『ひよっこ』
奥茨城村ののどかな景色と、耳に心地よい茨城弁。昭和レトロな東京の風景。ほっこりしたり、ほろりとしたり。ようやく、朝ドラらしい朝ドラが帰ってきたかな…。 健康的な有村架純ちゃんは緑豊かな農道と自転車にセーラー服が似合います。これから東京に出てしまうのが少し残念なくらい。 物語のテンポはゆっくりですが、丁寧な演出が光ります。ここ最近、セリフですべてを説明してしまうドラマが増える中、木村佳乃演じる美代子が東京で過ごした一日の心情を映像で語らせた回は秀逸でした。美代子の目を通して、ものにあふれた東京にいながらも贅沢を知らぬ出稼ぎ労働者たちの悲哀を感じ、「その他大勢」で片づけられてしまう彼らにも名前が、家族があるということに思いを馳せ、東京でその確かな存在を分かち合ってくれたすずふり亭の親子に心あたたかくなり。お父さんはどこへ行ってしまったのか、ひよこのみね子はこれからどう羽ばたいていくのか、今後に期待がふくらむスタートです。 『おひさま』『ちゅらさん』と中盤から中だるみ激しかった岡田惠和作品ですが、今回はそうならないよう願います(前者は震災により設定を変えざるをえなくなったため仕方ない面はありましたが)。 『4号警備』 警察ではなく警備会社が舞台という発想の斬新さに惹かれました。ちょっとノリの軽い窪田正孝と気弱な北村一輝というコンビの凸凹バランスもすばらしい。一話30分という短い枠ですが、展開にスピード感があって楽しめます。お互い、過去に何かを抱えているようですが…元警官の朝比奈の記憶にチラ見せされたのは賀来賢人。池杉の印象が強すぎてチョット気になる。ヒロインは『とと姉ちゃん』の綾さんですね。社長はかか。と、NHKらしい落ち着いたキャスティングの中にストーカー小沢をぶっこんでくるのもまたNHKらしい遊び心です。 『犯罪症候群 Season1』 玉山鉄二主演…と聞いて観ないわけにはいきませんが、谷原章介、渡部篤郎、要潤とワタクシ好みのキャスティングで、毎回垂涎です。 お話自体も、貫井徳郎原作とあってスリリング。一件の誘拐事件が、さまざまな人を巻き込んでその運命を変えていきます。武藤の傷、鏑木の信念、咲子の苦悩、ジーニアスの野望、環の真意。 さまざまな過去や苦しみを抱えたキャラクターたちが、立ちはだかる現実に対してどのような決着をつけていくのか。Season2はWOWOWだそうですが、このエピソードは地上波で終わらせてほしい…。 『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』 今季は警察ドラマが多いな…。しかもイケメンばっか…。 そして、秘密の過去を抱えた者たちばかりなのも特徴。 しかしこのドラマは、その過去がなかなか明らかになりません。クセ者の中でもクセ者ぞろいの特捜班ですが、今のところリアルタイムで起こった事件を中心に展開していて、謎はまだ謎のまま。いずれはそれぞれの過去と現実がリンクしてすべてが明かされるのでしょうが、少し思わせぶりです。初回の爆弾魔から始まる展開のスピード感には惹きこまれましたが、2話の政治家の買春エピソードはやや強引さが目立ち、トーンダウンしてしまったのが残念。それでも小栗旬&西島秀俊のアクションシーンはさすがのひとこと。目の保養ですな。 しかし、西島秀俊と石田ゆり子のツーショットは『MOZU』まんまで、キャスティングに目新しさが欲しかったです。 あとイケメン主人公ふたりに囲まれながらも田中哲司が意外に存在感を発揮していてカッコいい…。長塚京三のうさんくささといい、渋いドラマです。 PR
『カルテット』
