなのも困りものです。











『ノーサイド・ゲーム』
サラリーマンだけの世界で進行する日曜劇場にはあまり魅力を感じませんが、『ルーズヴェルト・ゲーム』や『陸王』のようなスポーツを絡めた作品だと、ついつい入れ込んで見てしまいます。
今回の題材はワールドカップを控えたラグビー。しかも主人公がチームのGMとなると、展開が特化するので話もわかりやすい。ラグビー経験者である高橋光臣はじめ、実際日本代表として活躍していた選手たちも多く出演しているので、練習シーンに迫力があります。
ダメ人間役のイメージが強い大泉洋ですが、さすが俳優。スーツをきりっと着こなすとシュッとしたエリートサラリーマンにちゃんと見えますね。しかし家庭では強気な妻に頭が上がらなかったり、部下に問い詰められてタジタジしたり、大泉洋らしいコミカルな部分もしっかり活かしていて、魅力的な主人公です。
監督役の大谷亮平はすっかり貫禄が出てきました。『逃げ恥』の頃はあんなに棒演技だったのに…『まんぷく』で一皮剥けた感があります。『逃げ恥』のようなイケメンより、こういう古風な、むしろ暑苦しい男の役の方が実は向いているのかもしれません。
一方、まったく魅力を感じられないのが上川隆也。わかりやすーいヒール役をわかりやすーく演じているのですが、型どおりで面白くありません。最後は大泉洋に大逆転をくらって歯噛みする顔芸を披露するのかな…?

『監察医 朝顔』
震災で母親を失っていることはあらすじで知っていたので、初回のラストにも驚きはなかったのですが、それでも胸にずしんと響くものはありました。車窓に続く海、静かな港の景色、防災無線の音、だんだんと曇っていく朝顔の表情。ホームに降りて動かなくなった足。説明などなくても、朝顔の思いが伝わってきました。
この過去は最後につながる軸となるのでしょうが、それ以外は基本的に一話完結型で朝顔の監察医としての成長を描いていくのでしょうか。ハラハラする作品が多い今期、割と穏やかな気持ちで見ることのできる作品です。

『TWO WEEKS』
無実の罪で容疑をかけられた主人公が警察の追手から逃亡する…という作品は過去いくつか観てきましたが、いつも「最後の方までは絶対に捕まらない」とわかっていながらピンチのたびに無事を祈ってしまう…。
わかっているからこそ、非現実的な展開も最後まで観ていられるわけですが。
三浦春馬の鮮やかな逃げっぷりもさることながら、高嶋政伸の悪役っぷりも最近すっかり板についてきました。芳根京子が今後どうやって主人公側につくのかも気になりますし、2話のラストで登場したヒデ…じゃない、相良…でもない、磯村勇斗の正体も謎です。黒木瞳も絶対に怪しいし。
韓国ドラマのリメイクらしいですが、最後は罪が晴れて悪役が逮捕されて娘の手術も成功する…はず。そのオチを待ちながら、ハラハラを楽しみたいと思います。

『サイン-法医学者柚木貴司の事件-』
キャストと脚本家に惹かれて観始めたものの、これも韓国ドラマのリメイクとは知りませんでした。
柚木は他人に興味のない寡黙人間かと思いきや、中薗にまくしたてられるとムキになってやり返すところもあるので、いまいちキャラがつかめないものの、最初のイメージどおりだと新鮮味に欠けていたかもしれません。やたら横暴で暴力的な行動もあるのはリメイク元のお国柄でしょうか。
偶然にも法医学を描いたドラマを両立して観ていますが、法医学研究院は架空の機関なのだそうな。確かに大学の研究室だと国家権力に左右されにくいのでしょうが、院長の座をめぐる争いに少し非現実感があって、観続けるか迷いました。しかしただの導入だと思っていたアイドルの殺人事件がどうやら物語の鍵になっていきそうなこと、柚木と中薗のコンビが思ったよりいい感じなこと、松雪泰子が相変わらず美しいことなど、いろいろ興味がわいてきたので録画を続けることにします。

