『蛍草 菜々の剣』
庭の片隅にひっそりと、しかし色鮮やかに咲く蛍草のように、淡々とした展開の中にも強い印象を残す作品でした。清原果耶の芯を感じさせる演技のおかげだったと思います。 子役を含む各キャストがそれぞれのキャラクターを確立させて物語を彩っていましたが、中でも北村有起哉は期待にたがわぬ悪役ぶりでした。普段の酷薄さと、複雑な生い立ちから芽生えた野心や風早家への執着心の激しさのギャップにははっとさせられました。切腹前の憑き物が落ちたかのような穏やかさも印象的でしたが、市之進とはまた異なる武士の覚悟を見せられたように思います。 脚本も演出も、すべてが質の高い時代劇でした。 『サイン-法医学者柚木貴司の事件-』 主人公が死ぬという展開はなかなか衝撃的でしたが、いろいろと雑な部分が気になって、キャストのわりにもったいないと感じるドラマでした。 なんか最後は仲村トオルが「柚木の分も頑張るよ!」的な感じで幕を閉じましたが、アンタが法医研にこだわるあまりたくさんの人が死んだという事実はどうなるのかね…。そもそもその法医研自体、日本には馴染みそうにない組織でしたね。 ラスボスもインパクトが弱かったし。いろんな殺人現場に指紋残しまくってたんじゃないか? 柚木の部屋で「絶対証拠を残しているはず!」と松雪泰子が躍起になって探していましたが、一発アウトじゃね? そもそも毒って解剖時には残っていないのか? 豪華キャストだったので展開が面白くなることを期待しながら最後まで見てしまいましたが、残念でした。ただ、下手に恋愛をからめなかったのは良かったと思います。 『ノーサイド・ゲーム』 日9らしいわかりやすーい展開・勧善懲悪・ハッピーエンドでしたが、今までにない感動がありました。最後も「絶対勝つ」とわかっていながら拳を握り、ハラハラしてしまいました。 「敵は味方のふりをする(←岡田将生の声で再生)」と知ってはいたけれど、あまり何も考えずに観ていたので滝川の失脚から脇坂の裏切りという展開は予想外でした。風間との関係を暴くオチは割と強引な気もしましたが、その頃頭はアストロズvsサイクロンズのことでいっぱいだったので、どうでも良かったです(『ルーズヴェルト・ゲーム』の最後のコンペに通じるものがある)。 日9といえば演技力皆無のタレント起用で冷めてしまうことが多いのですが、今回もアストロズの面々に俳優が本業ではない人が多く出演していました。しかしまったく気にならなかったのは、彼らが総じてラグビー経験者(コージはアメフトですが)だったことです。そして彼らがいなくては、アストロズのあの迫力は出せませんでした。たま平のパス回しがCGなしと知った時には驚きましたが、福澤監督も慶応大のラグビー出身とあって、こだわりは相当なものだったようです。 浜畑の登場時にはその正体を知らず、「目力は強いけど、なんでこんな棒読みを重要ポジに置くんだ」などと思ってしまったことを恥じたい。まさか4年前のW杯日本代表の陰のキャプテンだったなんて…。トップアスリートやん…。 しかし最終回の選手生命を賭けて試合に出る場面は迫真に迫っていて泣かされました。私の中ではすっかり廣瀬=浜畑です。 高橋光臣のキャプテンシー、眞栄田郷敦のなりきりぶりや、佳久創(郭源治の息子!?)の存在感も印象的でした。 ラストゲームも、4年前なら「所詮ドラマだから」とどこかで冷めていたかもしれません。しかしあのW杯の《ブライトンの奇跡》を目の当たりにしてしまうと、素直に感動できてしまいます。そして日本で開催されるW杯が、もうすぐ始まります。今度はどんな奇跡が起きるのか、このドラマでますます楽しみになりました。 PR |
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