最後まで坂本裕二ワールド満開で、惹きこまれました。 唐揚げレモン論争に始まり、微妙な男女の関係、複雑な過去からの脱却、回ごとのエピソードに添えられた印象的なセリフの数々。とくに巻夫婦の悲しい決着には、言葉のひとつひとつが心に深くしみわたりました。松たか子と宮藤官九郎の一見アンバランスなようでいて、いかにもありそうな夫婦の出会いから別れまでの日々が回想を通して語られた回では、夫婦とは何かを改めて考えさせられました。 深く感動させられるわけでもない、大笑いして楽しくなるわけでもない、大きな事件や謎が解明されるわけでもない。カルテットの面々は相当いろんな過去を抱えていて、相当変わった人たちだけれど、描かれている日常の揺れ幅はなぜか大きくない。それは彼ら彼女らが、今にしっかり足を着けて立っていて、ブレない人間だからのように思います。音楽を、カルテットを、未来を信じる力があるから、仕事を失っても、傷ついても、スキャンダルに見舞われても、仲間が逮捕されても、ブレずにその場に居続けることができるのです。見ている側も、頑として動かないその視点があるから、淡々とカルテットの日々を追い続けることができました。坂本作品の居心地の良さは、そこにあるのだと思います。 最終回前のラストにヤマ場を配置して、最終回本編自体はその後の日々を平板に描く手法は、『問題の多いレストラン』同様でした(こちらは回数削減のためだったのかもしれませんが)。結局、真紀は義父を殺害していたのか? 意味深なセリフ「こぼれちゃった」とは? 『死と乙女』の楽曲の意味は? 解決されていない謎もいくつかはあるものの、カルテットの未来を暗示する爽やかなラストの前に、「まあいいか」と放置することにしました。しょせん、人の日常なんて、「まあいいか」のくり返しですから。 『東京タラレバ娘』 だいたいの展開が読めて、ラストも予想の範囲内を超えることはありませんでしたが、既視感も退屈感もそこまで憶えなかったのは、ひとえに主役の三人娘が、誰もが共感できる不器用な女性たちをいきいきと演じていたからでしょう。 いつの間にか独り身の自由に慣れ、理想の恋人との生活に踏み切れなかった倫子。惚れた弱みで元カレのセカンドに甘んじる香。卑劣と知りながらも不倫の恋に溺れてしまう小雪。 どこにでもいる、というと語弊があるかもしれないけれど、もしかしたら自分もそうなっていたかもしれない、そうなるかもしれないと思わせるようなアラサーの描き方でした。 吉高由里子は、勝気な女刑事やインテリ翻訳家よりも、こういうナチュラルな役柄が似合っていますね。榮倉奈々はやけにふっくらしたな、髪型のせいかなと不思議に思っていたら、妊娠していたそうな。妊娠疑惑が晴れて彼に「よかった~」と言われるとは、役の上とはいえなんとも複雑。パパになる人は別ドラマではっちゃけていましたが…。大島優子は女優としてもやっていける技量を持っているとはかねがね思っていましたが、今回も元アイドルの肩書を忘れてしまう好演でした。三人の中でいちばんしっかりしているようでありながら、実は心弱さを抱えており、既婚男(これも田中圭の見事なクズっぷり)につけこまれるも、男の妻の出産をきっかけに立ち直りますが、香が金髪男に背を押されてセカンドから脱却した一方で、己の心弱さをみずから断ち切るその流れを自然に演じていて、好感が持てました。 タラレバ女たちを一刀両断するKEY役の坂口健太郎は、『とと姉ちゃん』の好青年のイメージが強すぎて、まるで異なる金髪イヤミに違和感があったのですが、回を追うごとにどんどんカッコよく見えてきて、最後の泣き姿には胸キュン(死語)でした。鈴木亮平も理想的ないい男でしたし、倫子モテすぎやろ…。 アラフォーバージョンも公開されているようですが、こちらも何やら気になるキャスティングですね。 『べっぴんさん』 年明けからのさくら祭りにはウンザリしてしまいました…。 正月早々の「ぜんざい作り直して!」発言から始まり、ヨーソローを巻き込むごたごた、入社をめぐるひと悶着、結婚&妊娠、最後にはすみれ激似の藍絡みのエピソードまで、最初の一週間の超高速展開は何だったのかと思うほどの堂々めぐりの超スローペースには肩の落ちる毎日で、最後はほぼながら見でした。ヨーソローの二郎ちゃんをめぐる恋のさや当て回での立ち回りには悪意すら感じ、さくら役の若い女優さんに同情を憶えるほどでした。