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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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『ゲット・アウト』のジョーダン・ピール監督、ダニエル・カルーヤ主演によるSFスリラー。落下した飛行機部品の衝突で父を亡くしたOJは、事故の際に一瞬目にした飛行物体を忘れられずにいた。妹・エメラルドはこの飛行物体を撮影しようとするが…。

 ジョーダン・ピールの初監督作品「ゲットアウト」は確かに面白い映画でした。監督2作目の「アス」は、まあ普通ですかね。しかし今回の監督3作目はもはや普通以下になりました。もちろん今までと変わらず人種問題をテーマにしていますから、人魚姫を黒人に演じさせている今のアメリカでは、この監督は時代の寵児なんでしょうが、日本人の僕はただ面白い映画を観たいだけですからね。映画の歴史で黒人がないがしろにされてきたとか、ストーリーと直接関係ないテーマはどうでもいいですから、本筋のストーリーを面白くしろと言いたい。

 むしろそういう黒人第一主義がマイナスに働いており、主役の黒人兄妹は個性的な魅力のあるキャラクターに描かれていますが、白人2人はどういう人間かイマイチよくわかりませんでした。黒人兄妹に比べ人物描写が極端に少ないからですね。カメラマンのホルスト
なんかは最後どうしてあんな行動に出たかまったく理解できません。家で動物が捕食される映像ばかり見ていたので、究極の捕食マニアという解釈でいいのでしょうか。そうだとしたらもうちょっと白人キャラも頑張って描けよと思いますね。エンジェルとかいうもう一人の白人の電気屋の兄ちゃんに至っては、あ、そういえばこいつどうなったんだ、いや死んだシーンはないのか生きているのかな、と思ったぐらい存在感がありませんでした。僕が今まで見てきた映画の黒人は定型的な人物描写だったのかもしれませんが、さすがにもうちょっと人間味があったので、この映画ほど白人に見せ場を与えないのはあまりにも不自然で違和感しかないです。

 ちなみに黄色人種のジュープとかいう登場人物は、動物に敬意を持つ黒人主人公と違って、幼少期に、たまたま垂直に立った靴を見ていたらチンパンジーと目が合わず殺されなかっただけなのに、自分は動物と心を通わせていると勘違いして、未確認飛行生物を餌付けして見世物にしていた愚かで調子乗りで傲慢なイタい人間に描かれていますが、ここまで長々と説明できるぐらいは見せ場があったのでまだ白人よりマシですね。しかし黄色人種も差別の対象のはずですが、黒人兄妹に比べたらかなり性格が悪いキャラなので、結局この監督は黒人ですから、自分の人種である黒人さえ良ければ、他の人種は差別する側だろうがされる側だろうが興味も敬意もないのでしょうね。

 チンパンジーのゴーディの誕生日のシーンだけは良かったです。オープニングでこっちに気づくところなんかは、この監督はホラー映画の演出はさすがプロだなあと思いますね。未確認飛行生物は布感がひどくてイマイチ怖くなかったので、この監督はこれからは今回みたいにSF要素を入れず純粋なホラーだけ撮ってればいいですね。ただ、このチンパンジーの話は、イエローモンキーである黄色人種のジュープは間接的な人種差別のためか登場しますが、主人公の黒人兄妹は登場しないんですよね。動物を見世物にしたらしっぺ返しがくるということを言いたいんでしょうが、チンパンジーの話を入れるなら、この映画の主人公はジュープじゃないとちょっと違和感があります。
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