忍者ブログ

いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
<<  < 874873871875869* 870* 868867866864865 >  >>
今年も熱い夏が終わりました。

センバツから導入された低反発バットに加え、この夏は初日から三日間試験的に朝夕二部制で試合が行われました。開幕日の第三試合に登場したのは智弁学園。18時52分から始まった岐阜城北との試合は2点を追う9回二死から追いつき延長タイブレークでの決着となりました。それも10回表、智弁が3点を勝ち越せば、その裏岐阜城北が3点を取り返すという熱い展開に。しかし11回、ふたたび智弁が3点を取ると、その裏岐阜城北は不運なライナーゲッツーに終わり、智弁が勝利をもぎ取りました。時計は21時36分。プロ野球も終わっていた時間です。観ていて気になったのは、終盤にエラーが増えていったことです。おそらく普段は試合どころか練習もしていない時間帯でしょう。ネット界隈では9回に智弁が追いつくきっかけとなった内野ゴロが物議を醸していましたが、審判の方も慣れないナイターであることが判定に影響していたのかもしれません。

優勝経験がある報徳学園・大阪桐蔭・花咲徳栄・智弁和歌山が2回戦までに姿を消すという話題もありました。しかもそれらに勝った高校でベスト8に勝ち上がったのは報徳を破った大社のみ。これも一発勝負のトーナメントならではの妙味です。
ベスト8の中で唯一の公立校である大社の快進撃は、今年の甲子園を象徴するムーブのひとつでもありました。
3回戦の早稲田実戦は途中からテレビ観戦していたのですが、球史に残るベストゲームでした。
初回に大社が先制。しかしエース馬庭投手が6回に追いつかれると、7回にはセンター藤原投手の後逸で2点差となってしまいます。しかし9回。相手エラーで先頭が出塁すると、内野安打で一・三塁。そして見事スクイズを成功させ、大社が同点に追いつきます。さらにバントで一死二・三塁とサヨナラのチャンスを作ると、球場は一気に大社ムード。そうはさせじと早稲田実・和泉監督。交代させたレフトを投手の横に配置し、内野5人シフトを敷きます。ますますどよめく甲子園。外野に抜ければ間違いなくサヨナラです。しかも内野に入ったレフトは1年生、甲子園初出場。しかしこの緊張する場面で、彼は冷静にゴロをさばき一塁へ投げてバッターアウト。間髪おかずファーストは本塁へ送球、スタートしていた三塁ランナーはタッチアウトでスリーアウトチェンジとなりました。
代わったところへ打球は行くとはいうものの、この状況でしっかりと内野ゴロを打たせる配球をしたバッテリー、そこへ投げ切った投手。慣れない守備位置であわてることなく打球処理した1年生。そして落ち着いて本塁へ送球したファースト、きっちりランナーをアウトに仕留めたキャッチャー。大社ムードの球場の雰囲気に吞まれることなく、おそらく実戦でははじめてであろう采配にすべての選手が応えて成し遂げた一連のプレーでした。そしてこの土壇場で大胆な采配を敢行し、相手を動揺させた和泉監督。その豪胆ぶりに唸らされました。
試合は延長タイブレークに。甲子園で強豪校相手にここまですべて完投してきた馬庭投手。おそらく体力的にも精神的にも限界に近いであろう中、気迫を前面に押し出す投球に、観ている者の心は揺さぶられずにはいられません。10回表、ランナーを進めさせることなく3つのアウトを取ってベンチへ帰るその表情は泣いているようにも見えました。しかし早稲田実も負けてはいません。8回から登板していた川上投手も得点を与えず、試合は11回へ。
大社の内野陣は10回表も相手バントを三塁封殺する好プレーを見せていましたが、この回も堅守で馬庭投手を助けます。ゼロで封じたその裏。先頭は代打安松選手。10回裏は成功できなかったバントを、彼は三塁線へ絶妙に転がしました。打球は切れることなくフェアゾーンにとどまり、無死満塁に。そして打席は馬庭選手。川上投手の4球目、打球はそのマウンドの横を抜けていきました。
球史に残る熱戦に幕が降ろされた瞬間でした。
馬庭投手に真っ先に抱き着いたのは藤原選手でした。この勝利でもっとも救われたのは藤原選手でしょう。センターの守備に着くたびスタンドから大きな拍手が起こっていたのも印象的でした。
試合後の和泉監督は晴れ晴れとした表情でした。退場する大社の選手ひとりひとりに声をかけていたのも、敗れたとはいえ素晴らしい試合を最後までやり遂げた充実感からでしょう。
一方、大社の石飛監督は涙ながらのインタビューでした。バント代打の安松選手が立候補だったことには驚愕でしたが、監督の期待に見事に応えたあのバントを目にしたら、そりゃ泣くよなあとこちらももらい泣きしそうになりました。
もちろんバントの上手さは安松選手の日頃の練習のたまものなのですが、神がかっているくらい素晴らしいものでした。もしかしたらあの時、八百万の神々が甲子園を訪れていたのかもしれません。
出雲の力で大社がこの先も勝ち続けることを期待しましたが、準々決勝で神村学園の前に8-2で敗れ、快進撃はここまでとなりました。馬庭投手が先発できなかった大社は、途中まではなんとか食い下がりましたが、終盤に馬庭投手が打ち込まれて突き放され、そのまま敗退となりました。それでもこの夏、鮮烈な印象を残した高校のひとつとなりました。