ひとり娘の藍に手を焼いての「ひとりっ子だからこらえ性がない」発言には、「おまえが言うな!」と全視聴者がつっこんだであろう。 さくらは私の母と同じくらいの生まれですが、もし自分の母親がこんなふうに描かれたら、いくらフィクションでももはや抗議ものですよ…。 さくら関連以外でもツッコミどころは枚挙にいとまがありませんが、そんな中にも光る部分はあるもので、ゆりの鮮やかな生き方、潔の貫禄すら漂う存在感、栄輔の丁寧(でイケメン)な立ち居振る舞い。紀夫演じる永山絢斗は、兄(瑛太)と似ているようでいて異なる魅力を持ついい俳優さんになりましたが、最後はもぐもぐ食べている姿がかわいかったので、まあ…。 そしてすみれたちの晩年は、シワシミひとつないお肌にもかかわらず、自然に老いを感じさせる見事な所作だったと思います。 これらも結局、破綻しまくりの脚本を補填するにはさすがに及びませんでしたが。 芳根京子は一貫して真摯にヒロインを演じていて素晴らしかったです。序盤、戦地から帰らぬ夫を想い、娘を負いながら「淋しいね…」と丘の上で流す涙の美しさには、胸を打たれました。 土村芳ははじめて見ましたが、黒木華に続く古風な香りのする女優さんとして、これからもNHK御用達となりそうな雰囲気を持っていました。ももクロちゃんも、こんなにお芝居がうまいとは思ってもいませんでした。四人娘の中では突出していたように思います。 明美さんは唯一庶民の出で、お嬢様たちの趣味が高じて商売となったキアリスの中でも異質な存在でしたが、最後までその異質さが際立っていて、クローバーのひとつになりきれていなかったように思いました。谷村美月はキャリアにかかわらず演技力が乏しく、四人の中ではただひとり作品の質を落としていたように思います。明美はお嬢様たちとは出自が異なるため常に三人から一歩引いていましたが、ベビーナースとしての経験や知識はキアリスには欠かせないものであり、それを引け目と感じさせない存在感を放たなければなりませんでした。しかしその一歩引いた姿勢にはいつまでたっても三人との距離しか感じさせず、もう少し明美の秘めた強さとやさしさをしっかり演じることのできる女優さんであれば、こんなにも違和感を憶えることもなかっただろうにと残念でなりません。 「なんか、なんかな~」と言っていたらとんとん拍子にお店が大きくなっていった(だけではなかったはずだが、そういう風に描かれていた)、という流れは、「ええ~どうしよう~」と困っていたらお医者さんになれた『梅ちゃん先生』と通じるものがありました。 思うに、脚本家はお嬢様が嫌いだったのでしょうかね…。
『お母さん、娘をやめていいですか?』
大胆な花柄ワンピースとつば広のお帽子、鼻にかかった甘い声。そんなファンシーアラフィフ毒母姿が似合うのは斉藤由貴だけ。『真田丸』の阿茶局といい、悪女役がすっかり板につきました。 ただ顕子は悪女というより、魔女。毒リンゴをミキサーにかけ、にっこり笑って娘に差し出すような、聖母の衣装をまとった魔女です。 太一によって長い眠りから目覚めた美月ですが、何度も母からの決別を誓っては揺れ、誓っては揺れます。顕子の差し出すリンゴに、愛情がたっぷり塗られていることを知っているからです。たとえそれが毒とわかっていても、齧らずにはいられないのです。 娘だから。 生まれた時からそばにいるから。 そのリンゴを齧り続けて、母も自分も生きてきたのです。母を否定することは、今までの自分の人生を否定すること。それはとても勇気のいることです。だから美月もあと一歩がなかなか踏み出せません。 ともすればやきもきさせられる美月の優柔不断さですが、娘の母になることはもうないにしても、母の娘である以上、美月の心は痛いほどにわかります。もちろん、顕子ほどの毒を味わったわけではありませんが。母たる生き物は、多かれ少なかれ、娘に対して愛情を塗った毒リンゴを手に持つようにできているのかもしれません。 そして顕子もまた、母の娘であり、母から渡された毒リンゴを齧り続けてきました。しかしその母はもういない。