9/22・23 vsF ○●
首位を快走しているロッテですが、マーティンが骨折で離脱というニュースには驚きました。どこも大変です。一方、まったく続報のなかったこちらの吉田正は、打撃練習を開始し月末復帰を目指しているとか。かの「打っても走らんでええ」正尚バージョンを一瞬期待してしまいましたが、いやいや無理だけはしないでほしい…。 さて、相手は最下位とはいえ相性の悪い日ハム、しかも相手は新人王争いで宮城を猛追している伊藤。三者三振をくらうなど、つけ入る隙はまったくナシ。山﨑颯も途中までは直球が走っていて良い感じだなと思っていたのですが、6回に先頭出塁で交代となりました。本田の時引っ張って失敗したのでベンチは早めに手を打ったのでしょうが、今日は裏目に出てしまいました。まさか海田が左二人にヒットを打たれて降りるとは…ベテランの活躍を期待していたのに…。 敗色濃厚となった7回でしたが、伊藤が続投。「100球近くで崩れる」by我が家の解説者の言うとおり、三連打で一挙無死満塁に。しかし、ここに来てスタメン抜擢された後藤はこの絶好機に三振とチャンスをものにできず…。ガックリ来たところで伏見がタイムリーを放ち、雰囲気がふたたび盛り上がります。代わった宮西からゴロの間に追加点。宗が四球を選び再度満塁になったところで、投手は鈴木健に。若い紅林に変則は打ちづらいだろう…という予想は、見事に裏切られました! 打球は走者一掃三塁打、大大大逆転!! 決してワクチン副反応のおかげでなく、あの17球から、いやその前の神戸での頭ポンポンから、紅林はあきらかに何か変わったような気がします。3番大型ショートという、G坂本(や、旧L中島)のような夢の存在を、まさかこのチームで観られる日が来るとは…。 山﨑颯は交代時悔しさを隠し切れないといった様子でしたが、直球は走っていましたし空振りも取れていましたから、援護さえあれば初勝利も遠くないと感じます。そう援護さえあれば…。 景気よく連勝といきたいところでしたが、田嶋は相性の悪さが出てしまいました。相手先発は予想されていた上沢でなく立野でしたが、ランナーは出るも得点できないという、悪い時のオリックスの雰囲気が…。あまり試合は観ないようにしていましたが、ロッテ・楽天ともに敗れたことが幸いです。 9/24~26 vsE ●○△ 2位攻防戦…ということになるのか? 宮城&山本を投入するからには勝ち越しは必須のカード。 が、先陣を切った宮城がメッタ打ち(宮城比)。 蓄積疲労もあるでしょうが、「左打者のインコースを突けない」弱点を完全に狙われたように思います。左に好打者が多い楽天は本来左腕が苦手なはずなのですが、外角ばかり投げていてはそりゃ狙われますって…。もちろん本人も伏見もコーチもわかっているとは思うのですが、それでも修正できない何かがあるのでしょうか…。このままでは勝てる投球ができないように思います。心配です。 9回は宮城の負けない運に賭けたのですが…あそこで代打の選択肢が若月しかないというのが泣ける。福田の当たりも山﨑剛でなければ抜けていたであろうに悔やまれます。というかこのカード、山﨑剛にどれだけ得点を阻まれたか! 初戦を落とし、絶対に負けられない2戦目は山本に賭けるしかない状況。試合はほとんど観られませんでしたが、良かったような危なかったような。援護が少なかっただけに…。8回は紙一重でした。リアルタイムで観ていたら胃の中全部戻していたであろう…。 カード前から「竹安-田中将で勝てるわけがないだろう」と思っていた3戦目ですが、なぜか楽天キラー竹安が5回途中無失点と好投。執念の継投も実を結び、8回まで相手に得点を与えません。一方、打線は本日昇格した吉田正を代打に出す機会もないほど田中に抑えこまれますが、引き分けも見えてきた終盤、まさかの暴投で先制点。もらったような1点でも、守り切れば勝ちは勝ち! …なのですが…守り切れず…。 中嶋監督が言うように、もちろん平野でもこういうことはある。逆転はされなかったのだからヨシ。出番はないであろうと思われた吉田正が9回裏に登場して慣らし運転できただろうからヨシ。代打がコールされた時の大歓声もヨシ。…ということにしておこう。 火曜日からはいよいよロッテと首位攻防戦。3G差ですから、サンタテすれば…という目論見も湧いてきますが、それよりも怖いのがひたひたとAクラスに近寄ってきているソフトバンク…。 まだまだ混パは続きます。 PR
