高校生の時、宿泊行事で訪れた當麻寺。
あまりに記憶が遠すぎて、「中将姫」というキーワードしか憶えていません。
あと、美容師さんが教えてくれたお寺近くの中将堂というお菓子屋さんの中将餅がおいしいらしいことくらい。
お寺の行事に尺八の献奏があることは知っていたので、
引っ越して距離が近くなったのでなにげに調べてみたら、
「写仏講習会」なるイベントが。
写経ならぬ写仏。
ほとけさまの絵を写すのだとか。
トシのせいか精神が不安定になることが多い今日この頃。
写経でも始めてみようかなとふと漏らしたら、仏教系の学校に通っていたツレが、
「校則違反するたびに般若心経を何十枚と写経したが、俺はなーーーーんも変わらんかったで」
と興を削ぐようなことを言うので悶々としていたのですが、
写仏ならおもしろそう。
「普段唯物論に従って生きてるのに、なんでいきなり観念論者になるの、神仏とか本当に信じてるの」
と、和牛のボケなみに理屈っぽい隣は無視して、初心者向けの写仏講習会に申し込んでみたのが昨年の夏。
が、前日になって風邪をひいてしまい、泣く泣くキャンセル。
一年後、リベンジの機会がやってきました。
近鉄南大阪線の当麻寺駅で降りると…。
なんだか懐かしい感じの一本道。
しばらく歩くと、相撲館けはや座が。
葛城は相撲の発祥地。白鵬も訪れたそうです。
東大門が見えてきました。
中之坊で受付。
案内されて写仏道場に入ると、豪華な絵天井。中将姫にまつわる曼荼羅(再現)も飾られています。
おごそかな気持ちで、席に着きます。
最初にお坊様からお寺についてのお話があり、般若心経を唱えます。
今回の写仏は弘法大師。講師の先生の説明を聞いて、まずは練習。
小筆に墨をつけて、練習用紙の絵をなぞります。
筆ペンでない筆を持つのなんて、何年ぶりなのか…それこそ中学生の書道の時間以来か。
震える…。
服のしわやお数珠の書き方のコツを聞いてから、いざ本番。
これが、不思議なことなのですが、
練習ではあれほどプルプル震えていたのに、いざ弘法大師さまの絵に挑んだら、
スッと筆が動くのです。
お大師様のお力でしょうか…。
左がお手本、右の和紙を重ねてなぞったのですが、お顔が…。
口許が少しむつかしげに。
心の中が表れたのかなあ。
終わった後は庭園を散策。
いろんな種類の紫陽花が咲いていて、風情があります。
御朱印は三種類ということで、全部いただきました。
平成15年に熊野大社で購入した御朱印帳もあと8枚。今年中には揃うように寺社仏閣めぐりしたいな。
おごそかにそびえる本堂にまつられているのは當麻曼荼羅。
中将姫が西方の夕景に見たという極楽浄土の風景を描いています。
ただ、天平時代に中将姫が織り上げた曼荼羅は非公開で、現在本堂にあるのは室町時代に転写されたものだそうです。
須弥壇の螺鈿も神々しいほどに美しい。
講堂、金堂と見て回ります。ただし金堂の仏像は修復作業中。
静謐な空間にたたずみ、歴史を眺めてきた建物や仏像を見上げているうちに、心が洗われました。
当麻寺駅まで戻り、駅前の中将堂でうわさの中将餅を買って帰ろうと思ったら…。
「本日は売り切れました」
がびょーーーん!
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