さあ、いよいよオリンピックも大詰めです。
競技の終盤を飾るのは男女マラソン。個人的にも思い出深い札幌の地をランナーたちが駆け抜けます。 午前7時スタートと聞いていたのですが、6時に変更になっていたのですね。それも前夜に突然…。ということで、起きた時にはすでに中盤でした。 猛暑の中、一山選手が頑張りました! 入賞はアテネ以来ということは、野口みずきさんが金メダルを取って以降、女子はずっと結果を残せていなかったのですか。トップ2はケニア勢でしたが、3位はアメリカのセイデル選手でした。メダル候補と目されてはいなかったはずです。雄叫びを上げてのゴールにこちらも嬉しくなりました。 女子ゴルフでも稲見選手が銀メダル。男子の時にも思いましたが、朝から夕方までコースを回る選手の体力が心配になるほど強い日差しの下で、一打一打にかける集中力の高さには感服です。 もちろん男子も頑張っていて、飛び込みの玉井選手が寺内選手以来21年ぶりに決勝進出しました。12歳で日本一になってローカルの特集番組で目にした時はまだまだ幼い感じがしましたが(あたりまえか)、その時はパリを目標に…と口にしていましたが、東京代表に選出され、7位入賞は想像を超える飛躍でした。パリでもその力強い飛び込みに期待です。 アーティスティックスイミングと名前を変えたシンクロ競技。かつてはロシアと金を争った注目競技でしたが、いつしか世界の位置づけはロシア・中国・ウクライナに続く4番手になってしまいました。よほど大きなミスがない限り、もともとのランクがそのまま順位になる競技。そしてメダルの可能性が低いと報道も後回しにされがち…デュエットの中継も決勝以外なかったような? チームの演技も日本らしい力強さがあって良かったように思うのですが、ロシアや中国のような均斉の取れた手足による優雅な演技に対抗するための「日本らしさ」は、もう世界においてはそれを超える評価の対象ではないのかもしれません。井村コーチもこれで勇退のようですが…これからの日本ASはどうなっていくのか。願わくば、井村コーチの作り上げた「日本らしさ」を継承しつつ、また世界をあっと驚かせる新しい日本チームになってほしいと思います。 そしてまたレスリングの乙黒選手と須崎選手の金メダルの瞬間を見逃した、それは野球の決勝から目が離せなかったため。 日本の先発は森下。対するアメリカは、今年絶好調のソフトバンク・マルティネス。初回、ランナーを置いて吉田が打席に立ちますが、ライナーゲッツー。やはりオリの天敵…。 森下も危なげなくアウトを重ねていき、試合は投手戦の様相を呈していきます。 均衡が破られたのは3回裏。村上が外角のチェンジアップをスタンドへ叩きこむ値千金のホームラン! しかし得点はその1点のみ。4回の満塁のチャンスもマルティネスの粘りに負け、6回を投げ切られてしまいます。しかしもちろん日本の投手陣も負けてはいない。千賀は四死球でピンチを招くも無失点でしのぎ、伊藤も今日も回またぎで1.1回を投げ切りました。そして無死一塁で左右左と続くところを抑えた岩崎の頑張りこそが、その裏のチャンスにつながったと思います。チームメートのマクガフから山田がヒットを放つと、坂本が初球でバントを決め、そして我らが吉田正尚。センター前の鋭い打球で三塁に止まった山田ですが、送球がそれると見るや本塁に滑り込み、タッチをかいくぐってベースに滑りこみました。この山田の走塁技術、普段はやらないはずのバントをいとも簡単に決めた坂本、そしてここぞでセンターに打ち返す吉田のバッティング。これぞ日本代表、これぞオリンピックにふさわしい最高の野球。最高の選手たちが最高の舞台で最上のテクニックを披露してくれました。 そして最後を締めくくったのは、このオリンピックで獅子奮迅の活躍をしてくれた栗林。