宴のあとは、いつもロス。
ワールドカップロス。 決勝前は、ニュージーランドを破ったイングランドが、ニュージーランドに敗れた南アフリカよりも有利と見る予想が多くありました。 しかし南アフリカは、その予想を見事にはね返しました。 イングランドは主力選手が開始早々交代する誤算もあったかもしれません。それでも南アフリカのディフェンスは強かった。日本が圧倒された緑の厚い壁は、この日もゴール前に立ちはだかりました。強豪同士、このままノートライもあるかと思いきや、マピンピ・コルビ両選手のトライを決めた時の快足ぶりはまさにいだてんでした。 そして、急遽来日した大統領や、『インビクタス』の主人公のモデルであるフランソワ・ピナール氏らが見守る中、ノーサイドの瞬間がやってきました。 黒人選手ではじめて主将となったコリシキャプテンがエリスカップを掲げ、打ち上げられた花火を背に歓喜する南アフリカチーム。美しい瞬間でした。 この40日間、さまざまな美がありました。 雄々しく猛々しいプレースタイルの世界に、これほど美しい景色が広がっているとは思いませんでした。 いろんなスポーツの国際大会で他国同士の試合を観ることは今までなかったのですが、今回は出場国にかかわらず見いってしまい、すっかり魅せられてしまいました。 選手たちが激しくぶつかり合う瞬間、彼らがこの一瞬のためにどれほどのものを犠牲にしてきたか、テレビ画面からも伝わってくるのです。まるで命を削るように、懸命に、ひたむきに前へ突き進む姿には、胸が震えました。もちろん、日本チームだけではありません。どの国も、どの選手も彼らの背負うもの、これまで積み重ねてきたものがはっきりとした手触りを持って直接感性へ訴えかけてきたのです。 思い返してみれば、ラグビーは戦前から日本に根づいてきた競技でした。かつて学生ラグビーは箱根駅伝や六大学野球よりも人気コンテンツであり、『スクールウォーズ』ブームも神戸製鋼の7連覇も憶えています。 自己犠牲、規律の遵守、真っ向からのぶつかり合い、日本人の感性にこれほどマッチするスポーツもそうそうありません。それがいつの間にか野球やサッカーに押されてマイナースポーツになってしまっていたのは、よく言われているように、ルールが難解なことや日本が弱かったこと、プレー人口が増えないことなどが挙げられています。 しかしひとつめは今回のことで解消されたように思います。中継中、審判がホイッスルを吹くたび実況と解説が理由を説明してくれましたし、わからないまま観ていた私も少しずつ何が原因かわかるようになりました。ふたつめについては今後日本チームがさらにレベルアップできるかによるでしょう。それにはサッカーがJリーグの発足で人気定着したように、プロリーグ化の実現も必要のように思います。みっつめは、前回大会の快進撃で変わるかと思ったのですが、そう変化はなかったようです。私の出身中学は、大阪だからかラグビー部があったのですが(サッカー部はなかった)、全国的にはきっとめずらしい例なのだと思います。しかし今回、にわかファンの急増とともに、ラグビー経験者と手を挙げる人(芸能人など)の多さにも驚きました。人気凋落とはいっても、その根は大地の下でしっかりと張り出していたのだと思います。前回の芽吹きが、今回の結果でさらに幹を太くし、枝を増やしていくことを期待します。 と、真面目なことを思う一方、やましい興味があったことも事実です。 デクラークのボールくるくる回しに萌え、ポラードとファレルのイケメンPG対決に萌え、ペナルティ後選手に説明している審判の英語に「ふっふ~」「なるほど~」とひとりで納得している廣瀬さんに萌え…。 もちろん福岡選手の賢そうな喋り方や笑わないキャラのネタフリを寛容に受け入れている稲垣選手にも萌え…。 そういう楽しみ方もありかなと…。 4年後のパリ大会。日本はどんな陣容になっているのか、その時ラグビー界はどうなっているのか、リアルタイムで観られるのか、さまざま気になることはあるにせよ。 今はしばらく余韻に浸っていようと思います。 PR |
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