《女子》
SPの坂本選手は滑走前の表情が少し硬かったように見えましたが、ジャンプが決まった中盤からいつものスピードと力強さが戻ったように思います。貫禄の首位発進でFSに臨みます。 最終滑走の坂本選手のひとつ前、イ・ヘイン選手がパーフェクトな演技を披露しました。プレッシャーがかかるのではと心配しましたが、いい意味でマイペースを貫けるのも坂本選手の強み。滑り出しからトップスピードに乗り、途中までは完璧。いける、と感じましたが、最後にコンビネーションジャンプでミスが出てしまいました。そのことが悔しくて、演技終了後から涙が止まらない坂本選手。こんな泣き顔を見たのは初めてかもしれません。しかしフリーこそ得点は2位だったものの、総合力では追随を許さず連覇達成。 「上手い」「きれい」、フィギュアにはいろいろな形容詞がありますが、坂本選手にぴったりなのは「強い」だと思います。坂本選手のスケートにはあふれる生命力を感じます。画面を通して伝わってくるそのパワーに圧倒されてばかりです。 そして今回のうれしさに優る悔しさは、より坂本選手を高みに押し上げるのではないかと期待します。 初の表彰台となった2位のイ選手も素晴らしい演技でした。韓国勢ではキム・チェヨン選手も6位に入っており、楽しみな若手が出てきました。3位のルナ・ヘンドリクス選手も今年も魅せてくれました。 三原選手はようやくつかんだ世界切符でしたが、最後にミスが出て5位。それでも三原ワールドは健在でした。渡辺選手も今大会唯一トリプルアクセル2本に挑み、成功こそなりませんでしたが、前向きなコメントが印象的でした。来年の進化に期待です。 《男子》 SP録画に失敗してしまった…。 山本選手はミスが続き悔しい世界選手権になってしまったようです。しかし飛躍した今季のスケートは気品に加え自信も備わったように見えました。世界の表彰台常連となる日も遠くないように感じます。 代打ではなく自力で勝ち取った代表として、友野選手は堂々滑り切りました。ジャンプミスはもったいなかったですが、見せ場のコレオシークエンスでは会場を巻き込む絶品の演技でした。来季も個性あふれるプログラムで魅せてくれることを期待します。 FS最終グループは感動的でした。ジェイソン・ブラウン選手が極上のスケーティングで会場をうっとりさせれば、ケビン・エイモズ選手がノーミス演技で喜びを爆発させる姿にこちらも万感の思いにかられました。そして今季で引退を表明しているキーガン・メッシング選手は日本でも大人気のスケーター。ジャンプやスピンでミスがあったものの、最後まで途切れない万雷の拍手と本人の感極まった表情には涙があふれました。もう彼の演技が観られないのかと思うと淋しさでいっぱいです。 トップ3は圧巻の演技の連続でした。まずはチャ・ジュンファン選手が完璧な演技を披露。高得点をたたき出しました。続いて登場したイリア・マリニン選手は4Aに始まり、6本の4回転を組み込んだ高難度のプログラムにチャレンジ。しかし演技構成点が伸びず、チャ選手を下回ります。 最終滑走は宇野選手。試合前練習で足を負傷したという報道がありましたが、それを感じさせない演技でSPトップでFSを迎えました。 足の痛み、ライバルたちの好演、連覇と自国開催のプレッシャー。いろいろなものを背負いながらの滑走だったと思いますが、それらすべてをはねのける、闘志みなぎる4分間でした。 フィニッシュ後氷上に大の字になった宇野選手は、まるで戦いを終えたファイターのようでした。 連覇達成後、これからもまだ高みを目指すと語った宇野選手。来季はさらにスケールアップした表現者・宇野昌磨が見られることでしょう。 ペアではりくりゅうが日本勢初の金メダル、グランドスラム達成という快挙を成し遂げました。FS後はミスに涙する三浦選手の姿がありましたが、りくりゅうペアの進化ぶりには目を瞠るばかりです。来季はさらに高難度のリフトにチャレンジするとのこと。来年は演技後満開に咲くふたりの笑顔が観られますように。 アイスダンスのかなだいもノーミスで『オペラ座の怪人』を堪能させてくれました。今後競技を続けていくかどうかは明言しませんでしたが、にわかには信じがたかったアイスダンス転向にチャレンジしここに至るまで戦ってきた高橋選手。夢のような時間を与えてくれたことに感謝しています。今はゆっくり休養してほしいと思います。 あっという間に今年のフィギュアシーズンも終わってしまいました。GPFも全日本選手権も観たはずなのにレビューを書く余裕がなく…。 オリンピック以来、少し冷めてしまったせいもあると思います。 ロシア選手のいないフィギュアスケートはもの足りません。 ロシア勢が競技会に出られない直接の要因はウクライナ侵攻ですが、ドーピング問題も決着を見たとは思っていません。戦争の罪は選手になくとも、そちらの闇が解決しない限り、今後純粋な思いでロシアを応援することはできません。いろんなことが悲しいし、残念です。 PR |
* カレンダー *
* 最新記事 *
* ブログ内検索 *
|