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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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中国史といえば『三国志』が有名ですが、そのさらに前の時代である春秋戦国時代に目をつけるとは驚きです。
教科書でしか知らない秦の始皇帝、やがて彼の将軍となる信が主人公です。紀元前ですから史料も少なく、謎の多い時代ですが、だからこそたっぷり味つけができます。原作のあらすじを読むと虚実とりまぜたさまざまな人物が登場し、物語を彩っているようです。しかし50巻以上刊行されているので、手を出す気になれません。ラストまでいったい何年、何巻かかるのやら。
しかし少年はでっかい夢が好きなもの。一度は都を追われた王が仲間を増やしてその玉座を取り戻すこと、戦争孤児の下僕が腕一本で将軍に成り上がること、誰も想像すらしない中華統一という目標に少しずつ近づいていくこと、この一大叙事詩には少年の心を躍らせるすべての要素が詰まっています。おそらく多くの少年、元少年がその夢への道程を追いかけ続けるはずです。
そして信は、典型的な少年漫画の主人公です。やんちゃで無法者、顔は二枚目半で頭脳は三枚目、しかしピンチの時にはその無鉄砲ぶりが頼もしく見えるので男女問わずモテる。その相方に文武両道の正統派イケメンがいるというのもよく見る設定です。そして強くて賢いヒロイン(のちに主人公と結ばれるであろう)、なぜか露出の高い女将軍(主人公との恋愛には絡まずおそらく側近とイイ感じ、のはず)という少年漫画の必須アイテムも勢揃い。
そんなザ・少年漫画を、よくここまで丁寧に実写化できたなと感心しました。
なんといっても、そのザ・少年漫画の主人公を体現できる山崎賢人という俳優が存在したことも大きいでしょう。黙って立っていれば政を演じる吉沢亮にひけを取らないイケメンなのに、ちゃんと野放図な信になりきっていました。吉沢亮の凛とした大王ぶりも存在感が大きく、漂と演じ分けられていて良かったです。
CGやアクションの迫力もクオリティが高かったです。映画館で観るべき作品ですね。
ただ原作に忠実すぎたのか、いかにも少年漫画風なセリフ回しと、展開が読めてしまうところも多くて少し残念でした。
しかしこの作品は、壮大な物語のまだまだ序章といったところ。橋本環奈なのに男の子なのか? と気になっていた河了貂がやはり女性であることは最後まで明かされなかったし(あとで知った)、名前だけしか登場しなかった呂不韋がどんな人物なのかも気になるし、敵と見せかけて味方っぽい王騎と信の今後のかかわりも気になる。続編は製作されていくのでしょうか。いくら政が中国を統一したのは40歳手前とはいっても、今のキャストがオッサンになりきる前に、原作が終わることを祈るばかりです。









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