あと一球の場面からアメリカが執念でヒットを打つものの、マウンドで気合を入れ直した侍ジャパン。そして次の一球。セカンドゴロを菊池が拾い坂本にトスしてベースを踏んだ瞬間、待ちに待った日本の金メダルが決定しました! おめでとう、侍ジャパン!! WBSCが発表したMVPは山田でした。これは文句なし。普段は対戦しないので単に「スゴイ選手」というイメージしかなかったのですが、こういう場面でじっくり見るとやっぱり「スゴイ選手」だと思いました(なんじゃそりゃ)。打撃や守備が上手いことは知っていましたが、盗塁含めた走塁の上手さにはビックリしました。まさに野球センスの塊。あれ? クジが当たっていたらオリックスに入っていたんだよね…? ベストナインには坂本・甲斐・山本が選ばれました。山田-坂本の1・2番コンビが攻撃陣に勢いをつけましたし、山本も開幕投手として勝利に貢献し、海外にもインパクトを与えたと思います。そして、日本の陰のMVPはやっぱり甲斐だと思います。データの少ない他国の打者を相手に、他球団のさまざまな投手をリードする心労はいかほどだったでしょう。育成下位から正捕手となり、さらには日本代表の正捕手として世界一。漫画でも描けないであろう一大出世物語ですね。 表彰式には涙を禁じ得ませんでした。金メダルを誇らしげに掲げる山本・吉田にはもちろんなのですが、胸に提げてもらったメダルをすぐに空へと向けた大野を見たからです。木下投手の姿をそこに思い描いたからなのでしょう。降り始めた雨は、天国からの喜びのメッセージだったのかもしれません。 そして翌朝のネットニュースには、ディクソンを真ん中に山本・吉田との3ショットの写真が。また泣いちゃいました。ディクソンありがとう! 銀メダルおめでとう!! PR
野球の敗者復活戦は、アメリカが快勝。連戦の韓国は前日投手をつぎこんだこともありましたし、疲労がありましたかね。これで決勝の相手はアメリカとなりました。ハマスタをホームグラウンドとするオースティン(オリファンにとってはトラウマ)は強敵ですし、他のバッターももちろん難敵です。この日登板しなかったディクソンの出番はあるでしょうか。吉田との再戦も楽しみです。
東京での新種目空手の形では、金メダル候補として有力視されていた女子の清水選手は涙の銀メダルでした。空手を観たのは初めてですが、音楽もない、静止している時間もある、けれどその演武の間目を離せず、呼吸、声、手足の動きが空を切る音、その空間を席巻する緊張感が画面を通じて伝わってきました。パリでは落選してしまった種目ですが、海外の選手が金メダルを取った価値も大きいのかなとも思います。 もう決勝進出しても驚かなくなってしまった卓球女子団体ですが、やはり中国の壁は厚かった。ダブルスで最初のゲームを取った時には心躍ったものですが…中国の真骨頂はここから。あとは伊藤選手が1ゲーム取っただけで、完敗でした。どこに打っても返されて、徹底的に研究されていたように感じます。ただ、それだけ日本が強敵になっているということなのかもしれません。 お家芸レスリングでは、女子の川井姉妹が昨日今日で金メダル。阿部兄妹に続く、きょうだい金メダルを獲得しました。野球と卓球でその瞬間は観られなかったのですが…。 20km競歩でも日本人が銀・銅メダル。目指すところは金メダルだったと悔しさもコメントしていましたが、札幌といえど猛暑の中完歩することだけでも凄いのに、メダルまで獲得、畏敬の念しかありません。 翌朝は50km競歩。最も過酷なレースと言われオリンピックでの開催は今回が最後になりましたが、限界に挑戦し続ける選手たちには観ているだけで涙が出てきそうでした。