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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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今年の夏も終わりました。

試合はあまり観られなかったのですが、いいチームだなと感じたのが鳥栖工でした。1回戦、富山商との試合は熱戦でしたが、ベンチからは楽しそうな雰囲気が伝わってきました。とくに印象に残ったのは、裏に「鬼」と書かれた帽子をかぶって大声を出し仲間を鼓舞するマネージャー。2回戦の相手は日大三。西の横綱相手から先制し、すぐ追いつかれるも勝ち越しは許さず、その後もチャンスを作り続けます。この日もマネージャーは元気いっぱいでした。テレビ解説も「カウントを伝えたりランナーに指示を出したりしている」と驚きながらも称賛していましたが、その姿はまさに21人目の選手のようでした。中盤で後ろ髪を引かれながらも家を出たので敗戦を知ったのは試合が終わったあとでしたが、マネージャーが選手と一緒に土を集めたことが話題にもなっていました。そういえば、女子マネージャーが土を持ち帰っているのは見たことがなかったように思います。試合に出なくても部活動を3年間頑張ってきたのだから、考えてみればおかしいことではありませんし、彼女は確かに選手と一緒に戦っていました。監督に入部を直訴したこと、放置されても自分で考えて行動してきたこと、後輩からは留年して残ってほしいと慕われていることなどなど、どのエピソードも素晴らしく、尊敬の念しかありません。もっと見ていたかったチームです。

13日日曜日の4試合はどれも見ごたえのある試合でした。打線爆発で高知中央を圧倒した履正社、徳島商の好投手を打ち崩した智弁学園。そして第3試合のクラーク国際は面白いチームでした。キャプテンで主軸のエースが花巻東相手に投げ切った9回132球は、力感を感じさせない熱投でした。フォームもプレートを踏む位置も一球ごとに変えていく幻惑投法は、相手打線を翻弄していました。最後は力尽きてしまいましたが、小粒と思われていたチームが強豪相手に一歩も引かず戦う姿は、心を打つものがありました。雨天中断中のブラスバンドの演奏も球場全体が盛り上がっているのがわかり、テレビの前でも楽しい時間を過ごせました。
第4試合はおかやま山陽-大垣日大。おかやま山陽は我が家の解説者情報によるとダークホースらしいのですが、それでも歴戦の鬼・阪口監督率いる大垣日大に分があるのではと想像していました。試合はおかやま山陽リードで進むも大垣日大が追いつき、延長に。今年から導入された10回からのタイブレークは、先攻の大垣日大がバント失敗するも捕手の悪送球で勝ち越しに成功します。しかしそこからのチャンスを活かせず1点どまり。そしてその裏、おかやま山陽もバント失敗。続く打者も打ち取られ2アウト。万事休すの中、2番打者がそれでも冷静に四球を選びました。二死満塁の2球目。捕手がボールをそらしてしまった隙に三塁ランナーのみならず二塁ランナーも躊躇することなくホームへ疾走、二者生還で劇的な逆転サヨナラとなりました。
おかやま山陽の捕手が涙を流しながら校歌を歌っていたのが印象的でした。自分のミスで敗戦してしまうところだったのですから、その胸中は察するに余りあります。互いに失点はミスによるものでしたが、試合後の阪口監督の清々しい表情に救われたような気持になりました。年齢などなんのその、阪口監督は甲子園を楽しんでいる。きっとまた新たなチームを率いてこの場所に戻ってくるのだろうなあ。

