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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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・ファウンダー:★★★☆☆

たまたま見つけて、何の前知識もなく勢いで観た映画だったんですが、わりと面白かったですね。同じ実話ベースでも、先日観た「モリーズ・ゲーム」のように、ハリウッド的な悪い脚色もなく淡々とストーリーが進み、主人公もヒーローには描かれていないですから。英雄ではなく梟雄でしたね。

マクドナルドの店を奪って自分が創業者になるし、人の嫁を強引に奪って再婚するし、とにかく野心があり、強引で、執念深いです。しかしそれぐらいの奴じゃないとマクドナルドもここまで大きくなってないでしょうね。ただ、52才でマクドナルドに出会い、いくら勝ち組になるきっかけを見つけたからといってここまでパワフルに動ける人間は、素直に尊敬できますね。最後に本人が出てしゃべってましたが、底知れぬ冷たさを秘めた、まったく感情を読み取れないやばそうな奴でしたし。

最近はテレビでも、コンビニや外食チェ―ンの秘密を探るとかいう、ステマどころかダイマの真髄ともいえる情報バラエティ番組が多く、僕も、ごく一部の良心的なバラエティ番組を除けば、野球と格闘技と映画しか観ていません。この映画はそういうゴミみたいな番組と違って、実際のマクドナルドのマークがほとんど出ませんし、そもそもこの映画を観てもマクドナルドに行きたいとまったく思わないところもいいですね。マクドナルドが実際は不動産のリースの形で儲けているという描写でも、ああなるほどな賢いなとは思いますが、決してマクドナルドにいいイメージは抱きませんし。

ただ、この映画では、マクドナルドの店を奪われた兄弟が、マクドナルドの品質を守るためにクロックと対立する、消費者思いの愚直すぎる善人のように描かれていましたが、実際はそんなことはないでしょう。世の中そんなお人好しはなゴかなかいませんし、ここは違和感がありました。もちろんマクドナルドのシステムを最初に考えたこの兄弟も、すごいと思います。クロックと比べると、0を1にすることができる人と1を10にすることができる人はどちらがすごいかという難しい議論になりますが、クロックは1を1万ぐらいにできるので、やはりクロックの方が異能の才人だと思います。なのでこの兄弟は、結局は主人公のクロックが頑張ってマクドナルドがどんどん大きくなっていくにつれ、おこぼれをもらって大金を得ようという普通の発想しかなかったと思いますけどね。十分な大金を得てのんびり暮らしたいというのが凡人の夢ですから。

・ファーゴ:★★★★☆

いや素晴らしい映画だと思いますよ。さすがコーエン兄弟ですね。才能に満ち溢れていると思いますね。同じコーエン兄弟の「ノーカントリー」に似ていて、それより前に作った映画なので、「ノーカントリー」に比べたら落ちますが、それでもよく出来ていますよ。そりゃアカデミー賞もたくさんノミネートされ、いくつかは受賞しますよ。僕が映画評論家でしたら満点近い評価をせざるをえないですから。

「ノーカントリー」と同じく不条理の塊のような残虐な殺人鬼が出てきて、それと対比するように地に足をつけて地道に幸せに生きている主人公の女性警官が出ます。主人公のくせに中盤になってやっと出ます。主人公とその旦那は、この映画の他の登場人物のように大金には縁がないけれども、愛が溢れる幸せな夫婦です。ラストはこの幸せな夫婦の幸せそうな様子を映して終わりです。しかし、この映画は、素直にストーリーを解釈しようと思えば簡単なのですが、細かい気になるところがたくさんあります。主人公の殺人鬼への薄っぺらい内容の説教は、そのまま素直に受け止めるべきなんでしょうかね。主人公は、旦那に隠れて仕事にかこつけてヤナギタという男に会いに行きますが、実際に不倫するわけでもありませんし、むしろヤナギタのアプローチを断っているように見えるので、主人公の夫への愛がより強調されていると解釈していいんでしょうかね。

ちなみに主人公は妊婦の設定で、旦那は売れない絵描き(ヒモ)の設定です。夫婦で虫の出産のTV番組を観るシーンがあったりします。ヤナギタなんぞは本筋のストーリーにまったく関係なく、出さなくてもいいキャラです。邪推をすればきりがなく、気にしなければ気にならないが、気にしてしまえば気になって仕方がないところがたくさんあるし、サスペンスなのに全体的にもっちゃりした空気が流れており緊張感がないし、コメディなのにあまりにも残虐で不条理なシーンが多く心から笑えないし、結局は不快感しか残らない映画です。僕は映画評論家ではないのでこの映画より「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の方が好きですね。