2位争いの壮絶なデッドヒートも、最後の最後で3位の選手を抜いて銅メダルを獲得したダンフィー選手にも、途中で倒れ地面を叩いて悔しがるもすぐに立ち上がり6位入賞した川野選手にも、このレースを戦い抜いたすべての選手に心からの拍手を捧げたいと思います。 男子卓球は3位決定戦。所用から帰宅したのはちょうど水谷選手の第4試合が始まったところでした。1ゲーム目の壮絶なデュースを制したことで波に乗ったのか、水谷選手のボールさばきが冴えわたり相手を翻弄。エースは張本選手と公言し、実際団体戦では張本選手のシングルスでの強さが光っていましたが、やはり最後頼りになったのは水谷選手でした。熱血末っ子の張本選手、クールな次男の丹羽選手、そして彼らをまとめるのが経験豊富な水谷選手という、三者三様の個性がそれぞれ輝いて勝ち取った銅メダルだったと思います。 18時からはサッカーの銅メダルマッチ。終始メキシコの強さが目立っていて、日本はなかなか攻めどころがありませんでした。延長ばかり戦って疲労があったのか…サッカーのことはよくわからないのですが、早々に2点取られて気持ちの面でも追い込まれているように映りました。試合終了後、泣き崩れて立ち上がれない久保選手の姿には、決してオリンピックが最高峰でない世界にいてもなおこの大会に賭けてきた思いの強さがうかがえ、胸を打たれました。 サッカーの時間が早まったことで観ることができたのは空手男子形の喜友名選手。その空間を支配する迫力の凄まじさは、いないはずの敵の姿が見えるようでした。沖縄発祥の空手で、沖縄初の金メダリストと期待され、プレッシャーも想像を絶するほど抱えていたと思いますが、畳に上がって降りるまで、その戦いの中に存在していました。「残心」というそうですが、空手の世界の奥深さに少し触れられたような気がします。 レスリング向田選手の金メダル、クライミング女子の野中・野口両選手のメダル獲得、そして女子バスケの決勝進出を見届け、最後はいよいよ4×100mリレー。三大会連続メダル獲得なるか、誰もが固唾を呑んで見守ったのではないでしょうか。 予選は慎重になったせいかタイム順では最下位。決勝は大外9レーンに配置されました。多田選手は最高のスタートを切ったように見えたのですが…2走山縣選手の手にバトンは渡りませんでした。 きっといろんな背景があったのだと思います。個人戦では調子が振るわずリレーに不安を残していたでしょうし、リザーブメンバーの練習も多くは積めなかったでしょうし、何よりも他国の走力がどんどん上がっていて、もはやバトン技術だけでは追いつかないところまで来ていたように思うのです。それでも攻めていくと決めて、攻める姿勢でのぞんだリレー侍。ひとり責任を負うかのようにうなだれた多田選手ですが、誰ひとり悪くない。攻めた結果なのですから。いつの大会だったか、日本がバトンミスで失格となり、失敗した選手を囲んで慰めていたレースを憶えています。そこから日本は強くなりました。この敗北が日本リレー陣の新たな挑戦の始まりの時なのだと信じています。
2日は野球の準々決勝アメリカ戦。3回裏、先制打を放ったのは我が軍が誇る吉田正尚! なかなかいい活躍を見せています。対する日本の先発は田中。「田中はだいたい6回が限界なのに、短期決戦で全力投球なのだから3回で代えるのが妥当」という我が家の解説者の言葉どおり、4回に集中打を浴びて逆転されてしまいます。そして稲葉監督の気になる投手交代の遅さ。逆転されてようやく岩崎に交代し、なんとか1点差で切り抜けました。そしてその裏には坂本のタイムリーで同点に! 本当に心強い選手です。…と、喜ぶべきところですが、打たれたのがディクソンだったのでなにやら複雑。しかもその次は吉田とかつての同僚対決。ここはディクソンに軍配が上がりました。元気そうで何よりです。
