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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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『アトムの童』
本編に入るまではやや強引な展開で、少し物足りなさもありましたが、いよいよアトムvsSAGASの構造になってきて面白くなってきました。
オダギリジョーは代役であることを感じさせない存在感です。むしろなぜアノ人だったのか不思議に思うくらいです。
アノ人は本当にいい俳優でした。はじめて観たのは『RAMPO』(1994年)でしたが、主役より目を惹かれその名前は自然と記憶に刻まれました。『鬼が来た!』は圧巻でした。『ゆれる』『坂の上の雲』では素晴らしい「静」の演技を見せてくれたのに、いつしか利根川や大和田常務のような悪代官的な役ばかりになっていて、もったいないなあとつねづね感じていました。今回も、前クールに続いてのヒール役、飽き飽きしていた矢先の交代劇だったのですが、ドラマ的には逆に良い方向へ向かったように思います。
山崎賢人・松下洸平という主役ふたりが日曜夜の目の保養になってくれています。勧善懲悪で爽快感を得られるのが日曜劇場の醍醐味ですから、ヒロイン岸井ゆきのと恋愛絡みの展開にはならないだろう(なってほしくない)なと想像します。
善と悪がわかりやすい人物造形と、毎回(オチはわかっていながらも)ハラハラさせる展開、安心して観ていられる水戸黄門のようなこういうドラマはいつの時代も必要なのだと、歳を重ねてしみじみ感じます。


『闇金ウシジマくん外伝 闇金サイハラさん』
サイハラさんのセリフが聞き取れない…だがそれこそサイハラさんなのかもしれない…。
とぼけた演出あり、ゾッとするような暴力性あり、『ウシジマくん』の雰囲気はそのまま残っていますが、これまでのドラマシリーズに較べるとやや魅力に欠けます。これはサイハラさんがドラマオリジナルのキャラのため原作から(おそらく)離れてしまっていることと、山田孝之の放つ圧倒的な存在感に較べれば誰しも見劣りしてしまうからでしょう。
それでもサイハラさんたちの前に立ちはだかる象山や肉蝮などなど、たくさんの敵と彼女たちがどのように戦っていくのか楽しみです。作り手の腕の見せどころだと思います。


『エルピス―希望、あるいは災い―』
脚本渡辺あやというだけで相当期待していたのですが、それを裏切らない、素晴らしく完成度の高い作品です。挑戦的なテーマのため放送にこぎつけるのに6年かかったという意欲作ですが、初回を観ただけでこちらの体力も削られるような作り手の執念を感じました。
我々が目にする事件や事故のニュースはマスコミが「事実」として報道するものですが、それがつねに「真実」でなかったことは周知のとおりです。一方に偏っていたり隠蔽されていたり、マスコミの行う印象操作に受け手は大きく影響されます。数々の冤罪を生むのは警察や検察だけでなく、報道の影響、そしてマスコミにそれをさせる大きな権力によるものなのだという、決してテレビが口にしてこなかった社会のタブーに、この作品は真っ向から斬り込んでいます。
死刑判決を受けている男の冤罪疑惑というパンドラの箱を開けようとしている浅川と岸本。それぞれにどうやら「正しくない」ことをしてしまった過去があるため、「正しいこと」をしたいという願望を持っています。とくに浅川はニュースキャスター時代、「正しくない」報道の先陣として、さまざまな権力や組織にとって「そうあってほしいこと」を「真実」かのように笑顔で視聴者に伝えてきました。その負い目によってか、食べることも眠ることもできなくなっていました。一方、最初はチェリーになかば脅されるようなかたちで冤罪特集にかかわることになってしまった岸本も、自身の抱えていた葛藤、そして浅川の悲痛な叫びに影響され、「正しい」方向に心が揺れていきます。
そして一見協力的でありながら、どこか読めない斎藤。実在の大物政治家を思わせる副総理と親密な関係を築くほどの地位にある局のエースが、権力に楯突く浅川たちの行動を良しと思うわけありませんし、報道部が突っぱねた企画をバラエティー班が実行できると本当に考えているとは思えません。そして報道部で酸いも甘いも噛み分けた男が、簡単に路上キス写真を撮られるようなことをするだろうかという単純な疑問も湧いてきます。
斎藤がやがて浅川たちの敵に回るであろうことは容易に想像がつきますが、パンドラの箱から飛び出すのはありとあらゆる災厄。いちキャスター対国家権力のような浅い展開にはならないだろうと思います。
作品の質を高めているのはキャストたちの熱演によるところも大きいです。病的な浅川を演じるためひとまわり細くなった長澤まさみはもちろん、眞栄田郷敦の抑えた演技も、鈴木亮平のぞっとするような色気も素晴らしいですが、なんといってもチェリー役の三浦透子の目力に圧倒されました。バラエティー班のプロデューサーの面々も食えない役者を起用していることから、今後見せ場があるのではと期待させられます。
パンドラの箱の最後に残ったものは、いったい何なのか。最後まで見届けたいと思います。




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