『みをつくし料理帖』
7話放送の時点で、「これ、絶対次で終わらんだろ…」と案じていたのですが、やはり小松原さまもあさひ太夫も横たわる問題はそのまま、おそらく第二部待ちのエンドでした。 一話完結型の起承転結は淡々と進行していて少しカタルシスに欠けましたが、NHKの時代劇らしいほのぼのした雰囲気は一貫していました。小説のイメージとは異なるキャストも、作品自体の質を損なうものではありませんでした。最初は少し線の細さを感じた森山未來の小松原さまも、回を追うごとに渋みを増して、ほれぼれしました。黒木華の下がり眉は澪にぴったりでしたし、あさひ太夫のきりりとした美しさも、又次の無頼漢ぶりもなかなかのものでした。スタッフロールにあわせて現代のキッチンで料理する澪の映像も面白い趣向。 第二部では小松原さまと澪の縁談あたりでしょうが、いつ頃の放送になるのでしょう。こうなると、いっそのこと朝ドラ枠でじっくり描いてほしかったですね。 『愛してたって、秘密はある』 秋元康原案というのはひっかかるものの、恋人に明かせない過去の秘密をモチーフにしたミステリーはいかにも夏向き。 福士蒼汰と川口春奈の爽やかな法律家カップルは結婚を前に幸せそのもの。しかし男には、昔父親を殺して庭に埋めたという恐ろしい過去があり…と、最初から情報が盛りだくさんで、どういうラストに持っていくのかが今から気になります。 なぜ罪に手を染めながら法律家を目指すのかとか、なぜ両家とも豪邸なのかとか、庭に死体があってよく平気でいられるなとか、ツッコミどころは多々あるものの、なんとなく昭和の匂いのするドラマなので、細かいことは気にしない方が良いのか…。 ひさびさに三枚目でない、強面エンケンを見ました。この検事にはどんな秘密があるのでしょう。 PR
『ブランケット・キャッツ』
西島秀俊+猫…狙いすぎちゃいますか。 猫がかわいすぎて展開が頭に入ってこないのが玉に瑕ですが、重松清原作とあって、心にじんと染みてくる、毛布のようにあたたかい短編集です。 テーブルの上で邪魔してくる。取り替えたばかりのトイレに入っていく…そんな猫あるあるに困り顔の西島秀俊を見ているのも楽しい。 偏屈な性格の職人で商売はマイペースそうだし、家具にも毛がいっぱいつきそうだし、獣医師が知人とはいえ何かとお金がかかるし、出演している猫はみんなプロでおとなしいしお利口だけれど現実はきっとてんやわんや。それでも猫に囲まれて暮らすのは猫好きにとっては夢のような生活です。 まあ、7匹はちょっと多いですが。おトイレの世話だけで大変でしょうね。2匹でも大変だったのに。 『ひよっこ』(承前) 舞台は向島電機からすずふり亭へ。「こんなイイ人ばっかなわけあらへん」と思いつつ、朝ドラはこれくらい穏やかなほうが良い。 それに、長女らしい不器用なみね子と、それを受け入れ導いてくれる周囲の人びととの絡みが実に自然です。ヒロインが「どうしよう、どうしよう~」と言っていたら周りが勝手に助けてくれる、という朝ドラにありがちな展開にしない、強弱と緩急のついた脚本と、その「間」を吞み込んだ演出のなせるわざでしょう。 お話は半分を過ぎましたが、今後の展開が読めません。この雰囲気だと、悲しいことは起こらなさそうですし、最後にはきっとお父さんも帰ってくるでしょう。みんなですずふり亭のビーフシチューを食べるのかな? あと、みね子のお相手も気になるところ。慶応ボーイにラブの予感ですが、個人的には職場の頼れる先輩であるヒデを押したい。しっかりしていて働き者だし、いつもみね子のことを気にかけてくれるし、優しいし。しかし淡い初恋相手の綿引さんも捨てがたい。故郷に帰ってまでお父さんのことを探し続けてくれるなんて、あんないい人いないわー。最近姿を見ない三男は、米屋の娘さんのところに落ち着くだろう。 『ちゅらさん』は結婚後話が落ち着いてしまったので、この作品は最後までひっぱってほしいですね。『ひまわり』は世相の関係でつまずいただけだったのでしょう。 『おんな城主 直虎』(承前) 井伊が歴史の荒波にもまれつつあります。 大国のはざまで必死に生きようともがく小国の悲哀を明確に描く脚本には、『真田丸』と同じ歴史観を感じます。