と、追いついたその直後に青柳を選択する稲葉監督。短期決戦において重要なのは見切りの早さだと思う…。かつての渡辺俊介や牧田のような活躍を青柳に期待していたのでしょうが、もうその戦略は失ったと思っていました。青柳のためにもならないですよね。 そんなベンチワークのミスを救うのはいつも選手。鈴木・菊池と不調だったバッターで2点を取り返し、1点差に。しかしその後は膠着し、ついに最終回。四球で一塁にランナーを置いて、浅村が渋い右打ちでつなぎ、柳田の内野ゴロで同点に追いつきました! 目立ってはいないものの、浅村はいつもこういう重要な場面で役割を果たしてくれます! 試合は延長へ。10回からタイブレークが適用されます。この大事なマウンドをまかされたのはルーキー栗林。緊張する場面を、しっかり3人で打ち取りました! その裏、日本が選択したのはバント。村上の代打栗原が一球できっちりと決めました! そして、続く甲斐が内野5人シフトを超えるフェンス直撃の長打を放ち、サヨナラ勝ち! 6回を三者三振で締めた千賀を含め、このソフトバンク陣のメンタルの強さよ。さすが日本一を知る男たちです。あそこで一球でバントを決めるのも、ヒーローになる一打を放つのも、オリでは想像できない…。これで日本は準決勝進出を決めました。変則トーナメントが適用されるこのオリンピックですが、勝てば勝つほど試合数は少なくなります。このまま全勝で決勝といきたいところです。 夕方には体操女子種目別ゆかで村上選手が銅メダル獲得。女子個人初のメダルは快挙です。 さらに野球を一時中断して視聴した3000m障害は、順大の三浦選手が7位入賞! 身体の大きな外国人選手に囲まれても臆することなく障害をクリアしていく姿、ラストスパートには心が震えました。 テレビ中継はなかったのですが、興味深かったのが馬術。戸本選手が4位入賞とメダルまであと一歩だったのですが、馬が超える障害物に意匠がこらされていて、ちゃんとテレビ画面で観たかったです。馬が驚いたのか? ミスが続出しただるまの置物が撤去されたというニュースもありましたが…動揺せず落ち着いて障害をこなす馬の技術というのも重要なポイントだそうで。速報では選手の下に馬の名前も表示されていますから、人馬のペア競技みたいなものなのかもしれません。馬にもメダル授与されるのかな。 飛び込み男子板飛び込みで決勝進出した寺内選手に、会場がスタンディングオベーションで拍手を送ったというニュースには、心があたたかくなりました。6度目の五輪に出場するまで現役を続けてきた裏には想像を超える努力と苦しい時間があったことでしょうし、それをこの会場にいる誰もが理解していたからこそ、飛び込み界のレジェンドと認め、惜しみない称賛を送ったのでしょう。(その肉体美に魅せられ)ずっと応援してきたのですが、メダルには届かずともこうしてスポットライトを浴びたことに嬉しく思いました。 ベテランのレジェンドの功績が讃えられる一方、若いエースがオリンピックの舞台で生まれる瞬間もまた存在します。女子ボクシングの入江聖奈選手は、リングの上でのファイターぶりと優勝の瞬間のぴょんぴょんジャンプやカエル好きをアピールするインタビューでのあどけなさのギャップぶりが微笑ましかったです。女子やり投げで決勝進出した北口選手の大喜びする姿も、観ているだけでこちらも幸せになりました。もちろん国籍かかわらず、自分を超えたアスリートたちの歓喜は、オリンピックに欠かせない感動の瞬間です。 体操男子種目別鉄棒の橋本選手は、個人総合の金とあわせて2冠達成。本当に美しい演技でした。内村選手がベテランとなり、白井選手も引退して、今後の体操界はどうなるのだろうと言われていましたが、こうしてニッポン体操の伝統は確実に未来へ受け継がれていくのですね。これからも彼らがつないできたニッポンの美しい体操を見せ続けてほしいと思います。 この日の最後はサッカー準決勝。