せめて突き返すきっかけがあったならば、毒を食み続けることもなかっただろうに。美月への愛のリンゴに毒を塗っていたことにも、もっと早く気づけたかもしれないのに。 毒リンゴを投げ捨てた美月の革命は、周囲の心も動かしました。ことなかれ主義の父親は会社を辞め、インドネシアでの再起を決意し、同じく毒母を持つ登校拒否ぎみの生徒は家を出ることになりました。そして顕子も、亡き母と娘への執着から脱却し、夫のもとへと旅立っていきます。 それぞれの未来に向かって広がる、青い空。毒リンゴを吐き出して目覚めた白雪姫が最初に見たのも、きっとそんな風景だったに違いありません。 さすが実力者・井上由美子の作品だけあります。あやういバランスの上に立つ顕子と美月の対峙は、毎週、背中がチリチリするような緊張感でした。ふたりの関係を表す衣装から小道具に至るまで、丁寧に作りこまれた良作だったと思います。 『スーパーサラリーマン佐江内氏』 「絶対、原作はこんな話ではないだろう…」と思いつつ、毎回大笑いしてばかりの全10回でした。 あらゆるドラマで常にカッチョ良かった堤真一ですが、ちゃんと冴えないサラリーマンになりきっていて、しかも回を追うごとに、ムロツヨシや佐藤二朗の無茶ぶりにリアクションできるようになっていました。佐藤二朗との場面はオールアドリブだったと聞きましたが、賀来賢人・早見あかりをまじえた居酒屋での場面では、全員素で笑っていましたね。この佐藤二朗のくだり、毎回必要なのか? と思っていたら、まさか最終回であんな秘密が明かされようとは。キャプテンマンといいながら、色違いなだけでまんまバードマンのコスプレやん。 最終回は、菅田将暉が大々的な予告のわりにあまり見せ場のないゲストでしたが(山崎賢人以下と貶められるし)、鬼嫁キョンキョンがやっぱり夫ラブなところを見せてくれました。いまや、ツンデレ嫁を演じさせたらキョンキョンの右に出るものはいないでしょう。あんなムチャクチャで理不尽な家庭もありませんが、それでもなんだかほっこりしてしまう、左江内家でした。 毎回ちょっとした小ネタが隠されていて気楽に楽しめるドラマでした。ぜひスペシャル版や続編を作ってほしいです。ムロツヨシのスピンオフもぜひ地上波で放送を。 しかし、本当に原作はどんなオチだったのだろう。原作ファンは怒りはしなかったのだろうか…。
『カルテット』
『逃げ恥』の後枠ですが、前作とはずいぶん趣の異なるサスペンス。 初回は、坂元裕二らしいかみあわない会話と理屈っぽいセリフの応酬。これ、いつも気になるのですが、なぜ初回でやるのでしょうかね。松たか子の小さすぎる声も最初だけでしたし。わざわざ不快感を催させるのは視聴者の振り落としなのでしょうか。それさえしのげば、あとはジェットコースターのように面白い展開が待っているのもいつものことですが。 夫が失踪中の真紀。真紀の夫の母からひそかに真紀の調査を依頼されているすずめ。何やらうさんくさい男に付け狙われている家森。著名な音楽家の家系である司。カラオケボックスで「偶然」出逢ったカルテット。それぞれの抱える秘密、思惑が軽井沢の別荘に響く美しい音色の下で交錯します。 恋愛模様も描かれるようですが、ひと筋縄でいかないのが坂元裕二作品。謎だらけで先が見えないストーリーももちろんですが、椎名林檎の楽曲に女優陣の色っぽい歌声が絡むエンディングまで目が離せません。 『東京タラレバ娘』 キャスティングには魅力を感じなかったのですが、原作の1巻が無料だったので試し読みしたら案外面白かったので、視聴してみました。随所に漫画そのままの表現がされていて、気楽に楽しめる作品です。 テーマとしてはありきたりなので、どんな目新しいオチが用意されているのかも気になるところ。 『スーパーサラリーマン左江内氏』 これまたお気楽に見られる作品。藤子・F・不二雄の原作漫画は読んだことがありませんが、パーマンかエスパー魔美の中年版といったところでしょうか。深夜でなくどちらかといえば若者向けの土9枠なのには驚きましたが。 