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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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NHK杯の練習での羽生結弦選手の負傷は、フィギュア界に衝撃を与えました。
注目選手がのきなみ不在とあって盛り上がりが心配されましたが、ベテラン陣の魂のこもった熱演と日本の若手選手の奮闘で、見ごたえあるNHK杯となりました。
で、グランプリシリーズをほぼ全視聴して思うのは、やっぱり中継はNHKがいちばんだなあということ。
このGPFも、日本開催なのに生中継じゃないってどういうことなのよ。番組内で結果が出るまで、CM中もスマホをのぞくの我慢しましたよ。
全日本もオリンピックも世界選手権も、全部NHKでやってくれませんかね…。

《男子》
4回転を成功させるどころか、上に行くにはSPですら複数の4回転を跳んであたりまえという、超・超ハイレベルな4回転時代を迎えている男子フィギュア界。その先頭を行くのが、「ネイサン、事件です」との見出しも記憶に新しいネイサン・チェン選手。5種類の4回転をマスターしているうえ、アメリカらしい力強さと個性を兼ね備えた若手選手です。羽生選手の負傷も、ネイサン選手に触発されて4Lzをプログラムに組み込もうとしたゆえのアクシデントでした。
しかし、パーフェクトな演技とはならず。SPの貯金で優勝は果たしたものの、FSは2位と悔しい結果に。宇野昌磨選手も4Fに加え、4Lo、4Sに挑んだ結果、跳べていたはずの4Tの失敗につながってしまい、わずかな点差でネイサン選手に逃げ切られてしまいました。
時代が進むにつれてプログラムの難度がどんどん上がっていくのはスポーツにおいて当然の流れでありますが、このところの急激な4回転志向は選手への負担があまりにも大きすぎます。今大会では上位選手が高難度の4回転に複数挑みましたが、転倒や失敗が重なり、総合点は前年に較べて低いものとなりました。しかも、解説の織田信成さんが言及していましたが、4回転を組み込むことで助走が長くなり、結果演技構成点の低下にもつながってしまうようです。フィギュアというスポーツは技術と芸術の融合でありますから、どこかで4回転時代に歯止めをかけなければいけない必要があるように思います。五輪後には何かしらのルール改正があるようですが。
そんな中、4回転がなくても「魅せる」演技で会場を惹きこんだのが、ジェイソン・ブラウン選手とアダム・リッポン選手。親日家で日本でもファンの多いブラウン選手ですが、NHK杯のキス&クライでは日本語で書いた羽生選手あての手紙を披露し、ますます人気が高まりました。個人的にも、ジェイソン選手の演技は大好きです。最初から最後まで目が離せず、曲の終わりが惜しく思えるほどです。
アダム・リッポン選手のFSも見ごたえ充分で、本当に鳥が羽ばたいているようでした。ベテランの域に達しているにもかかわらず4Lzに挑戦する意気込みは素晴らしいです。NHK杯エキシビションでの熱唱にはビックリでしたが。
皇帝プルシェンコ以来目立った選手が不在だったロシア男子ですが、ここへ来て復活したベテランのセルゲイ・ボロノフ選手と、若手ホープのミハイル・コリヤダ選手が、世界の中心に踊り出てきました。
NHK杯での気力体力を振り絞った熱演が印象的なボロノフ選手は、FSのラストのポージングで会場を沸かせてくれました。全身からこぼれだす男の色気に、ほ、惚れそうです。
コリヤダ選手はまだ粗削りですが、高さのある4回転とロシアらしい貴公子的雰囲気が魅力です。安定した演技で表彰台をものにして、まだまだ男子フィギュアにロシアありと存在感を放ちました。

