ひさびさに高み(いや、低みか…)の見物ですなあ。
10/12 パF-M☆ セT-DB☆ どちらも3位チームが先勝。試合はほとんど観られませんでしたが、ロッテがソロ2発と佐々木の好投で白星をものにしました。日ハムはシーズン終盤に打線が少し調子を落としていましたから少し心配でしたが、ここはCS常連のロッテに一日の長があったということでしょうか。 DeNAは東のアクシデントによる降板でブルペンがフル回転となったものの、最終回の1失点のみで競り勝ちに成功。やはりオースティンの存在感はさすがです。 10/13 パ☆F-M☆ セT-DB☆☆ 改めて見るとエスコンの雰囲気はシーズン以上です。昨日はロッテよく勝てたな…と思うほど、すごい熱気です。 CS1stは投手戦になりがちですが、小島と金村も例に及ばず。中盤までゼロが並ぶものの、5回に今日も安田の一発でロッテが先制。そして7回も角中の一発。こりゃ、ロッテの勝ち抜けかな…(明日ヒマだな)と思いきや。その裏、先頭のレイエスが四球を選ぶと、球場が大きく沸きます。小島はそれに影響されたか、一死から郡司にも四球を与えて降板。代わった横山が暴投で進塁させると、ゴロの間に1点を返します。 8回表はブルペン待機していた山﨑福也がマウンドへ。オリ時代には機会がなく、なんとCS初登板です。この大事な場面で…終盤不調だったのに…。しかし捕手が伏見に交代したのは心強い。きっちり3人で抑えると、9回も無失点。怖いバッターは四球で歩かせ後続をきっちり打ち取る、伏見の慎重なリードも光りました。 1点差のまま9回。抑えの益田が登板し、先頭のレイエスを三振に抑えます。ああダメか…とあきらめかけたその時! 日ハム躍進の象徴でもある万波中正! なんとなんと値千金の同点ホームラーーーン!! エスコンは画面越しにも伝わるほど揺れていました! ヤマサチはなんと10回表も続投、ここも3人で終え仕事を果たします。そしてその裏、澤村が連続三振で二死走者なし。しかし松本剛が四球を選び、清宮がつないで一・三塁。打席は水谷に代わって入っていた淺間、2球目の高めを大根切り! ライトへ運んでサヨナラー! 「ファイターズの大航海はまだまだ続く!」とは、名実況ですね。 崖っぷちの2戦目、チーム一丸となって勝ち取った逆王手。揺れる球場、総立ちの観客席。ちょっとこの雰囲気、2014年のCSを思い出しました。あの時のオリックスは敗退してしまったけれど、日ハムには勝ち上がってほしいな…とつい思ってしまうほど、いい雰囲気です。 小島は悔し涙にくれていました。7回に降板した際も目を赤くしていましたが、この一戦に賭ける強い思いを感じました。益田も澤村も悔やまれる一球となってしまいました。打線はホームラン以外でしか得点できていないところが少し気になります。 一方セ・リーグは、序盤からDeNA打線が大暴れ。阪神打線は初回に森下のホームランで先制するものの、それ以降は相手投手陣の前に沈黙。結局15安打10得点の猛攻でDeNAが連勝で1st突破。阪神は岡田監督の花道を飾るはずのポストシーズンでしたが、やや硬くなってしまったのか、消化不良で終わってしまいました。最後までボヤキが止まらなかったですけれども、かなり体調が悪かったようです。あいさつも会見もない淋しい終幕となってしまいました。 10/14 パ☆☆F-M☆ 互いにファイナル初戦に取っておきたかったであろう北山-種市の顔合わせ。先制したのは今日もロッテでした。二塁打→内野安打→スクイズ(しかも一塁セーフ)、さらに満塁として荻野の犠飛でもう1点と、ようやくロッテらしい点の取り方で試合を有利に進めます。 しかし3回裏、ヒットと四球で一・二塁とすると、ここで捕手佐藤が痛恨のパスボール。淺間は三振に抑えるも、怖い清宮がしっかり同点タイムリー。今日も大入り満員のエスコン、もちろん球場はいっそう熱を帯びます。 5回表、北山が二死から角中に四球を出すと、ベンチが動きます。まだ93球の北山を降ろし、田中正の名を告げました。このシリーズまったく当たっていないソトですが、慎重な判断は吉と出ました。田中は続く6回も続投、三者凡退に抑えます。さらに7回表もマウンドへ。右の友杉ひとりを仕留めたところで降板となりました。