『鬼滅の刃』1巻を無料で読んだ時は、ここまでブームになるとは思いもしませんでした。その人気の理由についてはネット上にもいろんな考察がありますが、私が面白いなと思ったのは正義感の強い少年がそれぞれ個性のある仲間たちとともに、先輩や恩師の力を借りつつ鬼と戦う…という少年漫画のモデルケースはそのままに、大正期という少年漫画ではあまり見られない時代を舞台にしていることと、ヒロインが妹(ありがちな幼なじみでない)という設定です。また、過酷な修行中にひとりつぶやく「自分は長男だから耐えられる。次男だったら耐えられなかった」というセリフは、字面だけなら滑稽なのに、長男として一生懸命働き支えてきた家族を鬼に惨殺された背景を思えば悲しく響きます。そんな炭治郎は応援したくなるし、鬼になってしまった禰豆子が恋人だったなら一緒に戦うという選択肢は生まれなかったかもしれません。幼児化して炭治郎に素直に甘える可愛らしさも、妹でなければ表現しづらいものがあったでしょうし。 と、そんなことを考えながら、アニメ全話を視聴しました(あと、映像がとても綺麗なことにも最近の技術はスゴイと感心しつつ)。物語自体はそれなりに面白いとは思いましたが、やはり少年向けとあってそこまで入り込めるものはありませんでした。 が、それなりに続きは気になるし、あれだけブームになった映画なのだから観ないというのも…ということで、テレビ放送を録画してみました。 「煉獄さん」「よもやよもや」というワードだけは耳にしていましたが、確かに煉獄さんのインパクトが強いエピソードでした。ただ、2時間で彼の生い立ちと上弦の鬼との死闘と、もちろん主人公たちの活躍や心情も描くというのは少し詰め込み過ぎたかなという印象です。 煉獄さんが出会って即炭治郎たちの心をつかみ、おそらく今後の彼らの鬼狩りとしての生き方に影響を与えるのだろうということは感じましたが、こちらとしてはそこまで煉獄さんに思い入れが生まれていなかったので、彼が死を迎えた時も号泣する善逸たちにどこか感情移入しきれないものがありました。そういえば『ONE PIECE』でも、エースがルフィの兄のような存在として突如登場しすぐに亡くなりましたが、ルフィが我を失うくらいショックを受けている展開についていけませんでした。煉獄さんが正統派なヒーローでなく、ちょっと変わった人として登場したことも一因かもしれません。炭治郎たちが変人の煉獄さんに振り回されるエピソードが今までにあれば彼への愛着が生まれたでしょうし、よりそのギャップが活きたような気がします。 後半が煉獄さんメインだったので、炭治郎・善逸・伊之助はあまり印象に残りませんでした。とくに善逸は炭治郎と別行動だったので、ほとんど出番がなかったような…。 善逸が過酷な過去を背負っていることはTVシリーズで描かれていましたが、普段があまりにも怖がりで女好きで騒々しいので、すっかりそのことを忘れていました。鬼に見せられた幸せな夢は禰豆子とアハハウフフのデートをしているという案の定なものでしたが、その向こうの世界が真っ暗闇だったのは、少しゾッとさせられました。炭治郎の世界が美しく澄み渡っていたのとは対照的です。正気のままでは力を発揮できない彼の、心に棲みつくトラウマから解放される日はいつ訪れるのでしょう。 伊之助の夢で、彼があまり関わらずむしろ邪険にしていた節のある禰豆子がちょっと可愛く登場していたのは面白かったです。彼も粗暴で騒がしい印象ですが、心根には他人への優しさを持っているのでしょう。それぞれのキャラが一面的でないことも、これからの展開に興味を惹かれます。 調べてみたら無限列車編は原作全23巻のうち8巻…。先はまだまだ長そうです。 PR |
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