・彼女がその名を知らない鳥たち:★★★★☆ いい映画ですね。終盤の展開はミステリーとしても人間ドラマとしても衝撃的で、鳥肌が立ちました。陣治の行動は好き嫌いが別れるでしょうが、僕は十和子を純粋に愛していたと思います。職場に十和子レベルの容姿と若さで複数のイケメン既婚者に弄ばれてる女がいて、そいつと仲は良いので、十和子の生き方も不快ではなかったです。人はいつ真実に気づくかだけですからね。・シッコ:★★★☆☆ 僕ももうおっさんなので、「アメリカ最悪!イギリスやフランスは素晴らしい!」とは思いませんし、英仏も映画には映っていない闇の部分があるとは思いますが、医療制度のドキュメンタリーを2時間退屈せずに見せるというのはすごいと思います。ただ、マイケル・ムーアは初めて観ましたが、思ってたより大したことしないんですね。もっと無茶する奴だと思ってました。・レスラー:★★★★★ 社会で上手く生きていけない孤独な主人公の話です。しかしそれは自分のせいなので、同情の余地はありません。最後、死の危険があるのにリングに上がったのも自分の判断です。何回もフラれまくったストリッパーが最後はほだされて一緒になると言ったのに、それでもリングに上がります。そんな主人公の生き方が、哀しいというか切ないというか、とにかく心に刺さりますね。・アメリカン・ピーチパイ:★★★☆☆ さすが隠れた名作として有名なだけあって、ジャケットやタイトルからは想像つかないぐらいよくできた映画です。ただ、デュークに顔と体格以外まったく魅力を感じないので、どうしてヒロインはこんな男を好きになったんだと疑問に思うところが大きなマイナスですね。男装したヒロインは普通に男に見えましたし、脇役にも魅力的なキャラクターが多かっただけに残念です。・七つの会議:★★★☆☆ ストーリーはベタな勧善懲悪で何のひねりもありません。演出や撮影にも光るものは何もありません。主役を演じる野村萬斎は明らかに只者ではないオーラがあり、サラリーマン役は合いません。しかし、娯楽映画として割り切れば、僕のようなうだつのあがらない社会人のおっさんは、仕事で色々ストレスが溜まっているので、こういう映画で溜飲を下げ楽しめますね。・言の葉の庭:★★★★☆ この監督は毎回背景描写が上手ですが、この作品も雨が降った時の公園の描写は本当に綺麗ですし、味覚障害や和歌の伏線の貼り方も上手いです。「七つの会議」の監督には全く感じない繊細なクリエイターとしての才能をひしひしと感じます。しかし最後靴を渡さないのは僕はやっぱり納得できないですね。ジャケットにも書いているように恋愛映画ではないのはわかるんですが。・ドッグヴィル:★★★☆☆ 簡素すぎるセットは人物に集中できますし、色々な人間が同時に見えるのでこういう映画には向いているかもしれません。終盤は父娘で受容だの傲慢だのわけのわからない議論をしていましたが、僕のように宗教に全く興味がない人は、全員性格もクズで能無しの村人達への復讐にカタルシスを感じたらこの映画を楽しめます。それにしてもこの監督は女を虐める描写が上手ですね。・-less[レス]:★★☆☆☆ よくまとまってはいますし、道中家族間で暴露合戦が始まったり、エンディングロールの最後にブラックユーモア溢れる家族写真を出したりなど差別化に頑張ってはいるのですが、よくあるパターンのサスペンス映画でした。僕のようにこういう映画をよく観ている人は開始数分でオチはわかります。あと、結局オヤジの居眠り運転が不幸の原因というのも感情移入しづらいです。・1408号室:★★★☆☆ 1408号室に入るまでは面白かったんですけどね。いい俳優を使っているだけあって主人公と支配人の会話も緊張感がありました。いや入ってからしばらくの間の小さい仕掛けも良かったです、ただ、だんだん仕掛けが大味になってきてみるみる失速していきました。死んだ娘や別居した嫁を絡ませるのもベタでつまらないですね。風呂敷の広げ方だけは上手かった映画です。・思い出のマーニー:★☆☆☆☆ 絵はきれいで作品の雰囲気もジブリっぽいんですが、作り手の言いたいことがまるで響かず、アニメである理由もない作品です。宮崎駿のすごさがわかりますね。全くかわいそうと思えない主人公の自己憐憫にイライラし、この主人公は最後は明るく元気で素直ないい子になるんですがその理由もわからず、マーニーとの関係性が分かっても何の感動もなくで、全然ダメでした。・ブリムストーン:★★★★☆ただの変態DVオヤジの話なんですが、緊張感があって格調も高く、構成も巧みでいい映画です。主人公は何も悪いことしてないのに酷い目ばかり遭いますが、99%牧師のせいですから宗教も救いになりません。この時代の女性に限らず世の中何も悪くない人も酷い目に遇いますし、それでも強く生きていく主人公の生きざまは素直に感動しました。ラストの逮捕はやりすぎですが。・翔んで埼玉:★★★☆☆ ラスト以外はだれることなくそれなりに楽しんで観られたので、娯楽映画としてはまあまあの映画だと思います。僕の郷土が関東地方ならもっと楽しめたなと思うのが悔しいですね。職場で席が隣の埼玉県出身の職員は絶賛していましたしね。ただ、僕も若い頃に埼玉に何か月か住んでいたので、埼玉県にとっての東京は池袋ということは理解できました。僕もよく池袋にいました。・オキュラス/怨霊鏡:★★☆☆☆ 過去と現在が同時進行に描かれ、場面場面がシンクロする珍しいホラーです。過去の部分は鏡が見せている幻影だよとも解釈できますし、アイデアとしては破綻はしてないんですが、あまりにも現実と過去が交差しすぎて観ていて落ち着かなくてイライラしました。姉の勝負を挑む気持ちは応援したいのですが、幻影使いの鏡があまりにも強すぎるので無理ゲーすぎるのも難点です。・ワナオトコ:★★★★☆ 「SAW」のパクリ映画を何十本と観ている僕でも、この映画は予想外に面白かったですね。タイトルはイマイチですが。終始緊張感がありますし、主人公が一回家を出て助かったのに女の子を助けに戻るところも、ご都合主義と腹が立たなかったので、人物描写もできているんでしょう。殺人鬼の蜘蛛には優しいところやラストの箱を蹴るシーンもどこかユーモラスで良かったです。・鑑定士と顔のない依頼人:★★★☆☆ クレアの「何が起きようとあなたを愛している」の言葉が偽物の中の唯一の真実として、それを信じてナイト&デイで待つ、愛を知った主人公で終わる、ハッピーエンドかバッドエンドかよくわからない余韻があるラストはさすが巨匠だと思いましたが、結局は「マッチスティックメン」と同じオチの、全員悪人の映画ですからね。ミステリーとしてはそんなに面白くなかったです。