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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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夜中、なにやら重くて目を覚ますと、
お互い背を向けて眠る私とツレの間に、ミーコが寝そべっていました。

冬の一時期、寝る前にベッドで本を読んでいるとなぜかいつもやってきて、
枕元に座り込んで「入れて」とアピール。
仕方なくふとんを持ち上げると、のそのそもぐって腕を枕におさまります。
何しろ8キロの巨体ですから、痺れてくるのも時間の問題。
腕を抜いて反対を向くと、しばらくは背中によりかかっているのですが、そのうちあきらめて出ていきました。なぜかそれが冬の彼のルーティンでした。

その時と同じ、重みでした。
背中にずっしり感じるのはミーコの重みでした。

ああ、帰ってきたんだな。

目を覚ますと、実家でした。父と母と食卓を囲んでいると、ミーコがやってきて鳴きました。
「どしたの、またトイレしてきたの」
神経質なミーコは、トイレが終わると「掃除して」と訴えに来るのです。
そのおしりには、忘れ物がありました。
「お母さん、またミーコがぶらさげて帰ってきてる!」
「あーあーもう、仕方ないねえ」と、ティッシュでお尻を拭かれるミーコ。

粗相をするようになってから旅立ちまで、一、二年のことでした。

せっかく戻ってきてくれたのに。

またくり返すのかな。

老いて弱って細っていくミーコを、また見なきゃいけないのかな。

またあんな辛い思いをしなくちゃいけないのかな。


・・・


目覚めると夜明け前でした。
2月23日午前5時。

寄りかかってくる感触は、まだはっきりと背中に残っていました。

そういえば、昨日は猫の日だった。
だから帰ってきてくれたのかな。
写真をもらってからしばらく思い出にふけっていたから、気まぐれに寄ってみたのかな。

どうしていつまでもこんなに悲しいのだろう。
どうしたら涙を流すことなく思い出せるのだろう。

どうしたらまた会えるのだろう。





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