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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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入院四日目。
夫が風邪でダウンした。入院前から体調を崩しており、手術前日の医者からの説明では「旦那さんは病室で待っておいてもらいます」と言われたので、「俺ベッドで寝とくわ」と言っていたのだが、当日私を呼びに来た看護師さんに「旦那さんも来て下さい」と言われてしまった。
「えっ? ここで待ってていいんじゃ?」
「手術後のベッドの準備などがあるのでダメです(キッパリ)」
…やっぱり。
前の入院の付き添いに来た母も手術室前まで連れてこられたのだ。
で、さむざむしい待合室で何時間も待つはめになり、術後は術後で部屋の移動に荷物をまとめたり、私に水を飲ませたり部屋が暑いと窓を開けさせられたりとこきつかわれたせいで、すっかり悪化してしまったようだ。
が、なにもしてやれない。仕事納めで休むこともできず、ひとりで奮闘しているようだ。ただ頑張ってくれと病室から祈りを捧げるのみである。
私は私で至れり尽くせり。申しわけない。
朝に最後の点滴をして、あとは本を読んだりスマホで漫画を読んだりしていた。



五日目もスマホと本とテレビ。この頃になると、絶食直後はありがたくて仕方なかった病院食に味気なさを憶えてくる。塩分が足りない。お味噌汁が飲みたい。が、不思議と食欲は少なく、歩く練習がてら自販機や売店に行ってもカップスープを買う気にはならず、手に取るのはゼリーやプリンやビスコなど。しかし、こういった軽食代もなにげにばかにならないものだ。



六日目ともなると、検温や血圧測定が朝だけになる。歩き方もようやく人間へ進化した。テレビでは平成最後という言葉がやたら飛び交う年末特番目白押しだが、クリスマスから病室に引きこもっている身にはどこか遠い話に聞こえてくる。

七日目、ようやく退院。
朝イチで起こされるなり採血。結果が出たら内診、異状なければそのまま退院。もちろん数値は問題なし。
取り出したブツは手術後、ツレが確認させられたらしい。いわく「塩辛みたい」なモノだったそうな。筋腫摘出経験者からは、術後の麻酔醒めやらぬ中「これです、これが悪さしていたのです」と赤い塊を見せられたと聞いていたので、ここでは立会人に確認させるのかとホッとしていた。生々しいものは苦手ではないが、あえて見ようとは思わない。
が、最後の診察の場で、医者は私を前にしてパソコンにでかでかとそのブツ(前開き)の写真を表示した。
塩辛どころではない。保健の教科書に載っていたあのイラストそのものである。むしろ数センチの内臓を、お腹に穴みっつ開けただけでよくここまできれいに切り取れるものだ。むしろ感心した。
「これ、ここにあるのが筋腫です」
はっはー。確かにイラストにはなかった丸っこい塊が内部にくっついている。
…しかしできれば見たくなかったというのが本音だ。

年末のため、支払いは請求書で後日払うことになり、この日は預り金だけをおさめて帰った。ちなみに請求額は10万程とのことだった。

ほぼ病人状態の夫が迎えに来てくれたが、家に食料が皆無のため買い物して帰らねばならない。互いにフラフラだがスーパーに寄って数日分の食料を買い込み、なんとか無事に年を越せた。








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