桶狭間以降の今川家は今まで描かれることはほとんどありませんでしたし、家康と築山殿も個性的で面白い。戦国時代に視点を移し、時間軸の上を一点で移動するその描き方のおかげで、恋だの愛だのさしはさんでいても、いわゆる「スイーツ大河」とは一線を画しています。脚本家の力量あってこそでしょう。 しかし、ドラマ自体はワーワーキーキー騒がしいヒロインと、振り回される御供たち、ツンデレ幼なじみ…大河ドラマというよりも、朝ドラのノリ? 歴史の年表への適度な肉づけと愛すべきキャラクターたちのおかげで、まだ「見られる」大河になっていますが、一歩踏みはずすと悲惨なことになりそうで毎週ハラハラします。 年齢的にもとうが立っている直虎にはそろそろ城主らしい落ち着きがほしいところですが、直政の成長待ちですかね。子どもの頃からの三角関係だのワルに心惹かれるだの、主人公のまわりがいつまでも少女漫画のノリをひきずられるのはちょっと辛いです。
『リバース』
最終回の前の回のラストには戦慄が走りました。 原作はそこで終わっていたらしいのですが、後味悪すぎ。さすがイヤミス女王の湊かなえ…。 ドラマではさらにエピソードを加え、未来を生きようとするそれぞれの姿が描かれていて、爽やかなラストになっていました。うまくいきすぎとはいえ、映像で見る分にはこのくらいぬるさがあるほうが良いかな。 スリリングで勢いのある脚本も良質でしたが、実力派若手俳優をそろえたキャストも良作に仕上がった要因でした。主要人物のうち玉森(キスマイ何ちゃら?)だけよく知らなかったのですが、演技力ある他の3人に押されず存在感を発揮していたと思います。黒板の字が高校教師とは思えぬヘタさだったのが何とも不自然でしたが。 回が進むごとに気になっていたのが、深瀬が親友と思っていた広沢と、他者が語る広沢の印象が乖離していることでした。高校時代の知人である古川と川本は、広沢に対して百パーセント好意的には語っておらず、むしろ広沢が己をイイ人として徹するための材料にされたと感じているような印象もありました。美穂子もまた優柔不断な広沢の態度に嫌気がさして距離を置いています。広沢を生涯の親友と信じ慕っていた深瀬が記す広沢の印象を書きだしたノートからは、決して深瀬が感じていたような広沢ではない、多面性を持った人物像が浮かんできます。 しかし、人間とはそういうものなのかもしれません。 物質的存在である自分はこの世にひとりだけであっても、観念的に存在する自己はこの世にひとつではない。 自分を信じ、己を貫いて生きたとしても、他者にとっての己は、他者とともに存在し、他者が感じた分だけ存在する。そしてそれは、他者同士が互いに同じ空間に存在していなかった時間がある限り、共有できるものでは決してない。 深瀬が広沢を理解しようとしても、深瀬の存在しなかった高校時代に古川と川本の中に生まれた広沢は、もう二度と知ることのできない存在なのです。 だからこそ、他者と完全にわかりあえることは絶対にない。その悲しみと折り合いをつけながら生きていくのが、他者との共存なのだとも思います。 ドラマの中では、そのあたり少しうやむやにされていて、結局のところ広沢は優しすぎるために、古川と川本、そして美穂子を傷つけ、場の雰囲気を壊したくないがためにそばアレルギーを隠し、それが仇となって命を落とすことになったという落としどころになっていました。イヤミスならば、深瀬の知らなかった広沢の暗い部分も描かれていたのかもしれないと思うのですが…。 それでもやはり、ドラマですから、ぬるい感じで終わるのが良いのかもしれませんね。 『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』 『フライ,ダディ,フライ』の金城一紀が原案・脚本とあって、ひとりひとりのキャラクターと各エピソードのプロットがしっかりしていて見ごたえがある警察ドラマでした。ただ、回を追うごとに大げさすぎるシーンが増えてきて、「日本はどんだけテロの脅威にさらされてるんだよ。ていうか、そんな危険な任務をたった5人だけにまかせて警察大丈夫かよ」と疑問がわかないでもありませんでしたが。 