この映画はジャケットでネタバレしてしまっているのですが、簡単なあらすじ以外は前知識なしに鑑賞しました。 最初はホラーかなと思わせておいての「実は…」とネタばらししていく展開は、テンポが良くて伏線の回収の仕方も不自然さがなく、登場人物それぞれのキャラクターもしっかり確立されているので、ラストまで退屈することなく楽しめる作品でした。 これは『ゴーン・ガール』のように、結局「男はクズで女は怖い」という原理への着地だと思うのですが、これまた『ゴーン・ガール』と同じく男と女で解釈の異なる作品のようです。 男のヤスオーはファビアナ寄りでした。確かに、けなげで優しいファビアナに傷心のアドリアンが惹かれるのは自然ですし、それに足るファビアナの魅力もじゅうぶん伝わってきたのですが、ファビアナがベレンを見殺しにしようとしたことはスルーなのでしょうか。ベレンが閉じ込められたのは確かに自業自得なのですが、身勝手なアドリアンにちょっと痛い目見せてやろうという気持ちは理解できますし、ふたりの情事を目の当たりにした時の彼女の苦痛たるや想像するだけで胸を引き裂かれるようです。これも私が女でどちらかというとベレン側だからでしょうか。 そもそもの元凶であるアドリアンが負った痛手は、ベレンに続きファビアナまでも失う(であろう)というものでした。しかし行方不明になったベレンを想って流した涙も乾かぬ間にちゃっかりファビアナをゲットし、その一方で仕事仲間との関係も続けていたわけですから、おそらファビアナがいなくなって落ち込んでいてもスペインに帰ればまた新しい女ができるでしょう。つまりたいした影響はないと思われます。 要するにこんな男には騙されるなという教訓も含んでいるのですかね。 PR |
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