あと、この映画はとんでもない仕掛けがあります。タイトルにもなっている、「ファーゴ」という町が最初しか出てこず、映画の舞台でもなんでもないことではありません。もっとすごいことがあります。さや氏が観ていない映画だと思うので書きませんが、観終わって色々ネットとかで調べて真実を知った時に、その仕掛けがない状態で観る場合を想像したら、まったく違う形でこの映画を観ていたとわかります。そして最後までその仕掛けに僕が騙され、コーエン兄弟の思うツボになっていたのが本当にイライラします。だから僕は、どこか人を舐めており、共感を拒絶するようなコーエン兄弟の作品があまり好きじゃないんですよ。この映画や「ノーカントリー」は出来がよすぎて一定の評価をせざるをえませんが。

・帝一の國:★★★★☆

ここ数年で観た邦画の中では一番面白いです。映画の技術うんぬんではなく、純粋に面白いです。イケメン俳優達がたくさん出ていて、こいつらが突如学園祭で全員が不自然に裸で太鼓を叩くシーンを入れたりなど商業主義な面もあるので、観ているのがほとんどなのは誰でも想像できます。評判もいいんですが、ほとんどの男はその評判についても穿った見方をし、積極的に観ようとはしないと思います。それがもったいないですね。男の僕が見ても普通に面白いですからね。

極端な変人の設定のキャラクターが多く、こういう若手俳優が多い映画でありがちな演技の拙さもまったく気になりません。こういうキャラクターを演じるのは、オーバーリアクションで一生懸命やれば何とかなりますからね。特に主人公の帝一を演じた菅田将暉は熱演で、とにかくこの映画は主人公が活き活きとしていて魅力的です。この主人公は正義や友情の大切さに気付き、人間的にも成長しているのでしょうが、帝一という人間の核というか、芯になるものがラストまでブレていないところも、痛快というか、心地いいですね。やはりキャラクターに魅力があるというのは映画の大事な部分です。

ジャンルでいえばコメディと言える作品なので、ストーリーや世界観は非常にばかばかしいものなのですが、ばかばかしいながらもメッセージ性もあるところもこの映画の良さですね。一応伏線らしきものもいくつかあり、きちんと回収できていますし、現実の政治を風刺している面もあります。

十数巻ある漫画が原作なので過程を描く余裕がないのか展開が強引なところがいくつかあり、登場人物の心情描写は明らかに不足していますが、アラ探しよりも観ていて純粋に面白いという気持ちが勝ちますね。テンポもいいですし。もちろん先日観た「ファーゴ」のようなアカデミー賞を獲るような作品と比べるのはナンセンスですが、「映画とはエンターティメントである」という精神でいえばこの作品は満点に近い出来と思います。

・ライフ:★★☆☆☆

単刀直入に言うと面白くなかったんですが、どうしてこんなに面白くないんでしょうかね。金もかかっていそうだし、キャスティングも豪華なんですけどね。話もまとまっていますし、オチも捻りがあると思います。脚本家もええラストができたでと喜んでいるでしょう。しかし、全体的にラストも含めパっとしないというか、チェーン店の居酒屋の料理を食ったような感じですね。そこまでまずくはないんですが、「まあこんなもんだろうな」という感想しかないですね。

まず、「カルビン」とかいう名前のエイリアンが、見た目も行動もパっとしないです。高い知能を持っていると誰かが言ってましたので、僕は宇宙飛行士達の心を読み取って、誰かを操って仲間割れを引き起こしたりなど知能戦を予想していましたが、肉弾戦ばかりでしたね。高い攻撃力、耐久性、スピードで宇宙飛行士と闘う、完全なパワーファイターです。性格も凶暴なだけで、知性はまったく感じませんでした。そら犬猫に比べたら賢いですけど。なので戦いのシーンんは同じようなシーンばかりで飽きてしまい、恐怖感や緊張感はあまりなかったです。

宇宙飛行士達もみんな献身的ないい奴ばかりでつまらないですね。宇宙飛行士は性格検査もあるのでいい奴ばかりなのは当たり前なのかもしれませんが、ステレオタイプの善人キャラばかりで感情移入がしにくいので、次々に死んでいってもあまり感情が動きません。むしろ、みんなもうちょっと工夫したらカルビンを撃退できるのにと毎回思う死に方なので、腹が立っていました。カルビンにちょっかいを出してこんな悲劇を巻き起こしたヒューとかいう黒人の生物学者だけは、あまりにもろくなことをしないので目立っていましたけどね。実はカルビンと裏でツーツーの関係なのではとも思っていましたが、そんなこともなくただのバカでしたね。いくら足が不自由で麻痺しているとはいえ、ヒューが自分の足の所に隠れてそれどころか足を食ってたらわかるだろと思うのですが、気づかずに心肺停止するレベルですからね。