強豪スペイン相手に、堂々と渡り合いました。延長も残り5分、PK戦も見えてきた時間の、本当に一瞬の隙でした。見事な美しいゴールを決められ、日本の金メダルの夢は潰えました。試合後の、「オリンピアンとメダリストは違う」という言葉に、決してオリンピックが最高峰ではない競技で戦う彼らの、このオリンピックにかける覚悟を見たような気がします。 4日はまた記録にも記憶にも刻まれる瞬間がありました。スケートボード女子パークで、日本選手がワンツーフィニッシュ! 金メダルの四十住選手も素晴らしいですが、銀メダルの開選手は12歳! 銅メダルのスカイ選手も13歳! 甥姪より年下! 4位の岡本選手も、守りに入ればメダル圏内なのに攻めた演技に出て転倒してしまいました。失意の彼女にまわりの選手たちが駆け寄る姿は、大人たちの心を動かしました。 それ以外にも、女子バスケが残り時間わずかで逆転3ポイントシュートを決めはじめての準決勝進出を決めるというスラムダンクみたいな劇的展開! 女子1500mでも田中選手が予選に続いて日本記録を更新し、日本人初出場の種目でもちろんはじめての決勝進出を決めました! 多様性というオリンピックの大義名分を具現化するように、女子選手がめざましい活躍を見せています。 さて、夜はいよいよ野球、運命の準決勝です。 先発は山本。そして立ち上がりの悪いいつもの山本。四球から二塁打でいきなり一死二・三塁のピンチを招きますが、そこはさすがの山本。連続三振でピンチを脱します。 韓国の先発は変則投手。やはり初見では難しいのか、なかなかチャンスを作れない中、3回に坂本の犠飛で1点先制します。本当に頼りになる。5回には吉田(!)のタイムリーが出て追加点! これいけるかも! …と、すぐ甘い考えに流れるのが悪い癖。6回、先頭に打たれるとエラーがらみで無死二塁。しかも打順は好打者のカン・ベクホ。鋭くレフトに飛ばされてあっという間に1点差に。さらに怖い3番イ・ジョンフにつながれ、さらには交代した岩崎がスライダーを拾われて同点にされてしまいます。やはりそう簡単にいくわけなかった…。それでもすぐストレート主体に切り替え連続三振で切り抜けたのは立派でした。 韓国は打者にしても投手にしても、戦略を練って勝ちにきている姿勢が見られました。左三人に左を当て、甲斐のところですわ右投手にスイッチ。近藤の帰塁でリクエストされた時には肝が冷えましたが…失敗に終わり、韓国はチャレンジ権を失ってしまいます。 同点の7回から登板したのは伊藤。ペナントでもルーキーらしからぬ堂々とした印象を受けていましたが、ロジンつけすぎと相手ベンチからクレームを受けてもまったく動じず「追いロジン」。呆れるくらいの強心臓はランナーを出そうが打たれようが飄々と2回無失点に抑えます。こりゃ後半戦も難敵になりそうだな…。 韓国は投手を積極的につぎ込んできます。8回裏、一死からようやく柳田が出塁すると、続く近藤は一ゴロ併殺…かと思いきや、ベースカバーに入った投手がベースを踏みそこね、辛くも塁に残りました。問題はその後。なぜかフェアグラウンドからゆっくり帰塁しようとする近藤。あわてて野手がタッチに行くも、塁審はノーカンの判定。しかし相手ベンチからの抗議を受け、協議に入りました。私は野球もソフトもしたことがないので知らなかったのですが、我が家の解説者は「一塁を駆け抜けたら外に出るのがあたりまえ。いちばん最初に教えてもらうルールや」と大激怒。しかし判定は変わらず、チェンジはまぬがれました。近藤はタッチされても進塁意思なしを表すように悠々としていましたが、それでも審判によってはアウトになってもまったくおかしくない事例だったようです。本当に肝が追い冷えしました。 しかしそれが韓国の若いピッチャーのリズムを乱したようです。