《女子》
ロシア陣の表彰台独占かと思われた女子ですが、メドベージェワ選手が怪我のため出場辞退。NHK杯では足にテーピングが見られ、めずらしいミスもあったため、その時点でかなりの負担があの細足にかかっていたのでしょう。本番はロシア選手権とオリンピックですから、回避は当然の措置です。
そのため、補欠選手であった宮原知子選手の出場が決定しました。全日本に照準を当てていたでしょうし、怪我明けのため休養が欲しかったところかもしれませんが、オリンピックの枠が2つしかないことを考えると、ここで結果を残しておくことも必要かもしれません。
復帰戦でのNHK杯ではさすがに振るいませんでしたが、その2週間後のアメリカ大会では見事に表彰台を勝ち取り、今回もSPで完璧な演技を披露してエース復活を印象づけました。FSは最終滑走の緊張と、調整の難しさもあったのか、回転不足が目立って順位を落としてしまいましたが、昨年からいちだんと磨かれていたのは演技構成の部分でした。
『SAYURI』と『蝶々夫人』、日本女性の芯の強さと清楚な美をあわせ持つふたつのプログラムは宮原選手にぴったりですが、技と技の間も表現を怠らず、濃密なつなぎをしっかりアピールできているように思いました。怪我でジャンプの跳べない間も、自身の向上に研鑽を重ねてきたであろうことが伝わりました。努力家の宮原選手らしい貫禄の滑りで、全日本に向けて手ごたえを感じたのではないでしょうか。
いっぽう悔し涙が止まらなかったのは樋口新葉選手。溌溂としたSPと迫力あるFSはオリンピックという大舞台にふさわしく、樋口選手の出場に賭ける思いの強さを感じます。とくにFSのスカイフォールは、会場一体となって盛り上がることのできる素晴らしいプログラムだと思います。GPSでもしっかり結果を残し、出場権獲得レースを一歩リードしたかと思われましたが、今大会のFSでは調子を落としていたうえ、ミスのリカバリーに頭がいっぱいになってしまったのか、途中からあきらかにスピードが落ちてしまいました。リカバリーはしっかりできていたので、あとはメンタルの持ちようかと思いますが、これも16歳でシニア2年目という経験の浅さゆえなのでしょうか。全日本までになんとか立て直してほしいです。
30歳という年齢でGPFの舞台に帰ってきたカロリーナ・コストナー選手。彼女の演技を今年も見られることに幸せを感じます。ジャンプの基礎点が低いためひとつのミスで点数が落ち込んでしまいますが、演技構成点の高さはさすがベテラン。4度目のオリンピックでの、コストナーの絶品スケーティングを楽しみにしています。
怪我でのブランクを経て大舞台に帰ってきたケイトリン・オズモンド選手の見違えるような演技には、瞠目させられました。今季のSPのエディット・ピアフは彼女の代名詞になるのではないかと思うほど、印象強いプログラム。FSを苦手としているようですが、今回はさすがの貫禄でした。パワーと情感のカナダが帰ってきました。
表彰台の2トップを飾ったのは、今年もおそロシア。シニア1年目でGPS2連勝を飾りファイナルも制したアリーナ・ザギトワ選手と、長身かつ可憐で完成度の高い演技が売りのマリア・ソツコワ選手。
ザギトワ選手は、ジャンプはすべて後半、しかも3Lz-3Loを武器とします。トンデモナイ選手が出てきました。これこそ事件です。セカンドに3Loを持ってくる選手がついに現れたことに、なぜ世間はもっと騒がないのか!? 安藤美姫さん以来ではないか? それもセカンドの3Loには頑として回転不足としか判定しなかったジャッジですら加点を付けざるを得ないクオリティ。なぜロシアは毎年毎年、雨後の筍のごとく逸材が出てくるのでしょうか。JGPFでは4Sに挑んだ選手がいたというし…。
ただ、女子選手につきものなのが体型変化。ロシアは民族性からかとくに顕著なようですが、ソチ五輪で活躍したリプニツカヤ選手は、その後摂食障害をわずらって今季を前に引退を表明しました。個人的に好きなポゴリラヤ選手も、今季ひとまわり身体が丸くなってジャンプの感覚に苦しんでいるように見受けられます。ザギトワ選手も15歳でちょうど成長期にあたりますが、このまま順調に乗り越えていってほしいですね。
こうなると、気になるのがロシアのオリンピック出場の問題。とくに女子フィギュアにおいては、ロシアの独壇場です。もし出場がかなわなければ淋しい限りですし、オリンピックメダルの価値が落ちてしまう可能性もあります。お国柄の問題もあるでしょうが、なんとか個人出場の道を開いてほしいものです。

GPFが終わり、今年残すは全日本選手権のみとなりました。
オリンピックの出場がかかった今年の全日本は、より緊張感のある競技会となります。
男子においては宇野昌磨選手が出場権を確実なものとしましたが、心配なのは羽生結弦選手の怪我の状態。万が一全日本に間に合わなくても実績からして選出は問題ないでしょうが、オリンピックまでブランクを開けることに不安もあるでしょう。選手側の冷静な判断を待ちたいと思います。
残る1枠は誰が手にすることになるでしょうか。有力視されていた無良崇人選手がGPSで実績を残せず、田中刑事選手・村上大介選手も怪我を抱えているため、若手も含めて熾烈なものとなりそうです。
女子は、ほぼ全日本一発勝負。安定感ある宮原選手がわずかに有利とはいえ、爆発力のある樋口選手、枠取りに貢献した三原舞依選手あたりを中心に、白熱した戦いになりそうです。他にもアメリカ大会で表彰台に乗った坂本花織選手、実績のある本郷理華選手に加えて、白岩優奈選手や本田真凛選手も控えています。実力伯仲、横一線。見ているこちらも笑顔に涙、2週間後は忙しい週末になりそうです。
年齢制限でオリンピックには出られませんが、JGPFで女子ではじめて3Aー3Tを決めた紀平梨花選手の演技も楽しみです。

余談ですが、女子の3Aのメリットのなさは、前々から疑問でした。単独3Aより、3Lzからの3-3のほうが高得点のため、後者を選択し濃密なつなぎで完成度を高め加点狙いでトップを狙う傾向は、メドベージェワ・ザギトワ・ソツコワを抱えるエテリ陣営の戦法の成功により、ますます顕著になっていくのではと思います(もっともザギトワのセカンド3Loは一石を投じるかもしれませんが)。
浅田真央さんは競技会から去りましたが、3Aへの挑戦の火は消えておらず、トゥクタミシェワ選手や長洲未来選手がプログラムに組み込んでいます。しかし失敗すれば大幅減点となる大技は、その後のダメージや演技構成点にも影響してなかなか結果に結びつきません。各国の表彰台を狙う主力選手が挑むにはあまりにもリスクが大きすぎて、「ベテランが果敢に挑戦する大技」にしかなっていないのが現状です。
それでも彼女たちのチャレンジ精神を無駄にしてほしくありません。
リスクなく3Aに挑める採点方法が確立できれば、それが女子フィギュアの進歩につながるのではないかと思うのですが…どうなんでしょう。



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