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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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1970年代後半に生まれた私は、『全員集合』を観て育ちました。
ものごころついた時から、土曜8時は『全員集合』。クラスの中には『ひょうきん族』派もいましたが、我が家はずっと『全員集合』でした。親も「こんなの観たらアカン!」と言いつつ、一緒になって笑っていました。
いつか会場に行って、長さんのかけ声にあわせて \全員集合!/ をやるのが夢でした。

その夢が叶わないうちに『全員集合』は終わって、『加トちゃんケンちゃん』が始まりました。「うちもビデオ買おうよ」と親に言うと「いらん!」と瞬殺されました。

ヒゲダンスを踊って、「だいじょぶだあ~」を真似して、『バカ殿』でエロを憶えて、ケンちゃんラーメンを食べて…。
子ども時代を語る時、志村けんは欠かせない存在でした。
石原裕次郎のようなスターや、王長嶋のようなヒーローではありません。
でも、志村けんは毎日私たちに笑顔を与えてくれました。
悲しいことがあった日の夜も、志村けんを観たら笑って眠りにつくことができました。

さらに大人になると、志村けんの大人な魅力に気がつきました。
数々の女性と浮名を流しながら過去を汚すことなく独身を貫いていること。
バラエティタレントにならず、コメディアンに徹していること。
CMで津軽三味線を弾く姿のカッコよさには、あやうく惚れてしまいそうでした。
『エール』出演も楽しみにしていました。

お別れはあまりにも突然で、にわかには信じられませんでした。

追悼番組を観てもまだ実感がわきませんでした。昔のコントみたいに白装束で「ばー」と現れるんじゃないか、後ろの写真を突き破って出てくるんじゃないかと。でも、これはやっぱり現実で。それがあまりに悲しくて、泣けて泣けて仕方なくて。
それなのに、コントを観ながら笑ってしまいました。泣きながら笑いました。加藤茶の弔辞にまで笑ってしまいました。

この夜、日本じゅうの家庭に響いたであろう笑い声。
大人も子どももテレビの前で楽しんだ土曜8時、あの時と何も変わらない笑い声。
長さんが亡くなった時は、子どもの頃の思い出がなくなったような気がして悲しかった。
けれど、私たちは何もなくしてなかったんだな。
高木ブーの言うように、彼はみんなの中で生きているんだな。
彼の与えてくれた笑顔は、こんなふうに、永遠に残り続けるんだな。

ならばやっぱり、志村けんはスターで、ヒーローだ。
これからも私たちをいつでも笑わせてくれる、ずっと笑顔をもたらしてくれる、最高に素敵なスターで、最強にカッコいいヒーローなんだ。

あっちの世界で会えるまで、もうしばらくは動画で我慢だ。


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