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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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『カムカムエヴリバディ』(承前)
つらい一週間でした…。
戦中から終戦にかけては、どんな朝ドラでも重い展開になりますが、この一週間はあわせて75分とは思えないほど濃密でした。
とくに、金太と算太の語らいの後のナレーションはあまりにも予想外だったので、番組が変わってもしばらく茫然としていました。
自分の言葉で母と妻を死なせてしまったという後悔から床に伏していた金太が、安子の作った美味しくないおはぎで生きる意欲を取り戻し、《たちばな》復興に向けて動き出した矢先のことでした。戦災孤児らしきおはぎ泥棒の少年に息子を重ね、売り上げの一部で返せとおはぎの販売を託した金太。周囲の人びとは持ち逃げするに決まっていると呆れましたが、金太は賭けをしていたのです。少年が戻れば算太も戻ってくると。
果たして夜半、少年は戻ってきました。算太に姿を変えて。
出征する算太を見送ることすらしなかったことを悔やんでいた金太。家族を死なせてしまったことを悔やんでいた金太。算太はそんな父の想いを静かに受け入れ、仕方なかったことだと諭します。
算太がラジオをつけると、そこから流れてきたのはエンタツアチャコの漫才でした。みんなで聴いた懐かしい「早慶戦」でした。みんなでラジオを囲み、おはぎを食べながらみんなで笑ったあの時間。もう二度とは戻らない、しあわせな空間がそこにありました。
ああこれは夢だなと思いました。金太が算太と再会する夢なのだなと。
そう、確かに夢でした。
今際の際の、つかの間の夢でした。
戦争が終わり和菓子も作れるようになって、さあこれからという時に、なんて残酷なのだとその時は泣きました。しかしそれもまた、戦争の側面だったのでしょう。空襲の中を生き延びても、焼け跡で貧しさと寒さに命を削られていった金太のような人も、きっとたくさんいたのだろうと思います。
金太の最期は、算太に似た少年がそばにいました。算太と、家族みんなと過ごすしあわせに包まれこの世を去りました。それはきっと安子にとって、わずかなりとも救いになったと思います。
そしてその翌日には、稔の戦死公報が届くという、立て続けの展開となりました。
ひとりぼっちになってしまった安子の無音の世界は、引き裂かれた心そのもので、涙を誘われました。

朝ドラの戦争は、いつもヒロインから大切なものを奪っていきます。
しかし祖母・母・父・夫を相次いで亡くし、実家は焼け、兄は行方不明のままの安子ほど、多くを失ったヒロインはいたでしょうか。
安子の血縁者は娘のるいしかいなくなりました。しかし安子と違ってるいは雉真の血をひいていますし、雉真家においても勇という跡取りが残っていることから、安子の肩身はますます狭くなるでしょうし、これからさらに過酷な展開が待っているような気がします。
安子が笑顔を取り戻せる日が早く来ると良いのですが。









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