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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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京都アニメーション制作とあり、映像は非常に美しいです。空の色や陽ざし、川の流れなど、自然のきらめきが青春のそれを感じさせます。
ただ、光が眩しければ眩しいほどその裏腹に陰も深い。
ヤンチャ少年の石田や女子のリーダー格の植野が中心となった、聴覚障害者の硝子へのイジメ。声真似をしたり高価な補聴器を何度も壊したりと、心の痛む行為の数々は教室内で公然と行われました。しかしそれが問題となった時、責任を負わされたのは石田ひとり。硝子のいなくなった教室で、次の標的となったのは石田でした。
集団の中で孤立したまま高校生になった石田が自殺に失敗し、硝子に会いに行くことを決意した瞬間から、止まっていた時間は再び動き始めます。
ただ、これは石田の贖罪の物語ではありません。
さまざまな経験と時間を積み重ねた少年少女が、自分を見つめ、他者と向き合えるようになる、それぞれの物語です。
もし私が学生の時にこれを観ていたら、誰かひとりに感情移入したかもしれません。イジメっ子からイジメられっ子になった石田。自分の感情に正直で周囲と軋轢を生む植野。イジメに加担した自覚を持たない川井。環境が変わって自信を取り戻した佐原。マイペースを貫く永束。正論で人を追い詰める真柴。傷ついた心を押し隠す結絃。教室という狭い空間、しかしそれが世界のすべてだったあの頃、誰もがこの登場人物の誰かとして生きていたでしょうから。
しかし歳を重ねた今は知っています。教室だけが世界のすべてではないことも、行動や言動だけがその人のすべてを表現しているわけではないことも、少し何かが違えば立ち位置はたやすく変わってしまうということも。いわば、誰もが彼らの誰かなのではなく、誰もが彼らの寄せ集めだということに気づかされたのです。

あの頃、誰かを傷つけたことを思い出し、傷つけられたことを思い出し、答えのない問いをくり返したことを思い出し、誰にも伝わらない思いを心の中で叫び続けたことを思い出し、人の顔にバッテンをつけて下向いて歩いていたことを思い出し、人の言葉に救われたことを思い出し。
気づけばわけもなく涙を流していました。

正しく生きたいともがいていたあの頃。大人になれば、正しく生きられるのだと思っていた。そんな時間は来なかった。今も来ていない。自分の思う正しさを守るためには、誰かにとって正しくない存在としてしか人は生きられないような気がする。担任や母親たちのように。
正しく生きたい。今も探し続ける、その方法を。
きっとこれからも探し続けて、死ぬまでそうしてもがき続けるのだろうと思う。
生きることは苦しみの連続。けれど、美しいと思えば美しく輝き出す空を、川を、人を、世界を美しいと思いながら眺めていたい。
それでまた生きていけると思えるのだから。






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