ラストも、「カルビンだって生きるために頑張っているんだ!だからこの映画のタイトルは『ライフ』なんだよ!人間が正しいわけではない!生存競争に善悪はないんだ!どうだ余韻があるだろう!」と制作陣は言いたいんでしょうが、それならもうちょっとカルビンに感情移入できるように描いてほしかったですね。

・カイジ ファイナルゲーム:★☆☆☆☆
カイジの映画の3作目ですね。映画として成立していたのは映像に迫力があった1作目だけで、2作目はTVドラマレベルで、今回の3作目はTVドラマとして観ても絶望的に面白くないですね。前2作を観てしまっていたので、評判が悪いのを承知で義務感のような気持ちで観ましたが、本当に酷い作品でした。まず、カイジが政治家や官僚をやっつけて日本を救うという設定が最もダメですね。カイジはそんな人間ではなかったはずです。普通の庶民です。庶民はしょせん庶民なので、自分や自分の周りの人達の生活を守ることでいっぱいいっぱいです。今までのように、地下での労働からの脱出とか、莫大な借金を帳消しにしたいなど、自分を守るためにゲームに挑むならわかるのですが、日本の弱者みんなを救うとか、日本という国家の将来を守るとか、そんな高潔な思想はカイジは持ち合わせていないはずです。
カイジはいつも自分の金、いや金どころか自分の人生を賭けてゲームに挑んでいるからこそ、自分のような底辺の人間が持つ哀愁を感じながら、カイジに感情移入し、緊張感を持って観ることができるんです。別に今回はカイジがゲームに負けても、莫大な借金を背負うわけでもなく地下労働に送られるわけでもないので、具体的な自分の損はないのに、カイジがドリームジャンプで自分の命まで賭ける意味がわかりません。ラストでは共産党の政治家みたいな内容の演説をカイジがベラベラと喋っていますが、感動するどころか心の底からがっかりしました。いつからカイジはこんなキャラになったんでしょうか。こんな社会派映画にすることにより、カイジシリーズの持つ良さをすべて失ってしまいました。まあ、社会派映画として観ても、カイジがゲームに勝ったことによって預金封鎖・新紙幣発行の政策はなくなるんですが、社会は変わらないので、観終わった後の爽快感がまったくないクソ映画ですが。
さらに、カイジが挑むゲームも、4つのゲームすべて面白くなかったです。最初のバベルの塔というゲームは、高い塔にあるカードを最初に取った方が勝ちという超越的に面白くないゲームなうえに、カイジは事前に大槻に塔の場所の情報を得て準備をしているので、他の参加者より有利な状況でゲームをスタートします。カイジシリーズは、絶体絶命の状況に追い込まれたカイジが、知恵を振り絞って超人的な発想で勝つのが面白いのに、このゲームにおいてはカイジはただ人脈を使っただけの卑怯な奴です。僕はこのゲームを観ただけでこの映画はダメだと気づいたので、残り1時間半は苦痛でしかありませんでした。次の、人間秤というゲームでは、そもそもカイジが戦うわけではなく戦うのは東郷で、カイジはプランを練るだけです。おばはんや若者達をうまいこと使っていますが、こんな軍師みたいなカイジにはまったく魅力がありません。さらに、廣瀬の持っている絵画が本当に価値があったらどうする気だったのかがわからないので、軍師としても大したことありません。ドリームジャンプはこの映画で唯一カイジが命の危険があるのですが、これもゲーム自体が10の数字から1つを選ぶだけというゲームなので、ゲームとして何も面白くありません。最後のゲームのゴールドジャンケンは、3回やってカイジが1回勝ったらいいというルールなので、最初にグーを出して、敵である高倉が肩に力が入っているとかで見破られて負けたとしても、残り2回のうち1回勝てばいいので、勝つ確率は9分の5で何も考えずにやっても半分以上勝ちますね。こんな余裕のあるゲーム何が面白いんですかね。というか金の玉を握らずにグーを出した奴がいないから高倉は連戦連勝だったのですかね。いやそこまで人間はバカじゃないでしょう。
東郷と廣瀬のとってつけたような人間ドラマは、展開がベタすぎて怒りどころかしんどくなっていました。この映画は120分の尺におさめようと最初から最後までバタバタしているので、こんなくだらんドラマを入れるならもうちょっと加えるべきシーンがたくさんあるはずです。そもそも廣瀬はいなくてもいいキャラです。遠藤、坂崎、大槻など過去にカイジシリーズに出たキャラも登場しますが、こいつらも大した役割はなく、全員出す必要はなかったです。新田真剣佑をキャスティングしないといけない大人の事情や、ラストだから今までのキャラを相登場させとこうというくだらない思いがあるのかもしれませんが、マイナスにしか働いていないです。第1作に比べて天海祐希が老けたなあぐらいしか感想はありません。ラストの戦いの敵は福士蒼汰が演じる高倉ですが、こんな細マッチョの威圧感のない若者をシリーズ最後の敵にするというのも意味がわかりません。ヒロインの加奈子はラッキーガールという設定なんですかね。この伏線どっかで使いましたかね。何がラッキーガールなのかがよくわかりませんでした。というかこの加奈子を演じていた関水渚という人を見ていると、小6の時にクラスでやった壷井栄の「二十四の瞳」を思い出しました。僕は磯吉とかいう生徒役を演じたのですが、たぶんこいつみたいな演技だったんでしょうね。たくさんの親や先生が見ている前でよくあんなことできたなと今思えば恥ずかしいです。

