なぜか近鉄大阪上本町店で始まったこうの史代の原画展。
初日にさっそく、行ってきました。
この日はサイン会も行われるということでしたが、チケットは朝10時から先着順ということで、あきらめました。
会場階に着くと、普段は閑散としているフロアに長蛇の列。どうやらサイン会に並んでいる人たちのようです。その先にはこうの先生が。あー、うらやましいなあ…。
人だかりをかきわけて場内へ。
「デビュー作から『この世界の片隅に』そして話題の作品たち」というサブタイトルのとおり、『街角花だより』から最新作までほぼ全作品がズラリと並んでいました。
最初に展示されていたのは『夕凪の街 桜の国』。数ページながら胸がしめつけられます。
『ぼおるぺん古事記』は本当にボールペンなのだなあとしみじみ鑑賞。『日の鳥』のカラー表紙のスケール感は迫力でした。『荒神』挿絵の美しさは実家に新聞を取っておいてもらえばよかったと後悔。『ギガタウン』ははじめて見ましたが、こうの先生らしいユーモアセンスに思わずクスリ。
そして『この世界の片隅に』では、紅筆で描かれたというリンの過去の原画がありました。本当に紅色で感動。すずのメモを意味する鉛筆書きの部分、「左手で書いた世界」も、その筆致を見るだけで改めて作品の質の高さを感じました。
下書きの線の残る原稿からは、作品を作り上げていく過程を垣間見ることができた気がしました。一本の線から命が、世界が生まれていく。まるですずさんが描いたいくつもの日常のよう。世界は単純で平凡のようでいて、実はいろんな奇跡にあふれている。シンプルな絵柄の奥にこそ、無限の世界は広がっている。
改めて、こうの先生の凄みを感じました。
それにしても、なぜ阿倍野や梅田でなく上本町だったのか…人が少なくて良かったけれど。
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