柔道で唯一決定していなかった、男子66キロ級オリンピック代表選手。
一進一退の選考レースは、阿部一二三選手と丸山城志郎選手のワンマッチで決することとなりました。 コロナ禍の中、無観客で行われた決定戦は、まばたきも、呼吸すらも忘れるほどの緊張感。緊迫感。臨場感。 ふたりの試合は、日本刀と鉈の戦いと喩えられていました。まさに言い得て妙、対峙する彼らは、こちらも画面越しに斬りつけられるような凄みと殺気を身に纏い、相手を見据えて勝負の一瞬を待っていました。 結果として、勝敗は別れました。 オリンピック代表の座は、阿部選手のものとなりました。 しかし称賛は、両者に与えられるべきもの。 オリンピックの決勝であっても、これほどまで心を動かす対戦にはなかなかお目にかかれないでしょう。 途中からはもう、悲しくさえありました。 なぜ代表枠はひとつでしかないのかと。 開催国枠でふたり同時に出場するすべはないものかと。 彼らが、その一瞬にどれだけの時間をかけてきたのか。 これまでふたりが背負ってきたもの。人生賭けてつかみ取りたいもの。 伝わりました。痛いほど、苦しいほどに。 24分間、心臓をわしづかみにされていました。 終息の気配を見せないコロナ禍において、オリンピックは本当に開催できるのだろうか、選手のためにもさっさと中止にしたほうがいいのではないだろうか。そんな風に思ったこともありました。 しかし、この試合を見せられては、そんな思いも消え失せました。 彼らだけではありません。すべてのアスリートが、大舞台のためにどれほど時間を費やしどれほどのものを犠牲にしてきたか。 それらが報われてほしい。 勝ち負けの末の涙は尊くて美しい。ですが、その場所すら与えられないと知った時の涙など、絶対に見たくありません。二度と見たくないのです。 こんな時だからこそ、心を揺さぶられる瞬間が必要です。 なりふりかまいません。世界じゅうのいろんな神様に祈ります。 どうか2021年は、穏やかな日常が戻りますようにと。 純粋にスポーツを楽しめる年であれと。 PR |
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