10/15 パ☆☆☆☆B-H☆
これまでの3戦、空席残る京セラドームに対し、心ないネットメディアは「CSなのにガラガラ」だの「球団は集客できる阪神と日本シリーズをやりたがっている」だの、さんざん書いてくれました。 土曜日、この大一番で球場は大入り満員じゃないか! 午後6時、大歓声に送られマウンドに上がったのは、山岡泰輔。 ルーキー山下やビドルという選択肢もあった中、中嶋監督が選んだのは、後半戦不調から脱しきれなかった山岡でした。監督が起用したのだからきっと勝算があるに違いないだろうけれど、また初回から打たれてしまうのではないかという不安は拭い切れませんでした。 しかしそれも、初回の投球を観て霧散しました。 もっと言えば、初球のストライクで、今までの山岡とは違うことを感じました。縦スラを決めたその背中に、ミットの音に、これまでにない気迫がこもっていたのです。3人で終えガッツポーズでマウンドを降りる山岡に、いつもの笑顔はありませんでした。いろんなものを抱え、背水の陣で臨んでいることが伝わってきて、こちらの背筋も伸びる思いがしました。 戦う顔をしていたのは相手先発の和田も同じ。さすが、何度も修羅場をくぐってきたベテランです。今年は打ち勝ってきたはずの投手ですが、天敵の時に戻ったかのように隙を見せてくれません。吉田正すらまさかの空振り三振で、今日の和田は今までとは違うと確信しました。 投手戦の様相を呈してきた中盤。1アウトから周東の打球が山岡の足を直撃します。紅林の正面に転がり2アウトとなったものの、山岡はいったんベンチに下がり治療へ。ここまで飛ばしてきましたし、交代でも仕方ないと思いましたが、山岡は再びマウンドへ戻ってきました。しかし牧原・柳田に連続ヒットを打たれピンチを招いてしまいます。痛みがあったであろう中、それでもデスパイネを抑え、4回を投げ切りました。 山岡の頑張りに応えるべく、打線はその裏、3番中川がしっかりヒットで出塁すると、続くは吉田正尚! 「前の打席は三振だったから、この打席は打つ!」というファンの予言(願望)を裏切らない吉田正尚! 打った瞬間確信の5階席! 大観衆の拍手と歓声を一身に浴び、めずらしくベンチに向かってポーズを決める吉田正尚! 今日は誰もがひと味違う!! 5回からは継投へ。昨日投げずに済んだ宇田川が登板。追加点が入らなくても、インターバルをはさんでも、2イニングをしっかり抑えてくれました。頼もしいことこのうえなし! これで山﨑颯→ワゲス→阿部と目途が立ちました。 そして6回裏。泉から二死二・三塁とチャンスを作って打席は頓宮。センターへ上がった飛球を、前進守備していた牧原が一直線に追いかけます。抜ける、と思われた打球はダイビングした牧原のグラブの中へ! 2点タイムリーのはずが一転チェンジ…。ただ牧原を讃えるしかない、超ファインプレーでした。 これで潮目が変わるかもしれない、という予感はありました。しかし山﨑颯がその牧原を三振に取り、柳田は四球になったものの、続くはデスパイネ。山﨑颯の直球なら打たれないだろうから大丈夫。そう信じていました。 バッテリーにも同じ油断があったのでしょうか。 さすがは強打者デスパイネ。当たらないと思い込んでいた157キロストレートを弾き返され、打球は悲鳴とともにレフトスタンドへ…。 あとは勝ちパターンに任せるだけと思っていた試合は、一瞬にして振り出しに。 とはいえ延長引き分けならオリックスの勝ち抜けです。耐え抜くしかありません。が、しかし、12回まで同点で済むのか? もし負ければ宇田川は明日使えない、先発も想像できない、かなりヤバいのではないか? …と、ひとりパニックになっていたオリファン。 しかし、中嶋監督は腹をくくっていました。引き分けでもいい、今日で終わらせる、という意志を持っていたのでしょう。