9/14〜16 vsE ●●○
なんというか…こういう時に頼りになる選手がひとりもいないということを、つくづく実感しました。 吉田正が抜けた直後は、まだ気合いが見られました。さらにバルガス、宗が抜けてからはまるで空気の抜けた風船。おまけに左のエース・宮城でも星を落としてしまっては、優勝争いはおろか一年通して戦ったことのない選手がほとんどですから、緊張の糸が切れても無理はありません。しかし、だからこそそれらを知っているベテランがチームを盛り上げていくのではないのですか。たびたびのチャンスであっさりアウトを献上したベテランたちは、絶望的な点差でも最後の打者で17球粘った紅林の姿をいったいどんな気持ちで見ていたのですかね。 そしてその翌日、紅林は3番抜擢という…中嶋監督の考えることはわかりやすいですね…。しかし相手は難敵則本。そう簡単に機能するわけはなく、田嶋がいきなり先制されてからは精神安定をはかるべくテレビはロッテ戦に合わせ、一球速報で確認することにしました。例によってチャンスは作るが得点できず、相手のミスに乗じて1点を取るのがやっと。しかし田嶋が先週に続き、今日も奮闘。8回1失点と楽天キラーぶりを発揮し立派に仕事を果たしました。それに応えたのは杉本。単独トップに躍り出る決勝27号2ランを放ち(どうして敬遠しなかったのだろうとは疑問に思いましたが)、ようやく田嶋に勝ち星がつきました! シーズン当初から何度も勝ちを消されてきましたから、本人もうれしい6勝目でしょう。サンタテ回避、さらにロッテも引き分けでマジック点灯は阻止できました。精神安定をはかるべくずっとH-M戦を観ていたのですが、敗色濃厚の試合を引き分けに持ち込むとは、やっぱりロッテはしぶといチームです。 9/18~20 vsL ○○● やっと京セラに戻って来たよ(泣)8/29以来だよ。ロードでは辛かった…。 しかし試合前にまた冷や水。ジョーンズが身内の不幸で帰国し、日本に戻ってきても隔離機関がありますからシーズン中に合流できるか不透明とな。ガビーン!! 代打の切り札までいなくなった!! どこまで試練を与えるのか!!! そこでベテランの出番です。対楽天3戦目の試合前にはTの仕切りで野手ミーティングが開かれたそうですが、先頭に立つ以上結果も出さねば示しがつかないという決意のあらわれか、モヤの先制タイムリーの場面では一塁から激走、三塁コーチの制止も無視して本塁にヘッドスライディングを決めました。どうしたT。やっと自覚が芽生えたか。 紅林の2ランも見事でした。「3番じゃない」なんて監督には突き放されていましたが、これをツンデレと形容せずして何と言おう。 そしてもう語る必要もない、勝ってあたりまえ状態の山本。ぶっちぎりのタイトル三冠で沢村賞、さらにはMVPまで見えてきそうです。不安要素といえば通例となっているシーズン終盤の離脱だけ。 山本以外で勝てていない週末ローテ。先週はスパンジェンバーグの一発に泣いた山﨑福ですが、今週もやはりおかわりに先制の一発をくらってしまいます…。しかしソロだったことが救いでした。すぐさまTがソロ返し。さらにはダメ押し弾まで。昨日のヘッスラで脱皮でもしたのでしょうか。モヤも中押し犠飛を放つなど頑張っています。顔面をかすめる死球で倒れこんだ伏見も最後まで出場しましたし、中継ぎ陣もリードを守り切りました。昨日から好投しているヒギンスはようやく来日できた奥さんに勇気をもらったのかもしれませんね。しかしロッテ・楽天も勝利し上位陣のG差は変わらず。 2勝したので本田の投球も気楽に観られ…れば良かったのですが、ホームラン後の失点はいただけませんし、追い上げた後にまた取られたのも印象悪いです。監督も認めていましたが早めに継投すべきだったかもしれません。終盤は今年のオリらしい粘りを見せましたし、活躍めざましい紅林の3打点も素晴らしかっただけにもったいない敗戦です。無失点で抑えた中継ぎ陣も頑張りました。連勝は止まりましたが、ホームでチームに元気が出てきたようですから、次のカードに期待しましょう。
