いよいよ、冬の祭典も終幕です。
日本のメダル、ラストを飾ったのはカーリング、ロコ・ソラーレ。 溌溂とした笑顔、前向きな言葉の数々、劇的な一投や巧みなスイープで話題をさらったものの、彼女たちがただニコニコ楽しそうにしているだけではあたりまえですがないわけで、そうやすやすとその境地へはたどりつけないと思うのです。 「コミュニケーション」と簡単には言うけれど、集団競技においてそれがどれほど大切かはわかっていても、勝ち負けのみならず人生すら左右するような緊迫した場面においてもなお実行し続けるのはなかなか難しいのではないか…と素人には思えてしまいます。しかしロコ・ソラーレはそれをやり遂げた。成功しても失敗しても「ナイスー」と声をかけ続け、敗色濃厚でも試合が終わるまで落胆や涙は封印しました。相手につつぬけ状態で戦略を話し合うカーリングは、紳士のスポーツとはいえちょっと変わった競技に感じますが、つつぬけだからこそ動揺も余裕も悟られてはいけないし、だからこそいつも「変わらない」でいることが大切なのではないかと、それができたからこそロコ・ソラーレは2大会連続で代表となり、前回を超える銀メダルを獲得できたのではないかと思います。「変わらない」ことができる人。どんなスポーツにおいても、それがいちばん強い人です。 一時は予選敗退を疑わず涙を流したロコ・ソラーレでしたが、ライバルチームの敗戦により準決勝へ勝ち上がりました。そして前日に負けていたスイスを破って進んだ決勝戦、相手はイギリス。奇しくも平昌で銅メダルをかけて争ったチームです。イギリスが絶対的有利で迎えた最後の一投、ショットが狙いを外れて日本のストーンが真ん中へ押し出され、解説が「あっ…」と息を呑んだ、あの場面は今でもはっきりと憶えています。その解説の石崎さんがロコ・ソラーレのリザーブになっているのですからそれもまた奇妙な因縁といえます。 そしてその一投を放ったミュアヘッド選手が、今回もイギリスのスキップとして日本の前に立ちはだかりました。 ミュアヘッド選手のショットの精密さは際立っていました。こちらのわずかなミスを見逃さず得点を重ね、気がつけば7点差。9エンドがあっという間に感じました。試合後、涙するミュアヘッド選手の姿に、4年前の失投を忘れることは片時もなかったのではないかと想像させられました。 カーリングには詳しくありませんが、日本のミスはわずかなものだったように感じます。野球にたとえて言うなら、「きわどいコースを見きわめられ四球を出した」「難しいコースをホームランにされた」ような…。そんな紙一重のところを攫っていったイギリスが、今回は強かったということでしょう。 しかし、まるでアイドルのような軽い扱いをされていた4年前と較べれば、今回のカーリングチームはきちんと「アスリート」として報道されていたように感じます。競技の面白さも充分に伝わりましたし、これからのロコ・ソラーレ、他の日本チームの活躍もますます期待できそうです。 カーリングを見届けた午後からはフィギュアのエキシビション。メダリストだけでなく、各国からさまざまな選手が楽しい時間を届けてくれました。トゥルソワ選手が笑顔で滑っていたのがなんだかうれしかったです。ジャスミンもかわいかったですし(でもちょっと魔人には引いていた?)、ラプンツェルにあこがれて伸ばしているという髪を垂らしながら披露したクリムキンイーグルには圧倒されました。 日本選手は割と正統派なプログラムばかりでしたが、コミカルな一面も観てみたかったです。 しかし羽生選手の『春よ、来い』の吸引力はさすがというか。別格です。 ラストのネイサン・チェン&キーガン・メッシングのバックフリップ共演はお見事! ここが自分の中でのフィナーレでした。 終わったあとは、いつもながらロスです。 いろんなことがありました。無事に終わったからそれで良しと済ませるわけにもいかない問題もたくさん残っています。 それらを片づけなければ、札幌開催にも賛成することはできません。 これからのオリンピックは、どこに向かうのか。 純粋に楽しめるものでなくなっていることは、確かです。 楽しかったと同時に、それが淋しくもあるオリンピックでした。 PR |
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