8回表に選んだのは、山﨑颯の続投という選択肢でした。下位打線とはいえ、打たれた投手を続投させるのはなかなか勇気のいることだったと思います。颯一郎はそれほど信頼される投手になれたということなのでしょう。デスパイネに打たれた後も内野手全員に声をかけられ、その後のふたりを抑えていましたが、先発の時と較べ気持ちの強さもまるで別人になりました。しっかりと起用に応え、3人で終わらせます。 そして8回裏、マウンドは3連投の藤井。チャンスがあるならここだと思っていました。2アウトになるものの吉田正・杉本が連続四球で二死一・二塁、打席は安達。前の打席もチャンスで投ゴロだっただけに「代打西野は!?」といきり立つオリファンに対し、我が家の解説者は「中嶋が出さへんのやから何かあるはずや、右打ちできるとか」。その言葉どおり本当に出ました、安達得意の右打ち! 満塁となったところでコールされたのは代打・西野! 実は6回裏のチャンス時も、安達や頓宮のところで「西野を出さないのか」とこぼしていたオリファン。そして「西野はとっておきや。まだここぞではない」と言っていた我が家の解説者。そう、「ここぞ」はここだったのだ! が、あえなくレフトフライに…。西野でダメなら仕方なし…。 9回表は周東・牧原とうるさいのが続くためか、ワゲスではなく阿部が登板。牧原にはヒットを打たれますが、柳田はこの打席少しかかっていたのか、センターフライに抑えます。それでもフェンスギリギリ、息が止まりかけましたが…。 さらにはホームランで気分が良いであろうデスパイネ。前回はスプリット連投で三振に取りましたが、今日の落ちは今ひとつ。ボール先行になった時は血圧が上昇しましたが、なんとか外野フライで終わります。 こんな綱渡りでは12回まで心臓がもたんのですが、9回裏の相手はもちろんモイネロ。1アウトから若月がヒットで出塁すると、3連戦のアレが脳裏をよぎりました。さらに福田が四球を選ぶと、球場がますます沸き上がります。こちらの興奮も急上昇。そして打席はサヨナラ男の宗。こういう時はやってくれるはず…が、一ゴロで二塁封殺。 宗が走って二・三塁となるも、中川はこの場面で前回三振しています。ネクストには吉田正が控えるものの、今回はアウトになればチェンジの場面、空振りで追い込まれてしまいます。 前回同様変化球で来るのか…と予想した5球目。相手バッテリーが選んだのはやはりスライダーでした。 そして中川はそれにくらいつきました! 執念の打球は三遊間を破り、若月還ってサヨナラ勝ちーーー!! 伏見に抱き上げられびしょ濡れで両手を突き上げる中川を取り囲む笑顔のオリックス選手たち(そしてなぜか杉本にお茶をかける福田)、中嶋監督と熱い抱擁を交わす中川の写真は永久保存版! 昨年の日本シリーズ決定シーンも劇的でしたが、今年は今年でまったく別の感動がありました。昨年は活躍できなかった山岡はじめ、様変わりしたブルペン陣、そして中川。本調子でなかった吉田正ももちろん、今年にかける思いは並々ならぬものがあったはずです。そんな彼らの奮闘が、ここに結集し、勝利をもたらしたのだと思います。 今年のオリックスは最後まで泣かせてくれます。 いやまだ最後じゃなかった。本当の戦いはこれからだ! 今度こそヤクルトにリベンジだ!! 最後の最後まで嬉し泣きさせてくれるオリックスであることを期待します!! そしてサヨナラに沸く中、最後のボールを宗に返球し健闘を称えるように挨拶した今宮の対応には胸が熱くなりました(あとで動画で観た)。宮城の死球の時も紳士的でしたし、ちょっとファンになっちゃいました。 PR |
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