『ボイス 110緊急指令室』
これも韓ドラリメイクとな! しかしこれは初回からおどろおどろしく、それっぽい雰囲気がプンプンしていました。初回から緊張感満載。
惜しむらくは唐沢寿明が設定のわりに年齢が高いこと。走るシーンが多いのでどうしても同じように走ってばかりの三浦春馬と較べてしまう…。子どもの年齢からしてももう少し若い俳優さんのほうが良かったような。
真木よう子もあんなに滑舌悪かったですかね。低い声とクールな美貌から、この作品や『MOZU』のように冷静な女性警察官役を当てはめたくなるのでしょうが、『最高の離婚』や『問題のあるレストラン』などの愛嬌ある役のほうがいいような気がします。
主人公の妻と橘の父が殺害された一幕は、衆人環視(聴?)の中で「隠蔽できるわけないやろ」とツッコみたくなるものの、ラスボスはやっぱりあの俳優なのでしょうか。これも毎週ドキドキしながらの視聴となりそうです。
ところでどうしてキム兄は毎クールのようにドラマに出ているのでしょうか。強面くらいしか起用する理由がないと思うんだけど…。






『腐女子、うっかりゲイに告る』
安藤と三浦は、まるでフレディ・マーキュリーとメアリー・オースティンのよう。
三浦は実に誠実で、正直な女の子でした。ゲイを隠していた安藤に怒りをぶつけるのはごく自然な反応ですが、安藤を否定することは彼に恋した自分を否定することでもあります。三浦は三浦なりに、現実のすべてを受け止めようと決意します。そして今の自分の立ち位置から、安藤に歩み寄り、苦悩する彼に手を差し伸べました。
あくまで三浦は三浦であり、腐女子であることが彼女のアイデンティティ。恥ずかしいもの、見下されるべきもの、そう信じ込んで隠し通してきた自分自身ですが、壁を作ることが誰かにとっての悲しみであるならば、そんなものはとっぱらってしまえばい。アイデンティティは隠すものではないし、恥ずべきものでもない。
そしてそんな自分が恋した安藤がゲイだったからといって、何も間違ってなどいない。
そんなメッセージが三浦の屈託ない笑顔から伝わってくるのでした。
ただ、終業式での一幕は、ややできすぎの青春創作モノの感がありました。安藤とのあれこれを暴露しすぎではないか? なぜ最後に三浦は安藤にキスを求め、安藤はそれに応じたのか? 視聴時はあれこれと気になることがありました。しかし三浦にとっても腐女子カミングアウトは勇気のいることであったろうし、むしろそれくらい堂々としていないと安藤の壁はとっぱらえないし、受け止められないと思ったのかもしれません。ひとことでいえば若気の至りの暴走なのかなと。
また、男女のキスというと自然に恋人関係を想起しますが、三浦と安藤はそうではありません。しかし安藤にとって三浦は、彼女となら「普通」の男性としての人生を送れるかもしれないと思うくらいの存在です。恋人にはなれなくても、親友、いや家庭を持つという点でもしかしたらそれ以上の関係になりえたのかもしれません。性的な意味を持たない男女のキスが、そんなふたりならできるのかもしれない。これはおそらく、安藤と同じ性的指向を持つ作者だからこそ描けたシーンのような気がします。作者と、そして安藤と三浦にしか理解できない、恋人同士ではない男女のキスが、きっと存在するのだと思います。
ふたりの仲は三浦が大阪に発つ安藤を「フる」ことでいったん終わりを迎えますが、関係が切れたわけではありません。それこそフレディとメアリーのように、生涯寄り添っていくのかもしれません。三浦のおかげで、安藤はマコトのように蝙蝠にはならない生き方を選んでいくかもしれません。
金子大地と藤野涼子の透明感ある演技のおかげで、非常に質の良い作品になったと思います。一話30分という短い尺でテンポ良く最後まで緊張感を持って鑑賞することができました。脚本も演出も、さすがLGBTを数々扱ってきたNHKならではの充実度だったと思います。