教団へ突撃の回は、次から次へと敵が出てくるアクションRPGのごときシーンの連続で、「そんなバカな」と思わず笑ってしまいましたが、小栗旬と西島秀俊がさすがのクオリティでアクションを見せてくれたので楽しめました。 野間口徹の飄々とした雰囲気も味がありましたし、演技派に囲まれた新木優子も頑張っていたと思います。田中哲司は途中で残念な報道がありましたが、悔しいかなやっぱりカッコよかった。 ただ、ひとつひとつのエピソード自体は後味悪く、徐々にメンバーが心をすり減らし闇を抱えていくのには胸が苦しくなりました。鍛冶の腹黒さと、板ばさみで苦悩する青沼の描写も秀逸で、どんなラストを迎えるのだろうと思いきや、なかなかの衝撃。映画あたりで続編をする予感…いや、してほしい。 あっちこっちで息子に悩まされる竜雷太はそういう運命なのか。そういや、ひさしぶりに駅伝くん(@てっぱん)を見たなあ。 『小さな巨人』 もう、笑うしかないだろー! 日曜の夜はリアルタイムで視聴して、イケメンに癒されて眠る…のが毎週の日課となりましたが、最後の方はイケメンなどどっちらけ。全員のドアップ顔芸に笑わされ、癒されて眠りました。 この枠は、もはや『半沢直樹枠』と呼ぶべきなのか。香川照之の歌舞伎口調、「確信100%→300%→500%」の決めゼリフ、主要キャストの落語家・芸人(←和田アキ子と梅澤富美男と新聞記者)枠…見慣れた演出はもはや時代劇のような安心感。 芝署編はそれでもおとなしめの、警察組織の闇を描く硬派なドラマと感じていたのですが、豊洲署編から本領発揮。最後のボールペンのキャップをめぐるあたりはもはやコントでした。大の大人がオマケのボールペンを後生大事に使い、捜査一課長を目指す敏腕刑事ふたりがいくらでも取り換えのききそうなキャップの有無に目を光らせ、「キャップはここにあ・り・ま・し・たぁ!」と目をむいて無罪を主張されては肩を落とす…笑いをこらえるのに必死でした。この雑な展開にも関わらず、勢いだけで最終回まで駆け抜けたのは、キャストの熱演のおかげか。 江口を殺したのが金崎と判明した際は、「あー! だから女性理事長に和田アキ子をキャスティングしたのか! 上から鉄骨を落下させられる女なんて、和田アキ子くらいだもんね!」と手をぽんと叩いたにも関わらず、まさかのクレーン…。そこは自力で落とそうぜ! 香川照之だって想像VTRでぜーぜー言いながらも落下させたのだから、和田アキ子なら余裕だろ! という具合で、笑っているうちにエンディングを迎えてしまったので、ちゃんとオチをつけて終わったのかどうかはよくわからないのですが、最後はあれ、香坂は捜査一課長になったわけではない…のだよな? 山田が「香坂さん」と呼んでいたので、たぶんお互いいち課員だと思うのですが…。小野田が推薦した「あの男」は、たぶん藤倉か松岡あたりなのかなと。 あと、三島の存在意義が最後までわかりませんでした。ですが、香坂が三島を「何かあるんだろ、俺に話してみろ」とうながす場面にポーっとなった女性は多いはず。あんなイケメン上司に言われたら、そりゃ一生ついていきますわ。 『あなたのことはそれほど』 誰もかれもの自分勝手な言い分には見るほどにウンザリしてきて、最後までながら見視聴でした。涼太が美都に「あなたのことはそれほど」と言い切るラストは爽快…と言いますか、痛快だったかな。 東出昌大の怪演が話題となりましたが、冬彦さん(佐野史郎)ほどの演技力はないにしても、随所で気持ち悪さを出していました。基本的には美都と有島が絶対悪という視点で、涼太に同情する立場で観ていたのですが、離婚届を何枚もわざと書き損じる場面だけはあまりにイライラして、美都に共感してしまいました。「涼犬」て…「のび犬」かよ。 ただ指輪を海に向かって投げ捨てた背中は、やっぱりイケメンでした。 でも涼太の新しい相手は…そういうことなんですかね? 有島と麗華の落としどころも、こんなところかな。そうなっちゃいますよね。自分だったら平手をくらわせるのは発覚したその日にですが。 美都は、まあ、気のすむまで夢に夢見て好きにしたらいいんでないかい。
『4号警備』