暴投で進塁させると村上は申告敬遠。甲斐も四球を選び、二死満塁。ここでバッターは山田、国際戦では本当に頼りになるバッターが、ここでもやってくれました! 初球を振りぬいてあわやホームランのフェン直走者一掃タイムリー!! 日本は一挙3点をもぎとり、いよいよ最終回を迎えました! そろそろ平良の出番か、と思いきや、選択したのはここでも栗林。交代前にはベンチで甲斐が直接電話で話すというめずらしい場面もありました。おとといはタイブレークを凌ぐというきつい場面で登板したところですから、疲労もたまっているでしょう。さらに緊張からか四球と暴投でピンチを招きますが、周囲からの声かけもあってひとつずつアウトを重ね、試合終了! 日本、決勝進出を決めました!! この日のヒーローは、山田はもちろんですが、無失点に抑え流れを取り戻した伊藤、そして2勝2S栗林の存在を抜きには語れません。一年延期がなければこの2投手は不在だったわけです。これも何かのめぐり合わせなのかもしれません。 さてその決勝の相手は、明日の敗者復活戦アメリカ-韓国戦の結果待ちとなります。いずれにせよ、最高の結果を願ってその日を待ちたいと思います。
30日は陸上が始まり、3000m障害・三浦選手や走り高跳び・戸部選手が決勝進出。勢いをつける良いニュースです。バドミントンでも渡辺・東野ペアが意地の銅メダルを獲得しました。
一方、終盤に向かっている競泳は、瀬戸選手・萩野選手が出場する200m個人メドレー決勝が行われました。リオから5年、さまざまなことで苦しんできたふたり。この大会で瀬戸選手は結果を残せず、無責任な周囲の声で精神的に追い込まれているのかなという言動も見受けられました。萩野選手もかつての泳ぎを取り戻せない中、ようやくつかんだ代表権でした。ライバル同士切磋琢磨することで日本の競泳界を牽引してきたふたりの200m。もしかしたらともに泳ぐのは最後になるかもしれないこのレースを、ふたりは渾身の力で泳ぎ切りました。悔いを残すことのないよう今の自分にできる最大限の力を振り絞ろう、そんな思いが伝わってくるレースでした。「一緒に泳げて幸せだった」、ふたりがともに口にしたこの言葉がすべてなのだと思います。思うようにはいかなかったこの一年。この200mで、お互いがお互いを苦しみから救い上げたのかもしれない。いち競泳ファンとして本当に良かったと心から思いました。 個人戦最終日となる柔道は、女子最重量級で素根選手が金メダル! 小柄ながら相手を圧倒する強さが画面を通じて伝わってきました。原沢選手は打倒リネールを果たしてほしかったのですが、その舞台が3位決定戦になるとは思ってもいませんでした。しかし今回もリベンジは果たせませんでした。リネール選手の威圧感はまったく変わっていませんでしたね。どうして準々決勝で負けたのだろう…。 夜はフェンシング決勝。ランプがないとどちらが勝ったのかまったくわからない素人ですが、フルーレと違いエペは日本人が不利な競技と言われていることは解説の説明で理解できました。しかし準々決勝でオリンピック3連覇中の世界ランク1位フランスに勝利し、準決勝も勝ち上がってきた勢いは、さすが史上最強のエペジーーン。決勝の相手も世界ランクこそひとつ上のROCですが、日本の勇敢な剣士たちは一歩も引きませんでした。最後まで攻め続けて45点目をもぎ取った瞬間は、解説も座ったまま立ちくらみを起こすほどの歴史に刻まれる感動的なシーンとなりました。山口さんの解説は選手やフェンシングに対する愛にあふれていて、素人でも最後まで感情移入しながら競技に熱中できました。 このオリンピックは熱気あふれる解説が多いように思います。そのひとりが柔道の穴井さん。最初こそ落ち着いていましたが、日程が進むにつれ日本が好成績だからか重量級になったからか感情ダダ漏れで、解説というよりもはや感想や願望を口にすることが増えました。