『パーフェクトワールド』
「恋が生まれる→うまくいく→反対されたりライバル出現したり→いったん別れる→やっぱりくっつく→めでたしめでたし」という想像を超えない話運びでしたが、「やっぱり王道がいちばん」…でした。ちゃんとドキドキできて、イライラもして、最後は泣けましたから。
昔でいえば対立するお家同士であったり、人種や宗教の問題であったり、恋するふたりにはさまざまな試練がありますが、この物語における樹の障害は、それをあえて父親が声高に反対する理由にしてしまうことで、記号的な障壁にしかなっていませんでした。つまり障害を扱う話にありがちな偽善的結末でない、「ただのありふれたラブストーリー」だったのです。樹が一度は恋を諦めた理由も、葵のつぐみに対する発言も、晴人の卑屈さも、つぐみの父の頑なな反対も、すべてが至極もっともだし、だからこそつぐみの一途な想いがすべての人の心を変えていく展開に胸を打たれたのです。
つぐみと樹のカップルが美しく爽やかだったことが感情移入を催したのはもちろんですが、晴人としおりも印象に残りました。原作はまだ続いていて、つぐみたちの体外受精の話になっているようですが、このふたりはどう展開していくのか、そちらの話も気になります。スペシャルで続編してくれないかな?

『いだてん』(承前)
視聴率の低さばかりが注目されていますが、やはり戦国や幕末と違って「次に何が起きるかわかっていない」ことが従来の大河視聴層にはアウトだったのかなと感じます。いくら主人公が無名でも、教科書に載っている歴史のおおまかな年表自体は変わりません。ドラマの質以前に、「先に何があるかを知っている」という安心感が、これまでの大河の一年という長丁場の視聴を支えていたのかもしれません。
しかしこのドラマにおいては、金栗の「これから」を知っていたら、面白さは半減していたと思います。あえて番宣は見ず、金栗四三や田畑政治や志ん生のことも調べずに臨みました。だからこそ、四三の二度のオリンピックの結果にやきもきしましたし、東京への誘致がどう進んでいくのかわくわくしています。
第一部の金栗編が終わりました。アクの強い脇役たちに囲まれて今ひとつ存在感のなかった金栗ですが、最後までヒーローにこそなりきれなかったものの、「日本人初のオリンピック出場選手」という肩書を得て、それまでのマイペース風から日本の陸上界を牽引していくという自信と覚悟に満ち溢れた表情に変わっていったのが印象的でした。あまり歌舞伎役者らしさを感じない素朴な演技が、金栗をより人間味ある存在に見せていたと思います。
第一部のクライマックスは関東大震災でした。『あまちゃん』ではジオラマを使って北三陸の被災を語らせたクドカンでしたが、今回は変わり果てた東京のありさまを伝えたのは孝蔵の落語でした。森山未來の軽妙な語り口とその内容の凄まじさの乖離がよりいっそう事態の大きさを感じさせる、素晴らしい演出でした。
自然災害によって齎される人びとの喪失感は、過去と現代で変わったりはしません。そして悲しみから力を合わせて立ち上がり未来を見据える、そんな人間の本来の侃さもまた、過去からくり返してきた日本人の営みなのです。
クドカンは坂道を駆けあがるように、その営みを描き出します。
熊本に帰ってきた四三を一喝する幾江の言葉。いだてんの本当の意味。物資を背負いかつての姿を失った東京を駆けまわる四三と仲間たち。こんな時こそと運動会を企画する嘉納とそれに真っ当な理由で反対する体協の面々。観る者も家族のように思っていたシマの死。焼け出された清さんや小梅たちのたくましさ。そして、スポーツと笑いの力。最後にクスリと笑わせる志ん生のサゲ。
笑いと涙が絶妙なバランスで交錯する、クライマックスに向けてため込んでいたかのようなクドカンの力量が溢れ出す第一部最終回でした。
だからこそ、森山未來とたけしの落差がな…。自分の目にフィルターがかかってしまっているのか、当時を回想する志ん生から何の思いも伝わってこなかったんだよな…。

