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いかに寝て起くる朝に言ふことぞ昨日をこぞと今日をことしと(小大君)
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『おかえりモネ』
『おちょやん』ロスで序盤はハマりきれませんでしたが、静かな展開と心地よい主題歌にだんだん惹き込まれていきました。
舞台は2014年の仙台から始まっていますが、物語が始まっても祖母が病死している以外モネのまわりに喪失感はありませんでした。しかし、島を出たいと家族の前でつぶやいた回想シーンや、過去の記憶をめぐらせた時に涙とも恐怖ともつかない感情に揺れるモネの瞳、展開は徐々に舞台上避けられない「それ」を匂わせ始め、そして第3週、ようやく「それ」はやってきました。
2011年3月11日。音楽科の合格発表で島を出たモネと父。不合格を確かめた後、父に誘われたランチの店で始まったジャズライブに、帰りかけた足を止めたモネ。時計は、2時46分を指していました。
そして被災地に訪れた混乱。長い渋滞の列、停電したガソリンスタンド、朝が来て気仙沼の高台でモネたちが目にした、いまだ消えない港の火災、変わり果てた島と海。誰もが思い出さずにはいられない、あの日の姿が描かれました。
数日後、ようやく島に戻れたモネは、避難所となった学校で幼なじみたちと再会します。
「モネ」と名を呼ぶも、無事の再会を喜び合うわけでもなく、彼女らは虚無の表情でその場に立っていただけでした。おそらく「その時」から、自分たちの悲しみも喜びも置き捨てて、自分たちにできることを懸命にこなしていくしかなかったのでしょう。妹も、祖母の安否を問うモネに答えず泣きじゃくるだけでした。
「その時」に父も姉も不在で、怖くて不安で心細かったであろう妹にモネが抱いたのは、罪悪感でした。
幼なじみたちに対しても同様です。「その時」そばにいられなかった。「その時」を共有できなかった。その原因をモネは音楽だと考えました。音楽が好きで、音楽科を受験するほど打ちこんで、それでも結果は実らなくて、一度は折れた心がジャズの演奏で戻されて。
すべては「その時」のことだった。
モネの中では、「その時」の罪悪感と音楽が深く結びついてしまいました。
「その時」島にいなかった——妹のそばにいてやれず、仲間のように避難所の手伝いもできず、音楽を好きでいたために自分は、音楽は役に立たなかった——。
誰も予測できなかった天災のせいで起きたことを、自分の中で帰結させてしまったモネは幼いかもしれません。それでも、大人でさえあの日を境に考え方を変えられてしまったのですから、15歳のモネが大好きだった音楽を「役に立たない」と捨ててしまったのも自然なことのように感じます。そして、モネの変化に気づかなかった幼なじみは「どうして音楽をやめたの?」と素直な質問を投げかけますが、今も仲良しで大好きな彼女たちにも真意は明かしません。彼女たちに抱いた罪悪感は一生消えない、だから自分は役に立たない音楽ではなく、役に立つことをしたいと願うのでしょう。
微妙な距離感や感情の揺れ幅を、セリフや映像で説明しないこの朝ドラは、朝ドラらしからぬ余白の多い作品です。
モネ自身も、つかみきれない性格です。菅波に厳しいことを言われても反論せず受けとめる素直さや、打ちこめば一生懸命取り組む真面目さを持っていることは伝わりましたが、饒舌でも感情的でもないため、今のところヒロインは森のように静かです。物語も導入部は登米と主要人物紹介の枠をはみ出さず、やや退屈に感じていましたが、モネの過去に触れて一気に大きく動き出したような気がします。気象予報士を目指すという目的の裏付けもできましたし、今後モネがどのように成長していくのか、楽しみです。
目だけで余白を感じさせる清原果耶はその期待を裏切らないはずです。
周囲を固める脇役も魅力的。ヒロインと結ばれるのは誰なのか…お約束でいけば菅波なのでしょうが年齢差が気になりますし、りょーちんは明日美と未知が片想いしていますし、これから東京で新たな出会いがあるのでしょうか。しかし2作続けてヒロインと結ばれない役というのはさすがに坂口健太郎がかわいそう。
まさか朝岡さんはないでしょうが…それにしてもこんなお天気キャスターがいたらそりゃ毎日観ちゃいますね。













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