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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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監督が『ボヘミアン・ラプソディ』の関係者とあって似た作りになっていたせいで、若干二番煎じ感を抱いてしまいました。また、フレディ・マーキュリーと違い、エルトン・ジョンや『Your Song』の名前は知っていても彼がどんなミュージシャンでどんな曲を歌っていたのかはまるで知らなかったので、『ボヘミアン』よりピンと来なかった部分があったことは否めません。
ただ、天才は孤独ーーエルトン・ジョンもまた、その方程式から逃れられない人間のひとりだった、ということはしっかりと伝わりました。
しかしフレディとジョンは違う人間です。孤独の苦しみは同じであっても、その背景や立ち直り方はもちろん違います。
アルコールと薬物とセックスの依存症から脱却するための集会で語られ始まる彼の半生の物語。
幼少期から孤独と闘ってきたレジー少年。ピアノと出逢い、才能に目覚め、友と理解者を得て、やがて世界中から称讃と大喝采を受けるようになる。
超満員のライブハウス、奇抜な衣装、酔わせる歌詞とスタイリッシュな音楽。ミュージカルはカラフルでめくるめく。しかし心に届くのは、お金でも名声でも満たされない彼の淋しさと悲しさ。
心の隙間を埋めようと、彼はあらゆるものを手に入れて、あらゆるものを失いました。
ほんとうに欲しかったものは、ひとつだけ。代わりのきかない、永遠に手に入らない、たったひとつだけ。
すべてを語り終えて、彼はようやくそのしがらみから解き放たれる方法を見つけます。彼に、心の充足が、音楽が戻ってきた瞬間でした。
過去と向き合い、音楽への愛を見つめ直す。静かな結末でした。
作品として比較するならば、みずからの音楽を、それへの愛を魂をこめて叫んだライブ・エイドのカタルシスには勝てませんでした。しかしひとりの人間が絶望と破滅からふたたび立ちあがる方法は、人それぞれ。静かに語るエルトン・ジョンとその奇抜な衣装のミスマッチは、天才と孤独の乖離を示しているようでより切なくもありました。
作品の質を高めたのが吹き替えなしで歌い上げたタロン・エガートンの熱演であることは言うまでもありませんが、相棒の作詞家を演じたのが『リトル・ダンサー』のジェイミー・ベルというのも感慨深いものがありました。違うお話であることはわかっているのですが、大人の寛容と包容力を得て成長したビリー少年を観ているような気にもなったのです。








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