準々決勝の録画視聴は間に合わなかったものの、3回戦のネタ動画は気になるコンビだけ確認しました。
その中で、呼吸困難になるほど笑ったのが、ミルクボーイでした。 はじめて彼らを観たのはおそらく十年程前のことだったかと思いますが、「そら○○やろ」「○○ちゃうがな」のくり返しが気に入って、「ミルクボーイか!」のツッコミまでセットで我が家の鉄板ネタとなりました。ちなみにその時ネタ自体はそこまで面白くありませんでした。 それからもちょいちょいローカル番組で目にしてはいたのですが、ずいぶん腕を上げたなあと感じたのが2~3年前。受賞後に語っていた「本気を出し始めた」時期と重なります。 決勝進出の報を聞き、「ついに来たか!」と頷く一方、「ゴールデンの全国ネットでメンタルは大丈夫なのか?」という不安も拭えませんでした。 《敗者復活戦》 錦鯉キター! と、始まる前から投票を決めていたわけではありませんが、あのネタは3回戦の動画でミルクボーイの次に涙が出るほど笑ったネタなので、自信を持ってスワイプしましたよ。 ちなみに他の2組はミキとアインシュタイン。次点はロングコートダディでした。ちなみにヤスオーは錦鯉・ミキ・ロングコートダディ。 しかし最初から和牛だろうという確信はありました。視聴者の人気投票ですからね。案の定途中経過でも結果を待つまでもなく圧勝していましたし。経過速報も考えものですね。 会場が冷え切っていた(我が家しか笑っていなかった)錦鯉が途中経過よりも順位を上げていたことにはホッとしました。 それにしてもロングコートダディが「なんで下ネタやねん」と眉をひそめた最下位の囲碁将棋の次とは…。確かにウケてなかったけれども…これも我が家しか笑ってなかったけれども…。 《ニューヨーク》 炎上(ボヤ)騒動も記憶に新しい、毒舌ネタが特徴の一般ウケしづらいコンビ。ヤスオーの高評価は別にして、そこまで面白くないとも思わなかったのですが、歌ネタは賞レースでは鬼門です。トップバッターであることを差し引いても辛い採点と、審査員の辛口コメントでちょっとかわいそうでした。 《かまいたち》 不穏になりかけた空気を一発で引き戻した実力はさすが。観たことのあるネタですが、ブラッシュアップした感があって、ラストイヤーにかける心意気を感じました。このかまいたちの姿勢もあいまって、上沼恵美子は和牛への怒りを抑えられなかったのかもしれませんね…。 《和牛》 最近面白くなくなったなあ…と思っていたのです。「巧さ」はあるのに、以前みたいに大笑いができない。のちのえみちゃんコメントで納得しました。確かにベテラン漫才師は大笑いを取りません。賞レースは限られた時間の中にどれだけ笑いを取り込めるかが鍵といいます。NON STYLEはM-1のために芸風を変えたそうですが、巧さだけではダメなのです。たとえ拙くても、観客や審査員を笑わせようと必死になる、審査員もその姿に心動かされるのでしょう。もちろん和牛の実力は誰もが認めるところですから、ネタそのものというよりも元々の評価で点が入ったように思いますが、えみちゃんの怒りが4位にしたようなものですね。 《すゑひろがりず》 イロモノ枠かと思いきや案外点数をもらいました。『爆笑ドラゴン』だったかではじめて目にした時よりは、芸風がブレずにちゃんとネタを賞レース風に仕上げてきたことには驚きでした。このご時世、老若男女誰でも笑える芸というのは貴重です。 《からし蓮根》 関西ローカルの賞を取って、満を持してのM-1だったと思いますが爪痕は残せず。方言が伝わりにくかったという感想も目にしましたが、汚い言葉は聞きたくなかったなあ。すゑひろがりずの誰も傷つけないネタのあとだっただけに目立ちました。オール巨人の若手への愛あふれるコメントに救われます。 《見取り図》 せっかくいい順番を引いたのにスベりすぎや! これも口汚い大阪弁のせいで今年の大会にはアンバランスでした。戦況を見誤ったか…。2年連続空気はつらいぞ…。 《ミルクボーイ》 控え室での表情が硬かったのでずっと心配していました。 見慣れないコンビのツカミに客席は少し慎重になっていましたが、3回戦の動画で大笑いしたネタだったのできっと大丈夫だろう、と見守っていたら…。 はねる、とはこういう時のことを言うんだな、と自分も涙流して大笑いしながらゾクゾクしました。ふたりのやりとりも会場のボルテージとともにどんどん乗っていって…相乗効果が目に見えるようでした。 こんなクオリティの高いネタは、アンタッチャブルのファーストフード以来かなあ。 きっとふたりで磨きに磨いてきた、珠玉の一本なのでしょう。結果が出ないと芸風をあれこれ試行錯誤するコンビも多くいる中、「○○やろ」「○○ちゃう」だけをずっと貫いてついにここまで来たのかと思うと感慨深いものがあります。 史上最高得点も納得でした。 《オズワルド》 審査員も言及していましたが、ミルクボーイのあとで雰囲気が落ち着かない中、割とゆったりした内容で少し入り辛いものがありました。3回戦の動画ではじめて観たのですが、意外に実力派で、このネタも真っ白な状態で観たかったです。本来ならもっと評価されるべきなのでしょうが、ネタ順に恵まれませんでしたかね…。 《インディアンス》 こういうコンビこそ一発目で見たかった。だいぶ笑い疲れてきたところでのこの芸風は、スッと入ってこなかったです。審査員のコメントもかなり辛口でしたね…昔に較べたら相当面白くなってきているのに…昨年の敗者復活でも投票したのに…。 《ぺこぱ》 開始直後から松陰寺がめちゃめちゃ緊張顔で、早く呼んでやってくれと思っていました。まさか最後まで呼ばれないとは…。 しかも和牛が3位で、本人たちも無理だと思うところがあったのかなあ。入りは少し元気なかったですが、「ノリツッコまない」ツッコミが観客に受け入れられてから松陰寺の顔に血色が戻ってきました。『おもしろ荘』で観て以来だったのでイロモノ枠その2かと思いきや…いろいろ頑張ってきたんだろうなあとこれまた感慨深くなりました。そういう苦労が透けて見えるのもM-1の醍醐味です。和牛超えも納得の3位でした。 ただのお笑い、されどお笑い。設定も優しいツッコミも現代社会を反映しているようで、それを演じるのが平成初期風味の松陰寺というのも何やら令和という時代を象徴しているかのようです。もちろんそこまで意図しているかはわかりませんが…。 《最終決戦》 三者三様、どの漫才もそれぞれの個性を発揮したネタでした。観客は、ミルクボーイの漫才はすべて同じパターンということを知らなかったのだと思います。一本目よりはウケていなかったので、もしかしてかまいたちかな? と一瞬よぎったのですが、一本目を加味してかの圧勝でした。 本人たちが嘘やろ、とくり返すのも仕方ありません。だってミルクボーイやで? 関西でだって観ることめったにないよ(実際、これが今年テレビ初出演だったらしいし)? それがミルクボーイミルクボーイって…こんなにミルクボーイの名前がテレビで連呼される日が来ようとは! これぞすべての漫才師が憧れるM-1ドリーム! ミルクボーイがたたき出した最高得点は、M-1の伝説となるでしょう。 と、翌朝、コーンフレークを食べつつ彼らの出演する情報番組をハシゴしながら、しみじみ思うのでした。 PR |
* カレンダー *
* 最新記事 *
* ブログ内検索 *
|