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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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いつもなら早めに行われるフィギュアのペア競技が最終種目となったのは、地元中国が金メダル候補であったからでしょう。
ペア競技はもともと好きだったのですが、日本ではマイナー種目とあってなかなか中継がなく、世界選手権で高橋成美・マーヴィン・トラン組が銅メダルを獲得した時は、これで日本のペアの未来はあかるくなると希望を持ったものです。しかし国籍が異なったためオリンピックには出場できずペアは解消。そして、相方を探す高橋選手にスカウトされたのが男子シングルの木原選手でした。しかしソチ五輪ではフリーに進めず、ペアは解消。木原選手は須崎海羽選手と平昌五輪にも出場するも、やはりフリーには進めず。怪我などもあってまたもペアは解消。それでも木原選手は第一人者として、新しい相方・三浦選手と努力を続けました。
そして迎えた三度目のオリンピック。
「総合5位」という目標を聞いた時はまさかと思いました。しかし、GPFの出場権も得た(開催されなかったのが残念)彼らなら、決して夢物語ではないのでしょう。そして団体の時の演技を観て、現実にあり得るかもしれないと確信しました。それほど、りくりゅうペアの雰囲気は、今までのペアと違っていました。
SPではジャンプミスもあり、8位で迎えたFS。
直前の6分間練習で三浦選手が何もないところで突然転倒し、驚きました。怪我や痛みなどはないようでしたが、三浦選手の表情は硬く見えました。それを解きほぐそうとしているのか、笑顔で話す木原選手とコーチ。そして始まった、『Woman』。
流れるようなトリプルツイスト、そして前日失敗したジャンプも着氷。リフトやスロージャンプも次々に成功し、ふたりの表情は徐々に輝きだしました。そして最後のリフトを終えた後は、解放感と歓喜に満ち溢れていました。
今まで積み重ねてきたすべてを出し尽くす。目指していたその場所にたどりついた時、スケーターに翼が見える時があります。たとえばバンクーバー五輪の高橋大輔『道』、ソチ五輪で6種8トリプルを着氷した真央ちゃん。2018世界選手権の樋口新葉『スカイフォール』。最後のステップですべてから解放され氷上で羽ばたく彼ら彼女らに、何度観返しても涙を禁じ得ません。そんな思い入れのあるプログラムの数々に、りくりゅうのこのFSも新たに仲間入りしました。
フィニッシュの後、泣き崩れた木原選手。ずっと三浦選手を励まし続けてきたその笑顔の裏に、どれだけのプレッシャーを抱えていたのでしょう。そんな木原選手を抱きしめる三浦選手。試合前とは逆の姿でした。
PBを更新するも、総合7位。SPのミスがなければ目標も達成できていた位置でした。長い間フリーすら進めなかった(そして放送がなかった…)頃を思えば、夢のような成績です。まだまだ走り続けると力強く宣言してくれた木原選手。そしてこの活躍を目にした若い選手がペアを目指してくれれば、日本の未来はさらにあかるいものになると期待できます。

しかし、世界のトップとはまだまだ差が開いているのも事実。最終組の中国・ロシア3組のトップ4の演技は見惚れるほど素晴らしかったです。直前のタラソワ・モロゾフペアが完璧な演技を披露した後登場したスイ・ハンペア。いきなり4回転ツイストという大技を決めると、ジャンプのミスはあったものの他の要素を高いレベルでこなして加点を積み重ね、わずかな差で逃げ切り悲願の金メダルを獲得しました。
外国人のペアは男女の身長差がなく、恋人同士のような、まるで映画の一場面を演じているような物語性があってとても美しく、見ごたえがあります。しかし三浦選手が小柄なりくりゅうペアは軽やかで、そしてふたりが一対ではなく、ひとつに融合しているかのように見える時があって、それはそれで彼らにしか出せない魅力だと思うのです。これからふたりがどこまで世界のトップ争いに食い込んでいけるか、これからのフィギュアはシングルだけでなくペアにも注目して見ていきたいと思います。




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