『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督作…のわりに、まったく知りませんでした。 『カメ止め』でも使われていた、複数構成で前半の伏線を後半で回収する方法、これを上田監督の持ち味として印象づけたい意図があったのかもしれませんが、この作品は3人による共同監督・脚本。そのせいでしょうか、全体的に雑然としていて『カメ止め』のような爽快感は皆無でした。 映画において共同監督というものがどういうメリットを齎しているのかはよくわかりませんが、3人共同制のこの作品では亀田家・兎草家・戌井家というちょうど3つの家族が登場します。しかしどの家も複雑な事情を抱えているのに、描き込みが足りていません。とくに戌井家においては、亀田・兎草家に較べてその背景がより陰鬱にもかかわらずいちばん描写が薄いので、三人の少女が主人公と表に出しているわりには、消化不良感がはなはだしくありました。 そもそもイソップ童話で思いつくのは『うさぎと亀』で、このお話も兎と亀の因縁に犬が絡んでしまう展開でしたから、『よくばりな犬』は蛇足だったのではないでしょうか。そして犬の童話がどう関係していたのかもよくわかりません。 また、後半に盛り上がるべきところでちょっとしたおふざけが入るので興が削がれましたし、ネタバラシのタイミングが悪く、前半の伏線も強引すぎて最後まで入りこめませんでした。 …とけなしまくりですが、これは『カメ止め』のせいでハードルが上がってしまったゆえでしょうか。 誰かひとりで作り上げたら、もう少しまとまったはずなのに…という気がしないでもありません。 PR |
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