『おちょやん』
「エールロス」のせいで、最初はなかなかハマれませんでした。しかもいきなり口汚い河内弁ですし、これ河内以外の視聴者(自分は河内出身である)はついていけるのだろうかと心配になったのですが、案の定視聴率も『エール』に較べて落ちたようです。 それでも奉公が始まって舞台が道頓堀に移ると、登場人物も増えて背景も華やかになり、こちらもようやく頭の切り替えができてきました。ちび千代ちゃんの好演もあって、おちょやんのこれからにがぜん期待感が湧いてきました。 松竹新喜劇の看板女優がモデルの朝ドラながら、吉本芸人がテンポの良さを担っています。ほっしゃんや板尾はさすがドラマ慣れした貫禄で、この時代の役者らしい陰影もあり、杉咲花や成田凌を支える存在となりそうです。 一週目の雰囲気を重くした要因の典型的ダメダメ人間テルヲや栗子は、娘を奉公に追い出しながら自分たちは夜逃げして行方不明という、二週目にして早や評価が地に落ちてしまいましたが、のちのち彼らの大逆転はあるのでしょうか(『スカーレット』の常治なみの)。かわいらしかったヨシヲの行く末も気になります。 一平の幼少期は『スカーレット』のちび武志だったのですね。まったく気づかなかったのですが、成田凌に面差しが似ていて驚きました。 夫婦関係でいえば浪花千栄子の夫も『スカーレット』のモデルの夫と同じような(クズ)エピソードがありますが、やはりここは『スカーレット』同様ソフト化あるいはカットするのでしょうね…クズ平になる成田凌は見たくないし…しかも朝から…。 こんなご時世すらあかるく笑い飛ばせるような、『エール』とは違った角度から我々の背中を押してくれるドラマになるといいですね。 『逃亡者』 二夜連続、渡辺謙主演とあって、作り手の気概を感じる骨太なスペシャルドラマでした。 主人公が「逃げる」ドラマは最後まで捕まらないとわかっているので、そこまでどうやって緊張感を持たせるかが鍵だと思うのですが、このドラマはスケールの大きいロケと豪華な俳優陣、そして疾走感ある脚本で四時間あまりだれることなく一気に視聴できました。 動機に無理ないかとか、水深浅そうな渓谷に飛び込んだら死ぬだろとか、素性隠して犯罪者に面会できるんかとか、ツッコミどころは際限ないものの、こういう作品は細かいところを気にすると負けだと思うので…。 渡辺謙はさすがでした。細かいツッコミすべてを蹴散らすような迫力で、最後のひとことまで存在感がありました。 そのケンワタナベに対峙する刑事がトヨエツ。長い足で追いかける姿は画面映えしますし、たたずまいだけで威圧感があるので適役だった…と思うのですが、なんだか違和感がありました。もっとカッコよかったような…。昭和みたいな髪型だからか? Gパン刑事のせいか? 特別広域捜査班の面々もそれぞれキャラ立ちしていて良かったです。 『麒麟がくる』(承前) コロナのあおりをもっとも受けた作品のような気がしてなりません。 もともと朝ドラはこぢんまりした世界観の中でまったり描かれるものですし、多少制約を受けても話が削られても大筋の展開に影響はなかったでしょうし、しかも『エール』はそのテーマと社会情勢をうまくマッチさせて表現することに成功しました。 しかし大河ドラマはそうもいきません。とくに今年は戦国時代。次々登場する豪華な出演者、大勢入り乱れての合戦シーンは戦国大河には欠かせないものです。 コロナによる休止を経て、あきらかにスピード感がなくなりました。 売れっ子ばかりの俳優陣のスケジュール調整の困難さ、大人数でのロケ撮影の中止は想像がつきますし、さらに主要人物のコロナ感染もあって、脚本は大幅に書き変えざるを得なかったはずです。 それは理解できるのですが、流れがあまりにも雑すぎて物語に集中できません。 『太平記』で室町幕府の始まりを書いた池端俊策は、この『麒麟がくる』で室町幕府の終わりを書きたいと言っていたので、当初から予定されていた展開なのかもしれませんが、当初はものめずらしいと感じていた幕府や朝廷のエピソードも、要人が次々登場しては駆け足で消化されていくので、ほぼ印象に残りません。「この人いる?」と感じる、わずかな登場だけの人物もいます。おそらく、当初からキャスティングされていた人物をさっくり削るわけにはいかないのでしょう。そうなると出演時間を減らされるのが主人公。すっかり存在感がなくなっています。 明智光秀が主人公である以上、最終回は本能寺の変のはずで、そこに至るまでの信長との関係がどう描かれるのか、光秀と信長がはじめて対面した時から興味を惹かれていました。しかし今のところ、ふたりの関係に進展はほぼありません。というか、いつの間に光秀は、敵将が言うように信長の重臣になっていたのでしょうか(家臣になることを断ったのは憶えている)。こういうあたりが「雑」に感じる原因です。 他にも、要人を登場させるためのまさに「駒」になっている駒の扱いも雑ですし、戦嫌いでヒステリックになっている義昭の変心(滝藤賢一の迫真の演技はさすがですが)も雑です。三淵・細川兄弟なぞいつの間にか消えていますし(細川はコロナ感染のせいもあると思うが)。 並行して観ている『太平記』と較べても、コロナ前の『麒麟』と較べてさえもあまりにも残念な部分が多すぎて、コロナさえなければ! と口惜しくてなりません。 まあ、本能寺の変が気になるので最後まではがんばって観ますが…。 PR |
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