『なつぞら』(承前)
舞台が変わると印象が変わってしまうのは仕方ないことかもしれませんが、このドラマにおいても十勝と東京の差が激しくて少しトーンダウンしてしまった感があります。十勝パートではエピソードひとつひとつに泣けて、じいちゃんはじめ濃いキャラぞろいだったこともあり、東京の面々にあまり魅力を感じません。とくに咲太郎は重要キャラのはずなのに、軽薄さが前に出すぎていて感情移入しづらいのも、今ひとつ入りこめない原因です。十勝の照夫兄ちゃんが超優良兄(あさイチに登場するまであんなにイケメンとは不覚にも気づかなかった)だっただけに…。
また、なつがお洒落をしたことで十勝の頃の雰囲気を失ってしまったことも残念です。モデルの女性アニメーターも毎日違う服装をしていたそうですが、あのファッションのせいで広瀬すずのきつめの美貌が際立ってしまい、あつかましい(by夕見子)キャラが愛嬌になっていないのがもったいないです。美女でも損をすることがあるのだな…。
それにしても、次から次へとイケメン登場。なんだこの大渋滞は! 仲さんなんてもはやモブというくらいなつの周りはイケメンぞろいの選び放題(なつが)。本命だった天陽くんは東京へ行くなつに実質お別れを告げた(しかも結婚するらしい)ため婿候補から脱落。雪次郎はよくあるヒロイン幼なじみ枠から逸脱しそうにない(うえに夕見子のことが好きそうだ)し、やはりオープニングから出ていた信さんか? と思わせておいての坂場さん登場。この「初対面は印象最悪」は恋愛フラグなのだが…。坂場か? やはり坂場なのか? 信さんメッチャいい人なのに…?
放送はまだあと半分残っているのですが、ここで千遥との再会というヤマ場を迎えるようなので、中盤以降はなつのアニメーターとしての成長と結婚話でしょうか。十勝は絡んでくるのかな…。盛り上がれるのかな…。









『大全力失踪』
続編ができると聞いた時には「え! 7年間も失踪していたのに、まだネタあるの?」と疑問でしたが、磯山のダメダメだけれど人間味のあるキャラクターが活かされたエピソードになっていて、「磯山バカだなー」と呆れながらも楽しめました。4話完結でコンパクトながら北海道・漁港・山寺とそれぞれの場所での出逢いと別れがきちんとまとめられていたのも良かったです。
高峰と失踪(?)するラストには笑ってしまいました。本当に磯山は失踪中毒なのかもしれない…。でも、聖子とななみと生まれてくる孫のためにもそろそろ腰を落ち着けてほしいですね。

『腐女子、うっかりゲイに告る』
なんともインパクトのあるタイトルですが、中身はNHKが最近得意とするLGBTに真正面から向き合った切ない恋愛モノ。アンニュイな面立ちの金子大地が心に葛藤を抱える安藤少年を好演しています。『ひよっこ』での豊子も記憶に新しい藤野涼子の演技力もさすが。こちらまで一緒になってときめいてしまうような純粋な表情が印象的です。
安藤の恋人であるマコトの谷原章介は色気だだ漏れ。あの声で「たっぷりかわいがってやるから」は、卑怯だ。
ゲイであることは隠しながら三浦の告白を受け容れた安藤。自分で「外道」と言ったその道を選んだ先が、気になります。三浦がその秘密を知る時は来るのか、BLは二次元のものと決めつけている三浦がいざ現実を前にした時どんな反応を見せるのか。安藤の三浦への気持ちに変化は起きるのか。ファーレンハイトはいったい何者なのか。続きが待ち遠しくて仕方ありません。

『パーフェクトワールド』
久しぶりに再会した初恋の相手。恋と仕事。ふたりの前に立ちふさがる多くの障害。
…と、こんな正統派な恋愛ドラマはひさしぶりかも。原作マンガは最初だけ読みましたが続きは知りません。
今期はキャストのアンバランスさから開始10分で挫折したドラマがいくつかありましたが、山本美月と松坂桃李のカップリングはありふれているようでありながら爽やかで応援したくなります。
恋が生まれる→うまくいく→反対されたりライバル出現したり→いったん別れる→やっぱりくっつく→めでたしめでたし、がラブストーリーの王道ですが、このドラマもその方向を進んでいってくれると思いたい。トシを取ると、やっぱり王道がいちばんなのです。








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