そのおかやま山陽の快進撃も、ベスト8どまりとなりました。立ち塞がったのは神村学園。夏は初めてとは意外なくらい走攻守にまとまっているチームでしたが、前半は主導権を握るべくランナーを動かしてうまくいかずのくり返し、監督さんの歯がゆそうな表情が何度も抜かれていました。劣勢ながらも踏ん張っていたおかやま山陽もついに8回、投手の代わりばなのエラーから失点を重ね、完封負けを喫してしまいました。それでも監督のユニークな経歴だけでなく、野球に注ぐ愛情や信念は充分に伝わりました。
準々決勝は一日堪能できました。第1試合、慶応と沖縄尚学の対戦は、慶応打線対東恩納投手の構図となりましたが、前半だけなら東恩納投手の圧勝でした。強力打線につけいる隙を与えず、さらに2ランでリード。もしかしたらこのまま行くのでは…という期待も生まれましたが、沖縄大会から投げ続け、今日も前半から飛ばしていた東恩納投手の疲労は相当なものだったのかもしれません。6回、先頭の代打は清原選手。言うまでもなく甲子園が沸き上がります。それでペースを乱したわけではないと思うのですが、続く選手に二塁打が生まれるとアルプスの大応援団のボルテージはさらに上昇。テレビ中継の実況の声さえ飲まれそうなボリュームに導かれるように、流れは一気に慶応へと傾きました。しかし試合後、東恩納投手の表情にすべてを出し尽くした充足感のようなものが見えたのは気のせいでしょうか。
第2試合は八戸学院光星ー土浦日大。開幕戦を戦っていた土浦日大がここまで上がってくるのは意外でした。守備の堅さは大会屈指。とくにショートの動きは高校生とは思えませんでした。
第4試合は東北対決。早々に仙台育英がリードを奪い、主導権を放しませんでした。注目されていた花巻東の佐々木選手は怪我の影響もあってか、自慢の打棒は発揮できませんでしたが、最終回、自分の次の打順から始まる攻撃でも、打席の用意をしてベンチで待っていました。すると打線がつなぎにつなぎ、4点を返してついに最後の最後で打席が回ってきました。球場全体が花巻東応援に回る中、一二塁間を抜くかと思われた鋭い打球も、セカンドの好守備に阻まれゲームセット。泥だらけで涙にくれた佐々木選手。本調子ならきっとスタンドへ届く放物線をいくつも見せてくれたでしょう。

準決勝は神村学園を破った仙台育英、土浦日大を振り切った慶応が勝ち上がり、優勝候補同士の対戦となりました。
ただ試合後は、内容よりも、大きすぎる応援の是非のほうが話題になってしまいました。
佐賀北が優勝した時も、金足農旋風の時も、球場の応援は極端に偏っていたように思います。ただそれはめずらしいことではありません。甲子園の観客はもともとどちら側でもない人がほとんどで、強豪私立を倒して公立校が優勝するところを見てみたいというある種判官贔屓の思いからそちら側についたのだと思います。しかし今回は違います。内外野席に座った関係者がアルプススタンドと一体になっていたことで、慶応の組織的応援が観客席に広がっていたように見えました。どちら側でもない一般客が片方についた時の拍手や歓声とは違います。慶応にとっては、相当な後押しになったことでしょう。ただ、「慶応は応援のおかげで優勝できた」「応援のせいで仙台育英が負けた」とは思いません。予想より点差がついたのは、慶応・丸田選手の先頭打者ホームランで応援に火がついたこと、連携が取れずに落球したことで失点が増えたことはひとつの要因ではあるでしょうが、勝敗と直結したような論調はいかがなものかと思います。個人的には、内外野席でアルプスと同じように立ち上がって合唱する行為については、タオル回しが禁止されたのと同じように規制すべきかと思いますが。
慶応は前評判どおり強かったです。ひとたび打線がつながると止まらない迫力には目を瞠らされましたし、2年生エースのさらなる成長も楽しみです。短い練習時間が話題になっていましたが、その裏には個人個人の克己心とたゆまぬ努力が不可欠です。それができる選手たちだからこそ、監督も信頼して彼らに任せているのでしょう。そして見事に107年越しの期待に応えました。仙台育英も負けてなお強しでした。試合後のグッドルーザーぶりには感動させられましたし、「人生は敗者復活」、またも名言が須江監督から生まれました。

今年からクーリングタイムや延長即タイブレークが始まりましたが、それでも追いつけないほどの猛暑でした。これからも試行錯誤が続くのだろうと思います。
微妙な判定も話題になってしまいました。仙台育英のスクイズを神村学園がホームでアウトにしようとした場面、判定はセーフになりましたが、動画ではランナーの手より早くキャッチャーミットがタッチしているように見えます。タラレバになりますがこの勝ち越し点をきっかけに仙台育英は4点のリードを得ました。地方大会でも、神奈川大会決勝で横浜高の併殺プレーが二塁セーフとなり監督が本音を隠しきれないコメントを残していました。SNSですぐ拡散される時代ですから、甲子園だけでもリクエストを導入してはどうかという意見も多くあるようですが、難しいだろうなあ…。インターハイでもそういう例はあるのでしょうか。

なんだか最近、昔のように学生スポーツとして楽しめる甲子園ではなくなってしまっているのかな…という気持ちになるのは、自分が歳を取ったからなのか、時代の進化に追いつけていないのか、どちらなのでしょうかねえ…。







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