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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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アイルランド戦の勝利で、信じることの大切さを理解していながら、それでも心弱くなっていました。

「引き分けでもいい」「負けても7点差以内ならいい」、そんな自分の後ろ向きな考えは、試合が進むにつれていつの間にか一掃されていました。

ただ、勝つのみ。勇敢な桜たちは最後まで勝ちを目指し、駆けました。

日本有利と見られていたサモア戦。しかし始まってみると、絶対に勝たなければいけないサモアのパワーに押し込まれ思うような攻撃ができず、逆に反則を取られる場面が増えました。それでも鍛え上げられた運動量は最後まで衰えることなく、ボーナスポイントをもぎとるまで最後の最後まで戦い抜きました。バックスもモールに入って全員で押し切ろうとした場面はボルテージも最高潮に達し、試合終了の銅鑼が鳴ったことすら聞こえないくらい、スタジアムもテレビの前も大熱狂でした。

3勝0敗。それでも決勝トーナメントが決まらない、複雑なルールのラグビーW杯。プールA最後の試合、相手は奇しくも前回、唯一の敗戦を喫し予選敗退となった相手のスコットランド。どちらも勝つことが大前提。力と力のぶつかり合いが続いた80分の文字どおりの死闘は、台風の災禍と悲しみに見舞われた日本へ大きな勇気と希望をもたらしました。

先制されるも取り返し、日本リードで終えた前半。松島&福岡の両いだてん(フェラーリ)が快足を飛ばせば、ドラマで見たようなオフロードパスでスコットランドの堅固な守備の合間を抜いてフォワードが決める。日本の強さの源である「ONE TEAM」を感じる内容に、「イケる!」と確信した前半でした。
しかし、そこはティア1の意地。スコットランドは後半、選手を入れ替え流れをつかみにきました。戦略は的中し、すぐさま7点差に。そこからは忍耐の時間でした。トライされないことはもちろん反則も犯せない場面で、日本は耐えて耐えて耐え抜きました。最後の最後でボールを奪い取り、そして始まったカウントダウン。一緒になって「5、4、3…」。

そしてその時がやってきました。
歓喜する赤と白、地面に倒れ込む紺のジャージ。
祝福の叫びと万歳と、響き渡る『Rising Sun』そして『馬と鹿』。この選曲は泣く。もう泣くしかない。

歴史が変わった瞬間に、立ち会っているのです。
そう、これは四年に一度じゃない、一生に一度の感動なんだ。

それでも日本チームにとっては通過点のひとつでしかありません。
すでに彼らの目は決勝トーナメント最初の相手、南アフリカに向いています。「ブライトンの奇跡」はすでに過去のこと。もちろん今大会も優勝候補の南アフリカですが、日本を格下ではなく、倒すべき強豪と認めたうえで向かってくるでしょう。
すでに選手たちは満身創痍、負傷交代した選手の状況も気になります。
それでも信じたい。もう後ろを向いてはいられない。信じるしかない。
次の夜もまた、拳を握りしめ歯を食いしばって、テレビの前から信じる力を届けます。





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