堤真一が大真面目にスーパーマンのコスプレをしていることに始まり、キャスティング全員が振り切った演技をしています。ムロツヨシや佐藤二朗はお手のものであるとしても、白目を剥く賀来賢人は意外なコメディアン適性が見えました。 鬼嫁でダラ嫁のキョンキョンは一見救いようがないようでいて、夫を悪く言われると少しふてくされるかわいいところがあります。しかしスーパーサラリーマンであることは秘密。父への敬意のかけらもない娘と息子も、さえない姿しか知りません。職場でも家庭でも哀愁漂う左江内氏、はからずして負ってしまった大きな責任から逃れることはできるのか…。
『おんな城主 直虎』
題材からして期待値は低く、良作となるか否かは『ごちそうさん』や『天皇の料理番』の脚本を手がけた森下佳子の手腕にかかっていると想像していましたが、二話まで見た限り、やはり今後の評価は脚本次第であると感じました。 放送前に「実は男性だった」ことを示す資料が発見されたと報道された井伊直虎。謎の多い人物だけに、いわゆる史実と創作をミックスできる自由度は高いですが、一歩間違えると歴史の冒涜と評されても仕方ない駄作になってしまいます(どの作品とは言いませんが)。まだ勢力弱く、戦国の傍観者でいるだけの井伊家ですが、今後歴史の中心に近づくにあたって、どのようなアレンジを加えてくるのか、期待と不安半々で待ち受けたいと思います。 子役時代が一か月続くようですが、とわ・鶴・亀の幼なじみトリオはまるで少女漫画に出てくるような関係性です。『ごちそうさん』の序盤も少女漫画チックでしたが。この子役たち、実に子役らしくて魅力的。とくに鶴・亀は高橋一生と三浦春馬にそっくりで、よく見つけてきたなと思うほど。とわは柴咲コウよりも、オファーされていた(と父親が暴露したらしい)杏に似ているような…。 初回、成長後の主役をチラリと見せてから、幼少期に変わるのは大河ドラマのお約束ですが、冒頭に登場した直虎は少し軽さがありました。さすがに『信長協奏曲』の帰蝶のような演技にはならないと思いたいのですが…。『軍師官兵衛』の岡田くんも、初回の冒頭と実際のシーンではまったく雰囲気が違っていましたし…。『篤姫』の宮崎あおいもぐんぐん貫禄が出てきたので、柴咲コウもそんな成長曲線を見せてほしいですね。 『お母さん、娘をやめていいですか?』 親子というより友達のような仲良し母娘。過干渉と依存でつながるふたりの関係性に、ひとりの男性が現れたことで変化が生じる…というお話。 セーラー服のスケバンだった斉藤由貴も、すっかり母親役が板につきました。それでも、ふんわりワンピースや避暑地のセレブと思わせるお帽子が似合うかわいらしさ。しかしこのドラマでは、そのかわいらしさが逆に怖さを醸し出しています。 母・顕子は無邪気に娘・美月を愛する。娘に似合うと思う服を与え、教師である娘に頼られればアドバイスを送り、果ては新居を世話した住宅メーカーの男性と交際するよう勧める。自分の行いはすべて娘のため。そしてそれを正しいと信じ疑わない。 あなたのため。そんな言葉に縛られてきた美月。松島に指摘されてようやくそのいびつさに気づいた美月は、はじめて母へ反発する。娘が自分から離れようとしていることに、顕子はみずから我が婿に最適と認めた松島の存在がその原因と知るや、愛しているはずの娘を貶めて手を引かせようとする。 顕子が愛しているのは、美月なのか。それとも、美月を愛している自分なのか。 美月を思いどおりの娘に仕立て上げることは、愛ゆえなのか。それとも顕子が趣味にしている人形作りと同じ行為なのか。 美月は人形から人間に戻ることができるのか。パンドラの箱を開けた松島は、ふたりにとってどのような存在になっていくのか。リストラ対象であることを家族に隠している父親は、崩れはじめた家族の構造を立て直すことができるのか。 ゾゾーっとする斉藤由貴の怪演と、今後の展開が気になるドラマです。 |
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