ソチで銀・銅とメダルを獲得し、一躍注目されたスノーボードハーフパイプ。
前回銀メダリストとなった時はまだスノボの天才「少年」という雰囲気だった平野歩夢選手の、すっかり大人びた姿には驚かされました。 アメリカでは盛んなスノーボードですが、全員プロとして数々の大会をこなす選手たちにとって、オリンピックはそこまで重要な大会とは位置づけられていないと思っていました。しかし平野選手は違っていました。金メダルを目指すと公言し、大怪我を負ってなお高難度のプログラムを組み、この戦いに挑みました。 その恰好や過去の舌禍などから「チャラい」「軽い」とつい色眼鏡で見てしまうスノボ界ですが、ピアスに長髪の平野選手の口から発せられる真摯な言葉の数々と、まっすぐな両の瞳にはついこちらも背筋を伸ばしてしまいます。 オリンピックではじめて連続4回転の技を決めても、絶対王者ショーン・ホワイトの後のない状態からくり出された高いエアには及びませんでした。スケボーで東京オリンピックの出場を目指すという報道もありましたが、まず平野選手が意欲を示すのは競技人口が少なく設備も整っていない日本国内での底上げ。まだ19歳の青年の未来は、銀メダル以上の輝きをもって待っているようです。 同日に行われたのが、ノルディック複合W杯総合ランキングトップで迎えたソチ銀メダリスト・渡部暁斗選手のノーマルヒル。4年越しの思いを平昌ジャンプ台の風が受け止めてくれるか不安でしたが、トップと28秒遅れの3位につけました。クロスカントリーの強化に励んできた渡部選手ならきっと大丈夫。刻一刻と順位の変わるスマホの速報を片手に信じて家路を急ぎました。 が、帰り着いたのは「いやぁ強い、強いな~」という萩原健司さんの解説とともにフレンツェル選手がゴールした瞬間でした…。 惜しくもまた、上り坂で突き放されてしまったようです。 それでも「惜しくも」なのです。4年前は、複合で日本選手がメダルを取ったことを喜びました。攻めにいった結果の大健闘でした。しかし今回は違います。渡部選手は頂点を狙うことを明言できるほどの努力と研鑽と実績を積んできました。誇らしい、けれど悔しさも残る銀メダル。だからこそ前回は不完全燃焼に終わったラージヒルにリベンジを誓う姿は力強く、見る者に勇気を与えました。4年という長い時間その実力を保ち続けてこそ、本当の強さ。複合ニッポンの復活のために、これからの4年は渡部選手に続く若手の活躍が待たれます。 そして、この日のメダルラッシュの最後を飾ったのは、女子スピードスケート1000m。小平選手・高木選手の銀・銅両獲りでした。 金メダルはやっぱりオランダの選手で、オリンピックに合わせてくる強さはさすがのものでしたが、小平選手もソチで悔しい思いをして単身オランダに武者修行するなど、4年の歳月をこの日のために捧げてきたアスリートです。世界記録保持者として挑んだ決勝、わずか及ばなかった0.26秒がオリンピック2位という栄誉を悔しいものにしてしまったのかもしれません。 試合前も後も、表彰式でさえあまり表情を変えず淡々とこなす小平選手はまるで女侍のよう。クールでカッコよくて素敵です。はじける笑顔は500mを待つことになるでしょうか。それでも鍛錬に鍛錬を重ねて迎えたこのオリンピック、ぜひすべてが報われますように、リンクの女神が微笑みますように。 そして1500mに続いてメダリストとなった高木選手。日本選手がふたりも表彰台に並ぶとは、ソチの時には思いもしませんでした。パシュートで金メダルならコンプリート。3つの異なるメダルがその首にかかりますように。 PR |
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