ホラー映画の中に入り込んでしまった5人の若者のお話。
ホラー映画は苦手ですし、有名どころの『13日の金曜日』や『エルム街の悪夢』すら観たことがないのですが、この作品には、キャンプ場にまつわる伝説、女とヤることしか考えていないおバカ男(そして最初に死ぬ)、無意味に出てくる女性の裸、私でも知っているようないわゆる「B級ホラー」あるあるがてんこ盛り。それなりに楽しめたのは、このコンパクトな世界観の中にそんなあるあるを逆手に取った演出が盛り込まれていたからだと思います。
面白かったのは、『血まみれのキャンプ場』の世界に入ってしまった直後。登場人物たちの乗った車が通りすぎます。あぜんとする主人公たち。車は何度もやってきて、同じセリフを投げかけます。つまり、話しかけないと、物語が始まらないのです。まるでRPGのよう。
最初はとまどっていた主人公たちも、殺人鬼と戦う決意をするにつれ映画の登場人物と親交を深めたり、戦闘場面においてはピンチになると回想シーンに逃げたりとすっかり「映画世界」を満喫。それでも狂った殺人鬼の前にはなすすべなく、ひとり、またひとりと斃れ、それでも最後はファイナル・ガール(処女というのもお約束?)の鮮やかな太刀さばきで勝負決するという、割と普通のエンド(映画内映画の)でした。
映画の登場人物には、主人公の母親がいます。
作品内ではもちろん親娘ではありません。娘は娘と名乗れずに、それでも大切な人と呼びかけます。大好きな母親にもう一度会えた、もう死なせたくない、そんな娘の奮闘と母への愛も、この作品に単純なB級ホラーパロディものからひとひねり加えています。
タダでは終わらないラスト(映画自体の)も良かったですね。
低予算映画をもじった低予算映画でしたが、その低予算を逆手に取った工夫がこらされていて、なかなか面白かったです。
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