9/7~9 vsM ○●△
ロッテを迎え神戸で首位攻防戦…とは、何と稀なる響き。 しかしその名目にふさわしい、五分の結果となりました。 初戦はこのためにローテをずらした宮城。絶対に落とすわけにはいかない一戦なのですが、宮城はロッテに苦手意識があるのか(おまけに球審との相性も悪く)、序盤からペースに乗れません。打線も上位でチャンスを作ってはモヤがことごとく凡退で反撃できず。先週からの悪い流れは宮城でも取り返せず、ついにパ・リーグ相手に初黒星を喫してしまうのか…とあきらめかけていた8回。 流れを変えたのは、この男! 去年も停滞していたチームの雰囲気をたった一振りで払拭した、大下誠一郎! ジョーンズがワクチン副反応で特例抹消され、二軍の試合中に広島から帰ってきて1回裏からベンチに入った大下(どうりで大下がいるのに1回表は静かだと思った)。昨年の初昇格即ホームランのリプレイかと思うほど、今年もこの神戸で代打ホームランを放ちました! 「これで流れが変わった」という我が家の解説者の予言は大当たり。勝ちパターンの佐々木千隼からさらにチャンスを作ると、エチェバリアのエラーで同点! 佐野皓の盗塁失敗でチェンジとなりましたが、9回が宗から始まることを考えるとこれも策略ではないかと邪推してしまいます。 9回表は同点の平野。…でしたが、今日はひと味違いました。クリーンアップをあっさり料理する姿にはただならぬ気迫を感じました。そしてその裏の相手は、益田でなく田中。宗が先頭出塁しても「安達がバントで杉本は敬遠だから、モヤにかかっているな…。ゲッツーで終わるやん…」と不安が胸をよぎりますが、その打球は、モヤの意地か流れのなせるわざなのか、三遊間を抜けて満塁に。そして! 打席は! 大下! お祭り男がやってくれないはずがない! 打った瞬間でした!! 吉田正尚がいなくてもジョーンズがいなくても、代役が頑張ってチーム一丸になれば勝てることを証明した一戦でした! そしてなんという宮城の負けない運! 雨中の2戦目は山崎颯一郎が好投し来田が凱旋ホームランを放つという歓喜の展開…ながら、前日の逆を行くかのように8回に暗転。不運にも雨が激しくなったタイミングで来田がフライを落球し、吉田凌は広がるピンチを抑えきれずマーティンに3ランを被弾してしまいました…。あたりまえですが、ふたりとも責められません。来田は高卒ルーキーですから雨のナイターなんて経験ないでしょうし、吉田凌も同点の8回を任せるべき投手が皆役割を果たせずやむなしに順番が回ってきただけです。しかし9回裏、益田に三振をくらいバットを叩きつけて悔しがった来田のその気合いや良し、です。 首位奪還を賭けた3戦目。得意としているロッテ相手とはいえ、田嶋は見違えるような投球でした。ズバズバ決まるストレートは圧巻で三振の山を築き、笑顔も出しながらなんと8回まで投げきりました。1点差の9回、今季セーブ機会で失敗なしの平野ですから、勝ち越しは見えた! …その油断が落とし穴。荻野のフェンスギリギリの一発は、ロッテの執念を見た気がします。しかしこちらもしぶとさでは負けてはいません。その裏、代打ジョーンズが全力疾走で二塁打を放つとベンチは大盛り上がり。誰ひとりあきらめてはいませんでした。ツーアウトに追い込まれても野手全員を使い切っており代打はなく、そのまま打席に立った紅林。益田の変化球にいきなり空振りしやはり無理かと思わされたものの、追い込まれた後はなんとか当ててファウルに。その次の同じ球、うまく合わせたように見えました。 本当に紙一重でした。打球は一瞬でサードのグラブに。三木でなければ抜けていたと思います。敵ながらナイスプレーでしたし、紅林もアウトとはいえ2年目とは思えない成長ぶりには目を瞠りました。 なんだかいろいろ胸が熱くなる場面の多い首位攻防戦でした。 初戦、苦しむ宮城に三振を奪われながら笑顔でサムズアップしたマーティンは好きになっちゃいましたし、最後ベンチに戻った紅林の頭をぽんぽんして労った中嶋監督の懐深さも感動しました。 そして舞台が神戸というのも良かったです。