この監督は田舎が好きなようです。『サマーウォーズ』も田舎のある一家を描いていましたが、こちらの作品も都会から身を隠すように田舎へ引っ越した親子を描いています。
富山をモデルにしたようですが、背景の草木、花、山なみ、嵐など、自然描写の美しさが印象に残ります。
ただ…なんだろう。たぶん、自分が観るべき映画ではなかったのだろうと思います。
無邪気に転げまわる幼子から、思春期となり自分の生き方を見つけ出す子どもの成長。
マニュアルもなく誰にも頼れない中子育てに奮闘する母親。
最初は異端視しながら、一所懸命に生きようとする花をやがて受け入れていく村の人々。
いずれかに感情移入すれば、とても感動できたのでしょうけれど、残念ながら誰にも心を揺さぶられることはありませんでした。
完全なファンタジーであれば細かいあれこれも受け入れられるのでしょうが、児相職員を出したり花が仕事を始めたりと、時折リアル感も出してくるので、やっぱり子ナシの自分としては、そもそもの大前提が受け入れられませんでした。花が頑張っているのはわかるのだけれど、この場合の自業自得感は否めないし、雪より雨を優先するあたり「やっぱ母親は男の子のほうがかわいいんやね」と姑根性が首をもたげてくるし、なんだかいろいろな意味でしんどい映画でした。
若い頃に観るか、あるいはもっと歳を取れば感じ方も変わってくるのでしょうかね。
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