・籠の中の乙女:★★☆☆☆
誰もが思うことでしょうが、何ともいえない不快感を抱かせるところがハネケの作品に似ています。ただ、登場人物はみんな頭がおかしいですし、ストーリー展開は常軌を逸していますが、伏線貼りとその回収を数多く丁寧にしすぎて、小さくまとまりすぎましたね。そのぶんハネケほどの衝撃がなかったです。ラストも悪くはないんですが、球を置きにいった感じがします。
・十二人の死にたい子どもたち:★☆☆☆☆
途中一瞬だけこの映画は面白いかもと期待をしましたが、ほとんどの時間は3割ぐらいの集中力で観てました。ラストもこれだけはやめてくれよと思っていた終わり方でした。流行の俳優女優がたくさん出ていて、爽やかで健康的なストーリーの中高生向きサスペンス映画を観た僕が悪かったです。みんな明るくて元気でいいですね。誰も死を覚悟しているように見えないですし。
・天才スピヴェット:★★☆☆☆
ジュネ監督がアメリカが大嫌いなのと年いって丸くなったことだけがわかる、家族の再生がテーマのごく普通のストーリーの映画です。主人公の少年は弟が死んだのは自分のせいとか両親に愛されていないとかトラウマを抱えてますが、こいつは明らかに知的水準が相当高く理論的な思考をするはずなのに、そこらのガキと同レベルの情緒一辺倒な思考なのが違和感がありますね。
・バーニング(劇場版):★★★★☆
伏線だらけのかなり解釈が難しい映画で、ベンが女をビニールハウスに見立てているという僕の素直な解釈が合っているかどうかもわからないのですが、答えなんかどうでもいいですね。何とも言えない虚しさが胸に刺さる映画です。序盤でヒロインのヘミが「みかんがないことを忘れればいい」とか言っていましたが、これはよく考えると重要なセリフでしたね。
・クロニクル:★★★☆☆
設定はベタですが、ストーリー展開が思っていたのと違っていたのでまあまあ面白かったです。スクールカーストが低い奴は承認欲求を満たしてないから、変な力を持ったらロクなことしないということですね。こいつは家庭環境も良くないし、説得力があります。ただ、カメラ視点での描写は、アンドリューが陰キャということぐらいしか表現できないのでメリットがないですね。
・エスケイプ・フロム・トゥモロー:★☆☆☆☆
ディズニーランドが抱かせる健全な幻想と、リストラされ夢も希望もないおっさんの不健康な妄想の対決を延々と描きたかっただけですね。ランドのイメージと反する描写が延々と繰り広げられますが、とにかく退屈で面白くないです。これを観るならディズニーランドに行った方が楽しいでしょう。最後はディズニーが勝った感じで終わってますし、何も得るものがない映画です。
・アントマン:★★★☆☆
マーベル作品らしく出来のいい娯楽作品で、悪いところは特にありません。ただ明らかに続編を意識した作りで、色々詰め込みすぎた感がありますね。主人公の娘への愛情や家庭環境の複雑さを描き、博士とその家族の過去も描き、主人公と博士の娘の恋も描き、主人公と虫との友情も描きで、どうもスカッとしないです。純粋に楽しめたのは娘の部屋のアクションシーンだけです。
・君の膵臓をたべたい:★★★★☆
この映画はおっさんが観たら無条件で感動するでしょうね。ヒロインを演じる女優は演技力は全くありません。ただ、魅力的なんです。「バーニング」と同じ点数ですが、作品としての出来は比べるまでもないです。しかし、お互いに名前で呼び合わないし、好きだの愛してるだのも言い
ません。ラブストーリーなんですが、ラブストーリーではありません。それでいいんです。
・ヒドゥン・フェイス:★★★★☆
まずアイデアがいいですし、ストーリー展開に強引さもなく、ラストもいい感じです。時系列が2段階になっていて、前半は伏線、後半は種明かしとスパッと分かれた構成もいいです。閉じ込められているベレンの独り言が笑えるように、登場人物は善人は1人もいませんが、みんな人間臭くて魅力的です。観て得るものはないんですが、娯楽作品としては非常に出来がいいです。
・ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ:★★★☆☆
ホラー映画のお約束の展開にならないように主人公達が悪戦苦闘するという設定は面白かったです。この映画は乳も出さないし、スプラッター描写もほぼないんですが、そこもあえてそうしたと好意的に解釈しています。ただ、死んだ女優の母が映画の世界にいるという設定は活かせてないですね。「母にまた会えて感動!」「娘のために犠牲になるぞ!」で終わっちゃってます。
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