31日の柔道混合団体も、穴井節大爆発。女子の園田さんが冷静なせいか、交替するたび振り幅が大きかったです。でもドイツ戦で大野選手が敗れた時は一緒になって「うっそー!」と叫んでしまいました。 決勝ではフランスの意地を感じました。個人戦ではふるわなかった分、団体では何としても金メダルをという気持ちが強く見えました。日本ももちろん金メダルを目標にしていたとは思いますが、フランスのひとりひとりの執念は日本のそれを凌駕していたように思います。しかし個人戦ではメダルに届かなかった向選手、階級の違うリネール選手に果敢に挑んだウルフ選手の奮闘は強く心に刻まれました。 野球は2戦目。森下がいきなり失点した時にはドキリとしましたが(しかもメネセスやないかい!)すぐさま取り返し逆転、快勝でした。甲斐の活躍が光っていました。山田や坂本にもホームランが出ましたし、いよいよエンジンがかかってきたでしょうか。吉田正はこの日はノーヒットでしたが、今のところ守備のアラも目立っていませんし、交流戦で打ちまくったハマスタでそろそろ一本見たいところです。ただ4番鈴木のノーヒットは気になります。 アーチェリー男子個人では古川選手が銅メダル。ラスト一射で淡々と10点を射抜く姿は、ベテランならではの貫禄でした。 アスリートの集中力には本当に感服です。夜のサッカー男子もPK戦になりましたが、もう見ているだけで心臓バクバクなのに、みずから一番手に立候補してしっかり決めたり、相手のキックを止めたり、ここで決めれば勝ちというところできちんとネットに蹴り込んだり、ピッチ上ではいったいどんな心境なのかもはや想像もつきません。 もちろんその集中がいい方向に進む時もあれば、うまくいかないこともあって、勝負は時の運とはよく言ったものだと思います。陸上の花形競技である100mでは、日本人三選手は決勝に進むことはできませんでした。コンスタントに10秒を切る実力がなければ準決勝にすら行けないほど、世界のタイムは上がっているということなのでしょう。 一日じゅう競技を堪能できるのもあとわずか。1日ははじめて観る自転車BMXで次々くり出される技に驚かされました。大技連発で大逆転金メダルがあったり、自転車から両手両足放して空中で舞ったり、解説と一緒に「ヤバイ!」を連発してしまいました。大池選手がニコニコ楽しそうに演技しているのが印象的でした。 競泳は最終日。最後のレースとなる男子のメドレーリレーでは日本新記録を出し、有終の美を飾りました。しかし結果は6位。隣の1レーンから金メダルを獲得したアメリカは世界新記録。競泳界の高速化にこれからの日本がどこまでくらいついていけるか、新たな人材の育成も待たれるところです。 フェンシング男子フルーレ団体はエペに続くメダル獲得はなりませんでしたが、世界ランク上位の国にも臆せず攻めていく姿勢には感動しました。それにしても、フェンシング部なんて普通の学校にはないし、選手たちはいったいどこで出会ったのだろう? …とよそで話したら、この近くにも教室があると教えてもらいました。意外に身近なのですね。きっと入門希望者が増えることでしょう。 100m決勝前のプロジェクションマッピングは豪華でした。さすがオリンピックの花形競技です。女子はジャマイカが独占しましたが、男子は混戦。ボルト引退後はじめてのオリンピックを制したのはイタリアのヤコブス選手でした。ただ準決勝では中国の選手が9秒83とトップタイムを出しました。アジア人でも世界と戦える証左になったのではないでしょうか。
まだまだ熱は続いています。
