今年は、世界選手権中止に始まって、日本選手の出場予定だったグランプリシリーズがことごとく中止となり、フィギュア好きにとっても淋しい年になりました。
実戦を積めずに全日本がぶっつけ本番という選手も多い中、コンディションを整えるのは相当難しかったと思います。 それでも心を揺さぶる演技ばかりでした。 《男子》 王者奪還。 圧倒的でした。コーチ不在も何のその、羽生結弦選手のパフォーマンスは群を抜いていました。スピン0点で物議を醸したSPはダンサブルなナンバーでノリノリに、FSでは一転和風の音楽で静かにしかし激しく燃える闘志を表現し、それぞれ違った魅力を味わわせてくれました。 中でもFSは圧巻でした。謙信公が憑依していたのではないかと思うほどの気迫で、音楽との調和という点では、まるでスケートの軌跡が音を奏でているようで、思わずフィギュアスケートという競技であることを忘れそうになりました。まばたきも忘れてのめりこんだ4分間でした。羽生選手が伝えたいこと、このスケートにこめた思い、伝わったと思います。 5連覇はなりませんでしたが宇野選手、演技中に笑顔を見せたのはめずらしいなと思いました。今まではずっと厳しい、苦しげな表情が印象に残っていたので。たぶんそのくらい余裕を持って、楽しくスケートに向き合えているのだろうなと感じます。本調子ではなさそうに見えたので、来年の試合ではどんなブラッシュアップされた演技を見せてくれるのか、楽しみです。 3位は鍵山選手。全体的にNHK杯より磨かれていたように見えました。個人的にルッツ-ループのコンビネーションが好きなので、鍵山選手がプログラムに組み込んでいるのは何だかうれしいですね。17歳でこの舞台度胸、これからののびしろにワクワクします。 《女子》 紀平選手が見事な4回転サルコーを決めて連覇達成。ラベンダーの衣装もリンクに映えてまるで違う世界に連れていかれたかのようでした。4S&3Aを組み込む女子選手は他にいないのではないでしょうか。まだ滑りなれていない感のあったこのFSは世界選手権の頃にはロシア勢を凌駕するような、完成しつくされたプログラムになっているはずです。SPのトリッキーな片手側転も話題を呼びましたが、つくづくこちらの予想をどんどん良い方向に裏切っていく選手です。限界はどこにあるのでしょうか。 坂本選手のマトリックスは昨年に較べてブラッシュアップされていました。迫力あるジャンプを大きな武器とする坂本選手にぴったりなプログラムです。滑りからあふれる自信を感じました。昨年は悔しい結果に涙でしたが、やっぱり坂本選手は笑顔でいなければ。 宮原選手がふたたび表彰台に戻ってきたのは本当にうれしかったです。SPは6位スタートとなり、FSでもミスがあったものの、演技後にはガッツポーズ。宮原選手が今やろうとしていたことは出し切れたのだと思います。宮原選手らしい繊細で丁寧な感情表現はリンクの上で咲き誇っていました。有力選手が次々引退したのち、当時はミスパーフェクトと呼ばれ隙のない演技で日本女子を牽引してきた宮原選手ですが、その後自分のスケートを見つめ直して結果が出ずに苦しんだ時期もありました。しかしそんな中でも、リンク上に独自の世界を描く宮原選手の表現力はひときわ輝いていました。本当に美しい、世界観に浸って見惚れる演技でした。 四大陸選手権は中止となり、次なる大会はは世界選手権。場所は3月のストックホルムですが、その頃世界情勢がどうなっているのか、想像もつきません。 しかしオリンピックの枠取りもかかる大事な試合。今回、すばらしいスケートを見せてくれた選手も含め、今年お目にかかれなかった世界のさまざまな強豪たちもさらなる高みを目指しているはずです。 どうか、無事に開催されますように。 PR |
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