白鵬がいなくなり、鶴竜も休場、豪栄道は負けが込み、高安も早々に大関復帰は絶望的に。
孤軍奮闘の貴景勝で、どこまで場所を盛り上げられるかといった前半戦でしたが…。 終わってみれば、予想もつかないような満員御礼で千秋楽を飾った初場所でした。 徳勝龍の名前はもちろん知っていました。 ローカルニュースで、関西出身力士の今日の結果が紹介されるのですが、豪栄道から始まって、徳勝龍はいつもいちばん下でした。つまり十両。 最初は、「へー。奈良出身の関取がいるんだな」というくらいの認識でした。 それが、「へー。幕内に上がったんだな」から始まり、 次第に、「へー。今場所は頑張っているな」「へー。こんな顔だったんだな」「へー。こんな取り口なんだな」になっていき、 ついに、「へー! ついに勝ち星トップか!」「おお! ついに正代戦か!」「わー! 勝っちゃったよ!」「ひえー! 貴景勝と結びの一番だよ!」、 「ぎえー!! 優勝だよーーーー!!!」 もらい泣いちゃいました。 前に幕尻優勝した貴闘力にはそれまで重ねてきた実績がありましたが、徳勝龍にはまったくと言っていいほどありません。 その取り口も引いたり変化したりと正統派には程遠く、「怪我しないのはぶつからないから」と北の富士や舞の海には最後まで辛口批評されていましたが、千秋楽の一番は左四つで大関を圧倒。見違えるような力相撲で、優勝にふさわしい大相撲でした。 本人も言及していたように、近大時代の恩師が急逝したことも、心に何か期するものがあったのでしょうか。 来場所は準ご当地。応援の声もいっそう大きく届くことでしょう。そこでこそ真価が問われるというものです。 「まだ33歳」とはいうものの、もっと早くこの四つ相撲を会得していたら、幕内⇔十両エレベーターしなくてもよかったのでは…と思わないでもありませんが…。 優勝凱旋パレードがあれば行ってみようかな!? 直接対決で敗れたからやむなしとはいえ、正代はあと一歩賜杯に届きませんでした。 正代も大関候補と言われて久しい存在ですが、なかなかきっかけをつかめずここまで来てしまいました。一皮むけるには、三役が軒並み不調のこの場所で降って湧いた優勝のチャンスを逃すわけにはいかなかったと思うのですが、負け越している豪栄道に与えた黒星が、こうなるともったいなかったですね。 豪栄道は直接優勝争いには絡まないのに、こうして間接的に関わることが多いイメージです。 もう、イメージ「でした」ですね。 彼こそご当地力士ですから、ずっと応援していたのです。 大関になるまでは破竹の勢いだったのに、昇進するとどこか相撲が小さくなってしまって、歯がゆい思いをしていました(こういう力士は少なくありませんが)。 カド番をくり返す中、大なり小なり抱えていた怪我を本人は口にすることなく、また稀勢の里や最近では貴景勝といった他の大関に注目が集まるためフォーカスされることもなく、ただ批判だけを浴びながらも守り続けた大関の地位でしたが、陥落したら辞めるという結論も、豪栄道らしい選択のように思います。 その相撲のように、どこまでもまっすぐな大関でした。 全勝優勝した時の圧倒的な強さは忘れることはありません。 豪栄道は徳勝龍と同じ33歳。 その歳を上回る、白鵬や鶴竜が衰えていないわけがありません。 とっくに引退してもおかしくない状態ですが、東京オリンピックまではの思いだけでしょう。 時代はあきらかに変わりつつあります。 その新時代は、新しい大関が誕生した時から始まります。 だからこそ、朝乃山に期待せずにはいられません。貴景勝戦で見せた気迫は、大関と呼ばれてもおかしくないものでした。 それ以外にも、前半を沸かせた遠藤、つねに沸かせた炎鵬と新旧人気力士の存在は欠かせないものであり、十両で復活ののろしを上げた照ノ富士、序二段優勝の宇良の幕内復帰も待ち遠しく思います。 荒れる春場所、という使い古された言葉も、この初場所の波乱を前にしてはどこか霞むような気もしますが、今場所に負けない盛り上がりを期待して、その日を待ちたいと思います。 PR |
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