正倉院展と練り梅には「奈良に帰りたい」と思うものの、
興味深い奈良県南部が近くなったことには、少し得したと感じます。
洞川温泉も大神神社も、ちょっと(?)電車に乗ればたどりつける。
いつ奈良市に帰ってもいいように、行けるところは行っておこう!
この秋の計画は、世界遺産の吉野大峯。
ちょうど紅葉シーズン。お天気も良し。いざ、JR和歌山線でGO!
初・吉野!
乗り換え一回で済むとは!
本来、ここからケーブルで吉野山に登るのですが、現在修理のため運行中止中。代わりにマイクロバスで山道を行きます。
バスを降りて向かうは吉野山のシンボルでもある金峯山寺蔵王堂。
修験道の開祖である役行者が修行したとされるのが金峯山であり、金峯山寺は金峯山修験本宗の総本山にあたります。
バス停から土産物屋の立ち並ぶ通りをしばらく歩くと鋼の鳥居が立っています。ここが浄土への入り口。
先にあるのはお寺だけれど、鳥居で世界が区切られている。仏教や神道というエリアで区別されない、民俗と深く結びついた山岳信仰の奥深さです。
現在、仁王門は修理中。仁王像も拝めなくて残念。
荘厳な趣でたたずむ蔵王堂。ご本尊の御開帳は来春予定です。
境内では樹々が美しく色づいていました。
ひとまわりすると、お昼にいい時間。
蔵王堂からほど近い《はるかぜ》で葛うどん定食をいただきました。
うどん・柿の葉寿司に加え、葛デザート付きに惹かれて…。
まあ、お値段はそこそこなんですが。
ほんのりゆずの香りの熱々おうどんには葛が練りこんであります。胡麻豆腐もつるんとなめらか。柿の葉寿司も、あえて食べたいとは思わないのですが、こういうところでいただくとおいしいですねえ。
満足、満足。
お腹を満たして、再び歩く。
次なる目的地は、吉水神社。もとは吉水院という僧坊で、南朝の皇居であったことから明治期に神社と改められたそうです。
こちらも紅葉を眺めながら。
ちょっと色づきには早いかなと思いましたが、じゅうぶん楽しめます。
境内に入ると、「一目千本」の看板が。
「おお!」と柵に駆け寄ると、
うーむ…。
桜の季節なら、こんな感じみたいです。
後醍醐天皇と楠木正成が祀られている本殿はシンプルで、奥の書院のほうが目立っています。
世界遺産として登録されている日本最古の書院建築だそうです。
拝観してまず迎えるは、義経・静御前潜居の間。
頼朝の追手から逃れた義経主従が隠れ住んだ場所とされています。そういえば、ふたりが別れたのは雪の吉野だったな(本の挿絵の記憶)。義経の鎧や弁慶の武具も展示されていました。
さらには後醍醐天皇の玉座。こんな淋しい場所でひとり御寝あそばされ、帝はいかなる思いにくれていたのであろう。
吉野には、都落ちの悲しい歴史もあれば、天下人に彩られる歴史もあり。
吉水院は太閤秀吉が吉野の大花見を催した際、本陣とした場所でもあります。秀吉が愛用した金屏風、大釜も展示されています。
後醍醐天皇が京都を思いながら九字を切ったという北闕門。
ここで同じように立ち、九字を切れば邪気を祓えるそうですが、うーん、その勇気はなかった。
紅葉を仰ぎながら、吉水神社をあとにします。
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