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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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『ムショぼけ』
深夜ドラマらしい、淡々とした流れの中に散りばめられたシュールな演出が効果的で、最初から最後までブレのない物語でした。
北村有起哉の尼崎弁はほぼ違和感がなかったですし、血気盛んなヤクザから出所後のやさぐれぶりまで多彩な顔を見せてくれました。脇でも主役でも輝ける魅力的な俳優であることをあらためて実感。惚れ直す、とはこういう心境を指すのでしょう。
映薫姉さんや九条ジョーは芸人感ゼロの好演でしたし、脇を固める木下ほうか・松尾諭もさすがの安定感でした。リサやナツキやカイトの爽やかさはムショぼけした中年男との対比が明確で良かったです。リサは元妻に未練あるはずの陣内がちょっと意識してしまうのもうなずけるほど魅力的に映っていました。自殺は唐突でしたが、獄中日記の出版に葛藤する陣内の背中を押すためには必要な展開だったのかもしれません。
最後まで元妻が出てこなかったのも逆にリアルで、なかなか興味深い展開でした。
個人的には今期いちばん高評価のドラマになったかもしれません。

『日本沈没-希望のひと-』
なんなんだろう…このもっちゃり感は…。
と思いつつ、毎週ながら観していました。
早々に関東の一部が沈没し、日本国家はそうとう追い詰められているはずなのに、なんか緊迫感がナイ。全然ナイ。ホンマにエリート官僚なのかと疑いたくなる頼りなさげなウエンツや昼も夜も業務に追われているはずなのにいつも小綺麗な中村アンなど、日本未来推進会議の面々に「この人たちに日本の危機を救えるのか…」という不安しか抱けなかったからだろうか…。
その他にも、「田所と世良以外に動いてくれる学者はいないのか」「皆去ったはずの東京のビル壁面の大画面は誰が何のために管理していたのか」「結局受刑者はどこの国が受け入れたのか」「あれだけ地盤沈下が起きて世界が無傷とは思えない」「北海道と九州だけ残ったとてここから日本は国家として生きていけるのか」…などなど、「ドラマだから」と自分に言い聞かせつつも気になって仕方ないのは、ストーリーに没頭できていない証拠でしょう。
キャスティングは豪華ですし、原作も(きっと)良いはずなのに、もっちゃり感のせいで細かいところが気になって仕方ありませんでした。最終回のウイルスを絡めたあたりはスピード感があって入り込めたのですが、やはりSFやパニックものは映画が向いているのかもしれません。
原作は1973年に発表されたものですが、携帯もなくスーパーコンピューターもない時代、いったいどのようにして日本が沈没すると予測されどのように日本は守られようとしたのか、興味が湧いてきました。
もし自分が移民になって日本を捨てなければいけなくなったら…と、つい考えてしまいました。
今回のドラマでは、日本国土が沈没するという危機に際して、天海や総理は最後まで日本国家、日本人であるという誇りを守ろうとします。ジャパンタウンが世界で容易に受け入れられるとは思えませんが、他国で生きる選択をした以上、その国の文化を学び、その国の人間にならなければいけません。しかし同時に、我が命を受け継いできた祖先のルーツを見失ってはいけないし、また受け継いでいかなければならないとも思うのです。
敗戦によって日本のアイデンティティは一度崩壊しました。戦後復興を遂げふたたび国家として成長した日本に、今度はグローバル化の波が押し寄せました。科学の発展で、いつでもどこでも世界は簡単につながるようになりました。
しかし、国境も言語の違いも小さな機械で簡単に超えられる今だからこそ、日本人であること、日本人として生きることをより考えなければいけないような気もします。
まあ、最後の天海と田所の会話が示すように、このドラマとしては今を生きる我々が地球の未来を守っていかなければならない…ということを言いたかったように思いますが。





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