昨年から総合力の高かった神村学園ですから、ここが優勝かなと予想しましたが、準決勝を勝ち上がったのは関東一でした。1点差で迎えた最終回、二死一・二塁。代打の選手がセンター前ヒットを放ち、同点かと思ったその瞬間、完璧な送球がランナーより先にホームへ還ってきました。「令和のバックホーム」誕生の瞬間でした。

そして決勝は関東一と京都国際という、どちらが勝っても初優勝の新旧都の顔合わせとなりました。
京都国際は札幌日大、新潟産大付、西日本短大付に勝ち上がり、準々決勝で智弁学園を倒すと、準決勝では青森山田に逆転勝ち。好投手の二枚看板で初の決勝進出となりました。
試合は、決勝ではめずらしい投手戦に。0-0のまま、延長タイブレークにもつれこみました。
決勝くらいはタイブレークなしでも良いのではないかなあ…と素人は考えてしまうわけですが、タイブレーク導入の経緯を考えると仕方ないことなのかもしれません。10回表、押し出しと犠飛で京都国際に2点が入ります。
追い込まれた関東一。その裏、先頭の送りバントが成功し、さらに送球も乱れて無死満塁に。ゴロで1点返すと、四球でふたたび満塁に。しかし延長から登板した2年生の西村投手。ゴロでまずホームアウトに仕留めると、最後の打者は空振り三振。
どちらに転がるかわからない白熱した決勝戦、決めたのは京都国際でした。
結局どちらにもタイムリーが生まれなかったというめずらしい展開になりましたが、これは両校の優れた投手力と守備力があってこそ。決勝戦にふさわしい、緊張感あふれる一戦だったと思います。
優勝校の校歌が流れると、一塁側アルプスの関東一応援団から手拍子が起きました。これは準決勝で敗れた神村学園も関東一の校歌斉唱時に行っていて、さらには神村学園に敗れた大社応援団がはじめたことでした。甲子園に新たに生まれた、甲子園らしいいい光景でした。

ホームランなしの優勝校は常総学院以来21年ぶりだとか(え!? 常総の優勝って21年前なの…!?)。長打力の印象が強い大阪桐蔭が散発5安打で敗れてしまったのも、低反発バットの影響のような気がします。これからの甲子園で勝ち上がっていくのは、京都国際や関東一のように守備力の優れた高校なのかもしれません。

今年も猛暑に苦しめられた夏でした。日差しはないとはいえ暑さは残り、夜でも足をつってしまう選手が出ていましたし、慣れないナイターでやりにくそうな部分もありました。しかしどんどん新しい取り組みを試していくことは大事だと思います。ここまで甲子園が注目されるコンテンツになってしまった以上、甲子園球場以外で全国大会を行うことはなかなか難しいでしょうし、時期もずらせませんから、なんとか継続していく道を模索していってほしいです。





PR
* SNOW FLAKES *
STOP  *  START
* カレンダー *
12 2025/01 02
S M T W T F S
5 6 7 8 9 10
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
* プロフィール *
HN:
さや
性別:
女性
自己紹介:
プロ野球&連ドラ視聴の日々さまざま。
* ブログ内検索 *
<<  <  *  NEW *  BLOG TOP *  OLD *    >  >>
Copyright©  さや
Designed & Material by ぱる
忍者ブログ ・ [PR]