30分枠、全7回という斬新な構成。短い枠ながら一話ごとのエピソードがまとまっていて、スピード感もあり、楽しめました。最終回までは…。 6話が終わり予告が流れて、「え、次で終わり?」とびっくり。人身売買のくだりが何やら複雑そうなのに、どうやって小林との因縁にケリをつけるのだろうと不安に思っていたら、銃撃戦など波乱があって残りあと10分、ここで小林登場。え、娘が人質? どうやって爆弾仕込んだ? なにその説得! それで改心しちゃう!? 朝比奈が助かるのはお約束だけれど、買収で4号警備がなくなるって言ってなかったっけ…? うーむ…最終回くらいは45分に拡大しても良かったのでは…。 と、いろいろモヤモヤするところは残りましたが、朝比奈と石丸の凸凹コンビは見ていて楽しかったですし、上野が良いアクセントになっていました。朝比奈とイイ感じでしたがツーショットが美しい。脇を固めるベテラン勢の贅沢ぶりもNHKならではです。 窪田正孝のアクションの恰好良さと、殺人鬼からヨレヨレおじさんまで演じ分けできる北村一輝の芸達者ぶりが際立っていて、やはりもう少し長い枠で見たかったなあと思わせる印象的な作品でした。 『犯罪症候群 Season1』 毎週苦悩する玉山鉄二が見ていて辛かったです。最初の事件は要潤が逮捕され、ミムラが未来に希望を見出すという終わり方だったので救われましたが、その後は戸籍交換のあげく殺されてしまう青年や、はからずもクスリに手を出してしまい自殺未遂をはかる娘、誘拐され殺されてしまう男児、復讐をはかる親…と、胸の痛くなるエピソードが続き、最後まで暗い雰囲気に覆われたままでした。玉鉄の笑顔が見たい。 谷原章介を起用している割にあまり目立たないなあと感じていたのですが、予告を見て、「そういう話!?」とびっくりしてしまいました。WOWOWに加入していないのでSeason2は視聴することができません。『MOZU』は見る気が起きなかったのですが、今回は展開が気になります。原作を読んでみようかな。
『あなたのことはそれほど』
原作の1巻だけ読んでみましたが、登場人物の誰にも感情移入できないわりに、妙にリアルでした。 激しい愛情なく結婚する。 罪悪感なしに不倫できる。 現実は、およそそんなもの。 しかし作り物のドラマでは、受け手側の感覚を揺さぶるために、なんらかのアレンジを施します。結婚は恋人同士が確かな愛のもとで行い、見ている側も幸せを感じられるものとなる。不倫は罪悪感に苦しみつつも抑えられない激情に見ている側も心を寄せ応援してしまう。どちらも現実社会においては非現実的で、だからこそ「ドラマ」チックになりうるのです。 しかしこのお話は違う。初恋の人と偶然再会して、ホテルへ直行。帰宅後、夫に平然と「ただいま」と言いながら、心の中では幸福感にひたり運命を感じている。そんな美都には嫌悪感しかない。 中学の頃、つきあってもいない同級生を抱いた有島は、15年後、同じ女を、妻帯していることを言わずに、言う必要もないかのごとくに再び抱いた。もちろん不快感しか抱きようがない。 不倫の被害者である美都の夫・涼太は、仕事中にも関わらずささいなメッセージを妻の携帯に日がな一日送り続けたり、寝ている妻の枕元から携帯を取り不審な記録がないかチェックしたりする「重い」男。 もうひとりの被害者である有島の妻・麗華は、学生時代クラスで孤立していた。同級生の人気者だった有島を「落とし」たことは、自分を貶め続けた彼女たちを見返すひとつの手段だったのかもしれない。だから麗華は外面のいい有島を、ことあるごとに見事なタイミングで牽制する。有島は見事にそれにひっかかる。軽くチャラい人物を装いながら、他人の中での自分の立ち位置をはかり調整し続けている有島もまた、「あんな人が彼女だったら兄のことを見直す」と妹に批評された麗華を手放せない。 それぞれがそれぞれの思惑で互いを利用し、自分の足元を固めようとする。 現実は、およそそんなもの。 読み進めるのに苦痛を伴いそうな原作ですから、これをドラマにするのは難しいと思われます。 夢見る夢子の美都がズルズル不倫に溺れていくのには無理があるし、波瑠のイメージともかけ離れている。有島の複雑さを表現するのも鈴木伸之では困難そう。麗華はもっと地味な外見でないと有島とのギャップがなくなるし、涼太はイケメンすぎて冬彦さんにはなれそうもない。 ただただ、不倫が不愉快なだけ。今後見続けるかどうか悩みます。 