今年最後の花火のバックで流れていた『若者のすべて』、あれからエンドレスで聴いています(マッキーのカバーがまたいいんだな〜)。 そしてこのみっつを動画にしたパ・リーグTVよ! わかってるぅ! 9/10〜12 vsL ○●● 首位は譲ったものの、直接対決は終わりましたから勝ちを重ねるに越したことはない。そして山本で負けるはずがない。…という期待を裏切らない山本。中継は観られませんでしたが、序盤から球数が嵩んでいたので心配でした。ところが終わってみれば6回2安打無失点とな。心配な中継ぎも6点あれば大丈夫。やはりTの復帰は大きかったです。杉本が気楽になったのか、25本目を放ちホームラントップに並びました。来田や紅林も神戸の悔しさを晴らしましたし、いつも僅差で奮闘していた山本を今日は打線が救ったかたちになりました。しかし、ロッテがレアードの特大寿司でサヨナラ勝ちし首位奪還はならず。 それにしてもロッテ、好調です。相性の良い楽天戦とはいえ、藤原を欠いても勢いは衰えていません。 一方、オリックス…。ここにきて負の連鎖が止まりません。先発に回ったバルガスは福田の目測誤りから一気に崩れてしまったうえ、打球に飛び込んだ時に痛めたのか脇腹の違和感で降板。宗も体調不良? で途中交代。翌日もスタメン落ちで代役太田といよいよ暗雲たれこめてきました。しかしその太田が2安打しても、杉本のリーグトップの26号だけでは勝てず。山﨑福も8回途中まで頑張って投げたのですがね…今の打撃力で序盤の3ラン被弾は分が悪いですね。 うすうす気がついてはいましたが、このところ山本と宮城の試合でしか勝っていません。つまりこのままでは週に貯金を2減らしてしまいます。吉田正を欠いてからというもの、打線がすっかり貧相になりました。たぶん福田は無理して出ているでしょうし、宗の今後も不透明。まわりが元気ないとTもちゃっかり昨年のTに戻っていますし。杉本ひとりで勝てるわけないことは、去年までの吉田正個人軍で証明されています。今週は田嶋・山﨑颯の好投があったものの、ローテがここに来ても固まらないのはいったいどういうわけなのか…。 残り31試合。まだヤマ場はあると信じます。
8/31~9/2 vsF ●●△
なぜこの日程でデーゲーム…。ちなみに8月のスマホデータ使用量がギリギリだったため、日中経過はいっさい見ず、家に帰ってドア開ける間も惜しく野球速報を開いた瞬間くずおれました。どんだけ上沢を打てないのだ…。 そしてナイターの翌日は打線爆発でした。日ハムが。前カードから絶好調とはいえ、いかんせん田嶋がダメダメでした。後半戦に入ってから勝っていません。三本柱がこれでは困るのだが…。打線もバーヘイゲンを攻略できず、9回に1点取っただけ。日ハムにお得意様を何人作る気だ。 こうなると流れは悪くなるもので、3戦目も河野相手に何度もチャンスを作りながら2点だけ。ソフトバンク戦であれだけ喜ばせておきながら、日ハム相手にサンタテで早くも絶望させるのかと、情緒不安定になりそうなオリックスファン。しかし9回、あきらめの悪いオリックスがようやく目を覚ましました。福田の四球から宗がつなぎ、吉田正がタイムリーを放つと、杉本がとどめのホームランという、今年のオリの勢いを象徴する福宗正杉で4点を追いつき同点に! そして同点だと危ない平野の代わりにバルガスが抑えたことは好材料。勝てなかったことは残念ですが、貯金を1減らさなかったとポジティブに考えましょう。 しかし、石井の盗塁失敗が日ハムのリクエストで覆らなかったのには驚きました。他球団の試合でも時折、タッチプレーは当初の判定どおりという結果を目にします。オリファンから観ても映像ではっきりセーフと感じたのですが、どこでどうアウトと判断されたのかまったく理解できません。これではリクエストの意味がありません。相手チームながら怒りすら感じました。 9/3~5 vsH ○●● このカード前、宮城が土曜から火曜に移動することが判明しました。1.5G差しかないロッテ相手に現状の裏ローテで挑むのは危険すぎますからね…。シーズンもあと二ヶ月、いよいよ中嶋監督が動き出しました。 もちろん、負けられる試合なんてものはありません。ましてや山本の登板日です。…が、前回も打てていないマルティネス相手に得点はモヤのホームランだけ。