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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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韓国の田舎のとある村、谷城(コクソン)。山奥で暮らし始めた怪しい日本人の男。村人が家族を惨殺する事件が連続して起きる中、警察官のジョングたちは、彼が事件にかかわっているのではないかという噂を耳にして彼の捜査を始めます。
彼の家で目にした、秘密の祭壇。壁じゅうに貼りめぐらされた写真。そして娘の靴。
ジョングの不安は的中し、男と関りを持った娘はその日から高熱を発し、人格も変貌してしまいます。とまどう家族は祈祷師を呼びますが、祈祷中苦しむ娘を見かねたジョングの妨害によって除霊はなりませんでした。そして山奥では、謎の男もまた、祈祷を行っていました。
序盤はのどかな村の警察署内、ジョングと同僚のとぼけた会話が笑いを誘います。しかし緑豊かな背景にはそぐわない、生々しい血痕の残る殺人事件によって、雰囲気は徐々に不穏なものへと変化していきます。さらに、國村隼演じる日本人男の不気味な行動、彼の情報をジョングに告げた正体不明の白い女、色鮮やかで騒々しい祈祷など、物語は一気に底なしの闇へと転がり落ちていきます。
娘を思うあまり、人を殺めることもいとわなくなったジョング。変貌したのは彼と娘だけではありません。コクソンに在るすべてが、様変わりしてしまいました。
闇は明けることなく、魂が救われることもありません。
血塗られた村は色を取り戻さないまま、多くの謎を残して物語の幕は降ります。
山奥の男の目的は何だったのか。
なぜ日本人でなければならなかったのか。
なぜ彼の写真を祈祷師が持っていたのか。
見習い神父が見た悪魔は現実なのか。
白い女は敵だったのか味方だったのか。
何もかもが、謎のままです。
しかし、その答えが果たして必要なのかも、わかりません。
人は神ではなく、悪魔でもありません。しかし無償の愛を捧ぐ人のために人を殺めることもできる人は、神と悪魔どちらにもなりうる存在です。人を表現するのに解はひとつではないのです。
祈祷が人を護ることもあれば人を呪うこともできるように。
ならばさまざまな姿を見せた山の男は、神でも悪魔でもなく、ただの人間だったのかもしれません。
この作品を観ている自分自身の中にひそむ、生身の姿だったのかもしれません。

【ヤスオーの回想】

 「ヤスオーのシネマ坊主」では最初4点を付けて、5点に直した映画ですね。どうして最初4にしたのかというと、「何かすごい映画を観た」しか言葉が出ず、そのすごさを言語化できなかったからですね。緊張感とか衝撃とかそういう簡単な言葉で表現できるものではありませんでしたから。

 僕は映画を観る時はストーリーを把握することを最優先で映画を観ています。観る時の集中力は半端ないです。雰囲気に浸って楽しむのは二の次で、画面上のどんな小さな情報でも拾って覚えて考えるよう努力していますから。こういう自分の分析力に自信がある人間がこの映画を観ると最もダメージを負います。どう考えてもストーリーの辻褄があいませんから。ネットを調べたら色々な解釈が載っていますが、おそらくこの映画はそういう解釈を楽しむ映画ではありません。こちらを惑わせて、混乱させることを狙っている映画ですから、ストーリーの合理的な解釈をしようとしても、よけい混乱するだけです。合理性、妥当性というものがあれば安心するのですが、この合理性や妥当性は当然のことながら、その人の頭の中にある常識や感受性を根拠としていますからね。この映画はそういうものを壊しにきている映画ですから、そんなことをしようとしても無駄だと思います。

 しかし、どんな人間でも映画に限らず、日常生活において今目の前で起きている出来事について、考え、理由づけして生きていますから、そういう人間の根源的なところを壊しにかかられると、心がかなり疲弊しますね。おそらく誰もがこの映画を観た後は僕と同じく疲弊しつくした状態で呆然自失となってしまうでしょう。この映画のキャッチコピーの「疑え、惑わされるな」は、登場人物だけでなく我々にも向けられている言葉でしょうが、すべてのことを疑うというのは人間は不可能ですし。疑うにしても、疑う根拠となる思考の基準がありますし、その基準がこの映画では曖昧になりますからどうしようもありません。あれ、この映像はおかしいぞ、と疑っても、そもそもその映像が人の目に見えるものかどうかすらはっきりしませんから。

 まあ、よくこんな映画作ったなとしか言えませんね。制作に6年かかったと監督が言ってましたが、そらそうでしょう。この作品はこの監督のデビュー3作目で、この映画がヤフーでは一番点数が低いんですが、逆に言うと、1作目と2作目は、監督が本気を出していなかったんでしょうね。こんな映画は老若男女問わず万人が評価する作品ではないでしょうからね。
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