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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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往路優勝を果たした創価大、総合優勝まで駆け抜けていくか。
東洋大、駒澤大は大逆転を狙い、
帝京大、東海大もチャンスをうかがいます。
シード争いに回った青学大は、前回覇者としてどんな走りを見せてくれるでしょうか。

今年も最後まで目を離せない箱根です。

《6区》
首位から10分以上離された一斉スタートは4チームという接戦で幕を開ける復路。優勝に向けては、2分以上先を行く創価大が有利であることは間違いありません。7区にエース西山選手を配置した東洋大、ここで少しでも差を詰めたいところ。もちろん駒澤大も負けてはいません。すぐに追いつくと下りで一気に抜け出しました。
6区の関門は最後の平坦コース。誰もが苦悶の表情に変わるそのタイミングで合流する運営管理車からの監督の声が、背中を押します。
創価大・濱野選手は快調に飛ばしトップで襷をつないだものの、駒澤大・花崎選手は最後までハイペースで走り切り、その差を1分8秒に縮めました。57分台は文句なしの区間賞。後続に希望を託します。
山上りを4位で終えた帝京大ですが、下りで9位に落ちてしまいました。その後ろには、10位に順位を上げた青学大、続く早大も迫っています。

《7区》
東海大に抜かれて4位に落ちた東洋大。3年前の1区で華々しいデビューを飾った西山選手が最後の箱根を迎えました。悔いのない走りをしてほしいと願っていましたが、区間12位と最後までその実力を発揮することはできませんでした。
先頭を行く創価大・原富選手は冷静でした。駒澤大との差は詰まるどころか開いていくばかり。中継車という壁のない2位以降には負担となる冷たい風も吹いていたようです。1年生の花尾選手にとっては、見えない敵を追うには厳しい環境だったでしょうか。1分51秒差、逆転が厳しくなってきました。
青学大がさすがの走りで7位浮上。帝京大、早大も10位以内をキープ。神奈川大のランナーはアクシデントでしょうか。シード圏外に順位が落ちました。

《8区》
青学大は、当初12位だったことを忘れてしまうくらいどんどん順位を上げていきます。さすが実力者の岩見選手、王者の走りを体現しているかのような力強さです。
創価大は4回目の箱根、監督は2度目の采配とは思えません。タイム差から気持ちの余裕もあるのかもしれませんが、それ以上に冷静なペース配分が光ります。すべての選手が想定以上に完璧なレースを展開しているように見えます。
しかし7区で離されたその距離を、駒澤大・佃選手が詰めていきました。焦ることなくしっかりと前を追い、その差を1分29秒に縮めて9区に託しました。
区間賞は歴代2位のタイムを叩き出した明治大・大保選手。戦前は優勝候補に挙げられていた伝統校が往路では後れを取ったものの、ここで意地を見せてくれました。

《9区》
例によってあまりテレビに映らない創価大。しっかり駒澤大を引き離していきました。先頭を行く者にしかわからない昂揚感、爽快感が自然と足取りを軽くするのでしょうか。4年生の石津選手が、引退レースなのがもったいないような、区間賞に輝く快走を見せてくれました。笑顔でつないだその先に見えるのは、栄光と歓喜のフィニッシュテープのみ。
そして、見えない先を追う者のプレッシャーの程もまた、はかり知れません。初の箱根の山野選手には苦しいレースとなりました。その差は3分19秒ともはや絶望的に。
青学大が鶴見でついに4位浮上しました。スタート時のおよそ4分差を詰めたことになります。来年へ勇気をつなぐような復路の躍進です。
シード争いは戸塚時点での6位順天堂大から10位帝京大が混戦となり、そこに明治大が参戦する様相となりました。38秒差を最後のランナーに託します。
21チームがここまでつないできた襷ですが、石津選手の好走もあって20分後に山梨学院大・専修大が繰り上げスタートとなりました。あと少しだったのですが…。

《10区》
やはり、最後の最後まで目の離せない箱根でした。
理想的なレース展開で優勝を目前にしていた創価大でしたが、最後の最後に駒澤大が、最後の最後まで諦めない気持ちを見せてくれました。
10区がスタートした時には絶望的に思えたその差が徐々に縮まっていき、残り2キロ、東京のど真ん中での大逆転劇。大八木監督の「男だろ!」が「おまえは男だ!」に変わった時は心が震えました。
箱根を観始めたのは、駒澤大が箱根を制覇し続けていた頃。そんなささいなことがきっかけで好きになった藤色の襷。なかなか箱根の頂点へ戻れない時期が続きましたが、駒澤大の頑張りと大八木節はいつもお正月の楽しみでした。
全日本・箱根の2冠達成は、平成の常勝軍団だった駒澤大の諱が、令和の常勝軍団に書き換わった瞬間なのかもしれません。
すぐそこまで来ていた栄光にはわずか届かなかったものの、創価大は間違いなくこの大会をいちばん盛り上げた存在となりました。総合3位を目指していたはずが総合2位、想像以上の結果から得た自信と悔しさは、来年必ずさらなる大輪の花を咲かせるはずです。
連続総合3位以内の成績が途切れ復権を目指した東洋大と、前年王者として堂々復路を戦ってきた青学大。強豪校同士のプライドがぶつかり合った3位争いもまた、胸打つものがありました。最後には死力をふり絞って前に出た東洋大に軍配が上がりましたが、青学大も往路12位からの復路優勝は立派な成績です。ここでも諦めない気持ちが光りました。
黄金世代が卒業した後も常勝軍団を目指した東海大。総合5位はこれからも強い東海が続くことを予感させました。
6位早大に続いて予選会組唯一順大が7位に入り、帝京大、國學院大もシードを獲得。最後の椅子は、ヴィンセント選手の貯金を守り切った東国大が手にしました。明治大は懸命に前を追ったものの、あと26秒届きませんでした。

アンカーを迎える集団も胴上げもない大手町。淋しくはありますが、今年の箱根も心熱くなる瞬間の連続でした。
しかし世界はまだまだ予断を許さない状況が続いています。
通りすがりとは到底思えない数の観衆が集まってしまったことに、多くの苦言がネット上には集まっていました。公道を使う競技である以上無観客で開催することはできませんし、自粛要請に強制力はもちろんないのですが、せめて最低限の良識ある行動は取れないものかと中継を観ていて苦々しく思う場面は少なくありませんでした。
おそらくこの状況が今年じゅうに変わることはないでしょう。
来年もこの感動を味わえるかどうかは、今にかかっているのです。






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