あっという間に試合は終盤。山本はこの回までかなと考えていた8回、ランナーを二塁に置いて、失投は本当にその一球だけだったように思います。それを逃さなかった栗原を褒めるしかありません。あそこまで悔しそうな山本は久しぶりに見ました。そんなエースの姿に奮起したのか、最後のチャンスが吉田正の激走で訪れました。しかし杉本斃れて2アウト。代打ジョーンズもあっさり追い込まれ、「あーもうアカン! せめて引き分けてくれ…」とあきらめていた3球目! これまた板東の失投を逃さない代打の神様! その裏は1000投球回の平野が〆て、山本単独トップの12勝目! ロッテも勝ちましたがゲーム差は守りました! …ただ…。 吉田正がベンチに戻る時、足を痛めた様子だったのが気にかかっていました。翌日、抹消はされなかったもののスタメン落ち。福田も途中交代し、福宗正杉はTシャツが販売告知されてすわ崩壊。投手陣も崩壊。翌々日にはやっぱり吉田正抹消。そして試合はもちろん崩壊。こちらのメンタルも崩壊。……。 そりゃ吉田正尚の存在は大きいけれど、もうちょっと頑張ろうよ…。投げる方もさあ…山本宮城でしか勝てないと毎週ふたつ負け越すってことだよ。 踏ん張り時に踏ん張れない…。 アレは夢と消え果ててしまうのか…( ༎ຶ ◡༎ຶ)
例年より長い夏が終わりました。
代表校が決まったのも、ずいぶん前のことのように思えます。 奈良大会決勝に進出したのは、智弁と高田商でした。高田商は準決勝、逆転サヨナラで天理を破ると、決勝も序盤で大量点を奪われながら徐々に追撃、最後まで王者を追い詰めました。一歩及ばずも、伝統校ここにありと存在感を示す見事な粘りでした。 1年の頃からレギュラーとして活躍してきた西村・小畠両投手、スラッガーの前川選手を擁する智弁学園は大会前から優勝候補として注目されており、2年ぶりに開催される夏の甲子園に期待は高まっていましたが、開会式から雨天順延。その後も度重なる雨天中止に見舞われました。 大阪桐蔭-東海大菅生の試合はちょうどテレビ観戦していたのですが、あまりにも酷いグラウンド状態に怪我人が出やしないかとハラハラしました。これ以上日程を延期できない事情もわかりますし、最後まで試合させたいという運営側の思いもあったでしょうし、誰にもどうにもできない状況だったとはいえ、互いに心残りとなったであろう結末には胸が痛みました。 雨のみならず、コロナ禍にも否応なく巻き込まれた大会でした。宮崎商・東北学院がコロナの影響により不戦敗となり、宮崎商は一試合も経験できずに甲子園を去ることになりました。こちらもまた無念であり、不運としか言いようがありません。 103回目の大会は、何もかもが異例なものとなりました。 しかしもちろん、変わらない景色はあるもので。 1回戦の明徳-県岐阜商。馬淵監督vs鍛治舎監督という甲子園を知り尽くした名将同士の一戦は、最後の最後まで手に汗握る展開となりました。劇的なサヨナラで勝ち上がった明徳の次なる相手は、秋田・明桜。プロ注目の風間投手相手にどんな馬淵采配を見せてくれるか楽しみにしていました。高知には森木投手というこれまたプロ注目の速球派がおり、彼を倒すことが明徳の第一目標だったのですが、それを見事に成功させた明徳の選手たちには、監督の指示した風間対策も難題ではなかったのかもしれません。追い込まれたらファウルで粘り、出塁すれば足でかき回し、風間投手のペースは大きく乱れ、途中降板せざるを得ませんでした。決して大型ではないチームが一丸となって好敵手を倒していく。高校野球の醍醐味とも言えるこの勝ち方が、馬淵監督にとっての美学であり、また至上の喜びであるように感じます。 そしてもし馬淵監督が関西の高校にいたら、毎年どんな戦いを見せてくれるのだろうと想像する相手が大阪桐蔭。伝統に裏打ちされた試合巧者ぶりとユニフォームの威圧感は健在で、今夏も優勝候補の一角と目されていました。しかし近畿同士の対戦となった2回戦で敗れ、校歌を歌うことなく甲子園を去ることになりました。序盤に4点先取されてもあきらめず、粘り強く得点を重ねた近江。名前負けせず挑戦者として立ち向かっていく姿勢が印象的でした。