・バケモノの子:★★★★☆

僕は細田守の映画はだいたい観ていますが、調べてみるとこの映画は脚本を初めて細田守1人でやっているようですね。ちなみにこの人の脚本は全然ダメです。特に後半はむちゃくちゃです。人間界からバケモノの世界に迷い込み、8年ぶりに人間界に戻った主人公の蓮が最初に行くところが図書館ですしね。いやこの図書館でヒロインに出逢うので図書館に行かせたいのはわかるんですが、行く理由づけがまったく描かれていません。ちなみにバケモノの世界にいた蓮は「鯨」の文字が読めないのですが、同じようにバケモノの世界にいた一郎彦はなぜかこの文字が読めます。蓮はこの一朗彦とラストで戦うのですが、人間界にずっといて一郎彦と初対面のはずの楓が、なぜか一郎彦に偉そうに説教をします。一生懸命正論を語っているのですが、もちろんお前に一郎彦の何がわかるんだという話で、何も心に響きません。

ラストも感動はまったくありません。そもそも蓮が8年ぶりに人間界に戻った後は、蓮は2つの世界を自由に行き来できるようになっていていますからね。ラストで蓮は人間界で実の父親と生きることを選びますが、もはやこの時点では楓すら、蓮に高認の書類を渡すというくだらない用事でバケモノの世界に来てるレベルなので、その決断にまったく重みがありません。というわけで、後半の人間界に戻ってからがアラ探しをしなくてもアラが目につくレベルで全然ダメなところが、この映画の世間の評価が悪い理由でしょうね。
さらに、そもそもこの映画は登場人物が状況や心情をすべてセリフで説明してしまうという映画好きに間違いなく批判されることをしているのもマイナスです。「人は1人では生きていけないし、成長もしない。親も子どもを一方的に育てているのではなく、子どもによって育てられている。」というこの映画のテーマも、色々な登場人物がセリフで説明しています。ちなみに僕が小学生であったとしてもこのテーマはセリフなしで読み取ることができるので、いくら何でも観る人をバカにしすぎですね。

じゃあ僕がこの映画の何を評価しているというと、熊徹のキャラがとても魅力的で熊徹と蓮(九太)の絡みがなんやかんやで面白いのと、これは誰も賛同しないでしょうが、図書館で「白鯨」という本をたまたま手に取った蓮が、横にたまたまいたヒロインの楓に「鯨」の文字の読みを聞きます、そして図書館にいた不良達に絡まれた楓を蓮が助けて仲良くなり、楓がクラスメイトに蓮が彼氏だと冷やかされながら蓮に勉強を教える彼氏未満友達以上のようになり、そして楓は楓で心に闇を抱えているという、小学生でもうんざりするような甘酸っぱい青春ラブストーリーがとても良かったからですね。ちなみに僕は細田守作品は「サマーウォーズ」「おおかみこども~」「未来のミライ」と軒並み低評価ですが、最初に観た「時をかける少女」だけはものすごく評価が高いです。だから懲りずにいくつもこの人の映画を観ているのですが。この人はそういう青春ラブストーリー物を描くのがすごく上手いのに、なぜか違う趣向の映画ばかり撮っているのが残念ですね。
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プロ野球&連ドラ視聴の日々さまざま。
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