『リバース』 湊かなえは『告白』しか読んでいませんが、なんとも後味の悪い作品でした。人と人、あるいは社会との関係を構築するうえで、どうしてもみずからの足場を確固たるものにするために保身に走りがちな人間の狡猾さ、いやらしさ、言いわけ、それらが行間からにじみ出ているようで、読後感は最悪と言ってもよいものでした。ただ、作品を美しい言葉や表現で飾りたてることで、作り手も受け手も美しいものを美しいと感じられる美しい心を持った気になれる、それもまた狡い人間の営みのひとつでもあります。そんな偽りの装飾をかなぐり捨てたような湊作品は、心に直接爪を立ててくるような破壊力があります。 このドラマも、導入部から何ともいえない暗鬱な空気が漂います。 かつて大学生だった四人は友人を雪山の事故で失う。それぞれが己を守るためにはからずも共通でついた嘘。事故を事件と確信して追い続ける元刑事。今になって掘り返される過去。誰がなんの目的で彼らを陥れようとしているのか、謎は最後まで明かされそうにもありません。 キャスティングも絶妙で、それぞれの演技力が光ります。藤原竜也と戸田恵梨香は『デスノート』を思い起こしますが、当時の面影など完全に消し去るくらい役になりきっています。藤原竜也は追い詰められる役ばかりですが、作品ごとに異なるキャラクターで異なる追い詰められ方を見せてくれるのはさすがのひとこと。 視聴するたびに胸が痛む思いですが、見ごたえのあるミステリーです。 『小さな巨人』 警視庁にはどれだけイケメンが存在するのか、と叫びたくなる今期の警察ドラマ。 中でもこのドラマは、『半沢直樹』スタッフの作品だけあってアップの多用が多いせいか、長谷川博己と岡田将生のツーショットにずきゅんずきゅん。隣の雑音も気になりません。 もちろんビジュアルだけでなく、ストーリー自体も骨太で、見ごたえがあります。本庁と所轄の対立構図は『下町ロケット』をほうふつとさせますが、きっと同じように爽快なラストが待っているだろうと期待が持てます。 香川照之の濃い演技は飽食ぎみですが、腹黒で野心家の上司を演じさせたら彼の右に出る者はいないでしょう。桂文枝も千利休の記憶を思い出す悪役ぶりで、敵と味方がはっきりしている構造がドラマに入り込みやすくさせてくれます。 『平清盛』の頃は男前ぶりと反比例する演技力にガッカリ感があった岡田将生ですが、今回はハセヒロと安田顕の実力者ふたりにひっぱられて、質を損なわない演技を見せてくれています。しかし、なぜに「山田」? いや、山田哲人みたいなイケメンもいるんだけど…。「香坂」に較べるとどうも地味感がありまして。 あと、芳根京子ちゃんの存在価値が今ひとつわからないので、今後の活躍を期待します。 『おんな城主 直虎』 知識と期待値はほぼゼロの状態で視聴し始めたこともありますが、今のところまずまず面白い大河ドラマです。 直虎が領主となって場を締めるベテランがほとんどいなくなったこともあり、若手俳優陣ばかりの場面が多いことと、オリジナルストーリーのご都合主義的な軽さはやや目立つものの、脚本家の意図が現場にしっかりと伝わっているのか、スピード感は失われていません。戦国時代と言いながら戦場面がほとんどないため、お家と人間関係を整理しながら観なければいけないのが衰えた頭にはつらいですが…。 とわ&鶴&亀の幼なじみ同盟が解消され、次なる三人組は直虎&六左&之の字の主従トリオ。まるで気まぐれなペルシャ猫のうしろに控える気の弱い大型犬とキャンキャンうるさい小型犬といった雰囲気ですが、安易にイケメンがキャスティングされなくて逆に良かったと思います。直虎にすっかり毛嫌いされた小野政次が時折見せる苦悩の表情に身もだえする奥様方の情が移ってしまいますから…。 それにしても今川と井伊の板ばさみとなっている政次の立場は切ない。今後の情勢を考えれば、あまりしあわせな展開にはなりそうもありません。唯一の理解者であるなつとのシーンがわずかばかりの救いとなっています。 ムロツヨシが家臣となり、柳楽優弥も登場して、ますます盛り上がりそうな今後に期待します。 |
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