近江ブルーも個性的な応援歌も大好きで(そして金足農戦のインパクトも大きく)、応援したくなる高校でした。準決勝で惜しくも敗退しましたが、滋賀初の頂点も決して遠くない夢に感じます。 一日で行われた準々決勝は、4試合中3試合がサヨナラで決まるという熱い展開になりました。3回戦後には「クジ引かないで」と冗談交じりに話していたことが本当になってしまった智弁-明徳戦。9回の攻防は速報を追うだけでゾクゾクしましたし、第4試合も近江が9回に4点差を追いつかれながらその裏に勝ち越すという劇的な幕切れとなりました。 そして近畿勢4校が残った準決勝。馬淵監督が指摘したとおり、長引く雨天順延中に練習場を確保できない地方校と、自校に戻って練習できる近畿勢との間の有利不利は、確かに生まれたかもしれません(近畿勢の実力が上がっていることもきちんと付け加えていましたが)。コロナで安易に練習場を貸し出せないことも災いとなりました。大会前はコロナそして猛暑対策を中心に運営を考えていたのでしょうが、それに加えての豪雨は想定外だったかもしれません。本当に気候の読めない時代になりました。ドーム球場での開催は困難かもしれませんが、継続試合の導入の実現化は遠くないと思われます。 決勝は智弁和歌山-智弁学園という智弁対決になりました。 甲子園で一度行われた智弁対決は観ていなかったので、改めて同じユニフォームがグラウンドに並ぶ姿に、どっちがっどっちかわからなくなり、序盤は袖の地名に目をこらしてばかりでした。途中からやっと微妙な色合いと「辯」の違いに気づきましたが。 試合は開始早々に智弁和歌山打線が西村投手を打ち崩し、リードを奪う展開に。智弁学園も2点を返すものの、以降はなかなかチャンスをものにできません。 智弁和歌山の試合をまともに観たのは準決勝だけですが、伝統的な破壊力ある打線に加え、驚かされたのは守備の堅さでした。とくにショートの好守備には、何本もヒットを阻まれたように感じました。 一方智弁学園は、西村投手から小畠投手に継投した6回、エラーから失点してしまいました。試合が膠着していた時間帯の追加点は、中西投手に勇気を与えたことでしょう。前日完投の影響を感じさせずテンポ良く投げこんでいく中西投手に対し、同じく前日完投した小畠投手は追う立場ゆえの重圧と数字以上の疲労を背負っていたのか、失点を重ねてしまいましたが、それでも9回まで投げ切りました。足をつっても最後までマウンドは譲りませんでした。 3アウトを取り、足をひきずるようにベンチに帰っていく小畠投手の横で、号泣する植垣捕手の姿がありました。「まだ終わってないぞ!」という仲間の言葉にも涙をこらえることはできず。初戦で顎を強打しながら正捕手としてふたりのエースをリードして勝ち続け、悲願の優勝まであとひとつのところまでたどりついたのに、最後の最後で相手打線を抑えられなかった悔しさが爆発したのでしょう。それはテレビの前から「君は立派だよ、じゅうぶん頑張ったよ」と何度も声をかけてしまうほど悲痛な姿であったと同時に、高校生がここまでの覚悟とプライドを持って戦っていたのかと圧倒もされました。 そして敗者の涙を前に、勝者が歓喜の輪を作ることはありませんでした。礼に始まり礼に終わるという選手みずからが決めた選択は、高校野球の原点でありながら新鮮で、また尊くもありました。 勝敗は分かれましたが、智弁和歌山も智弁学園も、すべての選手が全力を尽くしたと思います。さまざまなことがあった103回目の夏をしめくくるにふさわしい熱いゲームでした。そしてあふれる思いを抑えるようにインタビューを受けていた中谷監督は、楽天で捕手をしていた時のイメージはもうないですね。おめでとう。 そして準優勝という新たな歴史を刻んだ智弁学園。1年の頃から見てきた選手たちの成長ぶりが観られたのもうれしかったです。プロを目指すという前川選手が上の世界でどんな飛躍を遂げるのか、それもまた楽しみです。 素晴らしい大会でしたが、ブラスバンドも満員の観衆もない甲子園はやはり淋しいものでした。 104回目の夏は、選手たちにとって最適な環境で行われますように。 |
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