今大会まだメダルのなかった男子競泳陣ですが、200mバタフライで、本多選手がようやくやってくれました。萩原智子さんの解説も熱かったです! 競泳解説は誰がやっても最後解説にならないですね(笑)でもそれがいい。そして女子は唯一奮闘している大橋選手が200mでも金メダルを獲得し、二冠達成! さまざまな苦労を重ねた選手が活躍している姿には、本当に勇気づけられます。 さてお昼からは野球が開幕。初戦をまかせられた山本由伸…ですが、やってくれましたね! 試合じゃないですよ、よりにもよって前日にスキャンダルが流出したことですよ(怒) そりゃーさー、健康な青年だから彼女と逢引したくもなるのだろうよ。例の合コンもコロナ禍で既婚者というインパクトがあったから記事になったのだろうし、人気球団のように記者にはりつかれる機会も今まではなかったのだろう。しかし今は立場が違いますからね。オリックスのいち選手という気楽な立ち位置ではなく、日本代表のエースですからね。注目度が違うのだから、時期と立場をわきまえーや…。(そしてこれは本来関係ないんだけど彼女の元彼が同じくプロ野球選手というのもなんだかな…) というわけで試合前からガッカリさせられたのですが、そんなスキャンダルにもめげないメンタルはさすがというかなんというか。試合は作れたようですね。日本もなんとかサヨナラ勝ち。吉田正も3-2とまずまず。いつも国際大会の初戦は固くなる侍ジャパンですが、ここから調子を取り戻してほしいです。 帰宅してからは今日も柔道。準決勝での新井選手とROCタイマゾワ選手の熱戦には力が入りました。目を腫らして、何度も技から逃れるタイマゾワ選手の執念には圧倒されましたが、新井選手も粘り負けしませんでした。決勝もポイントを先取して守り切り、柔道初日からの金メダルラッシュを途切れさせませんでした! 畳を降りるまできりりとしていてカッコ良かったです。 体操個人総合では、団体でも素晴らしい演技を見せた橋本選手がはじめてのオリンピックで金メダル! つり輪で順位を落とし跳馬でミスした時にはヒヤリとしましたが、平行棒で巻き返し、最後の鉄棒で見事大逆転劇を見せてくれました! 怪我を抱えた北園選手も5位入賞と健闘し、体操ニッポンの血は脈々と受け継がれていることを実感させられました。 その間に、バドミントンの桃田選手の予選敗退のニュースが。驚きました。金確実と言われていたリオを不祥事で逃した後も、真摯に競技に取り組み世界に君臨してきました。そんな中、見舞われた不幸な事故。絶望かと思われたオリンピックへの道は、一年の延期で再び開きました。絶対に金メダルを取ってほしい、取らせてほしいと祈っていました。敗因は語られませんでしたが、無情な結果になってしまいました。 桃田選手に続いて、29日もバドミントンではフクヒロペアもナガマツペアも準々決勝敗退と意外な結果が続きました。テニスでも、大坂選手に続いて錦織選手も敗退。メダル確実といわれて実際に獲得する難しさを、この大会でもあらためて感じます。 そんな中柔道はこの日も好調。濱田・ウルフ両選手が金メダル! 濱田選手は寝技でのオール一本勝ち、技術の高さに圧倒されました。ウルフ選手も延長に入ってからのきれいな大内刈りで一本! 日本男子の重量級の強さが戻ってきました。 シングルスでも金メダルをめざした卓球の伊藤選手は、準決勝でライバルの中国選手に敗れて3位決定戦に。最初のゲームを奪取されてから怒濤の4連勝、さすがの強さを感じました。しかし伊藤選手の目には悔し涙。卓球女子シングルスでメダルを取るのは史上初の快挙です。少し前までは夢のまた夢だったはずでした。それなのに伊藤選手の口からは、金メダルを逃した悔しさしか出てきませんでした。 伊藤選手はずっと高みを見ているのだなあ…時代は変わったのだな…としみじみします。 |
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