計20球とはいえ、3回をまたいで無失点に抑えたクローザーに対し、エスコンはもちろん総出の拍手で讃えます。代わった河野はランナーをひとり出すものの、ゼロで抑えて裏の攻撃へ。 先頭の万波が四球を選ぶと、まるで9回裏かのような大歓声。それに気圧されたわけではないでしょうが、郡司のバントを種市が悪送球してしまいます。続く上川畑ももちろんバントの構え。しかしここは捕手佐藤が素早く拾って三塁へ、さらに一塁もアウトにする超ファインプレーで危機を救いました。一死二・三塁のはずが二死二塁。ピンチ脱出したはずの種市ですが、田宮に対し追い込んでからもったいない四球を出してしまいます。「ここは交代」という中継解説の予想に反して、ロッテベンチは動かず。あと1アウト、打者は9番水野ですから、この回は種市に任せたといったところでしょうか。しかし短期決戦でもっとも大事なのは素早い判断。北山を降ろした日ハム、種市を続投させたロッテ、結果論ではありますが交代のタイミングで明暗が分かれてしまいました。水野は鮮やかに右中間を割る勝ち越しタイムリー三塁打を放ちます。 決定的な2点かと思われましたが、日ハムは手をゆるめることはなく、8回には清宮盗塁という奇策でダメ押しの1点を追加します。最終回、誰を登板させるのかと思いきや、ベテランの宮西でした。しっかり3人で抑え、エスコンではじめて開催されたCSは見事、日ハムの勝ち抜けで終えました。 まるで優勝したかのように涙にくれる選手の姿もありました。まだ早いよ! とは思ったものの、よほど感慨深かったのでしょう。球場の雰囲気も、ファンでなくとも感動さえ憶えるような昂揚感に満ちていました。 しかしこの勢い、福岡でも持続することはできるでしょうか。待ち構える強敵は、徹底的に対策をめぐらせてくるでしょう。北広島では終わらなかった大航海を、もう少し長く見ていたい気もします。 PR
9/30・10/1 vsH ●●
このところすっかり活発な打線に、宮城のタイトル争いの相手であるモイネロ打ちを期待したものの…。 何も起きず、いつものような負けでした。 山下はいつものように先頭四球から無死一・三塁も無失点。そこから8回まで113球11奪三振と素晴らしい内容で投げ抜きましたが、栗原に許した一発のせいで6敗目。切なすぎます。 モイネロが5回で降りたのでチャンスかと思いきや、中継ぎを誰ひとりとして打てず、今季何度目かもう数えたくもない1-0負け。 翌日の相手は高卒ルーキーの前田悠。19歳とはいえ苦手な初物、初回は6球で打ち取られイヤな予感しかしませんでしたが、なんとかプロの貫禄を見せてくれました。2回に怒濤の連打で4得点。3回にもセデーニョの2ランで6-0。 勝ったと思うやん…? 先発は田嶋。最後くらいはビシッと抑えて終わってほしかったのですが、やっぱり調子はイマイチ。援護をもらっても不安定さは解消せず、追加点が取れずにいるうち1点ずつ返されていく展開に、不安がよぎり始めます。 そして5回。二死から栗原に2ランを浴びて2点差に。この時点で覚悟しました。なおも連打をくらったところで田嶋は交代。あんまりです。勝ち星目前の交代が、ではなく、田嶋の内容が、です。…どうしてこうなった。 ということで、またもキツイ場面を任された鈴木ですが、おそらくまったく準備はできていなかったでしょう。満塁からの走者一掃で、ペイド2つ目の白星はあえなく去っていきました。 え…あの宮城完投以外、福岡で勝ってなかったの!? どーゆーこっちゃ! ホームを含めても-12という大惨事。また「ソフトバンクにあたりまえのように負けるオリックス」になってしまったのか…。来年は頼むよ…。 10/6 vsE ○ こんなに悲しい勝ち試合があるでしょうか…。 シーズン最終戦の仙台は悪天候。宮城の規定までは7.1回、最優秀防御率のタイトルは規定までを無失点か、8.1回を1失点。雨のそぼ降る中、エースは難なく初回を終えます。 相手は早川ですから投手戦になるかと思いきや、2回、長打やエラーで満塁にすると若月がなんと有言実行の満塁ホームラン! しかもそれにとどまらず、この回2打席目の西川のタイムリーで一挙5得点のビッグイニングに! ムエンゴで苦しんできた宮城に最後の最後で大きな援護点が入りました! 次の回にはこの日昇格していた宗がタイムリー、4回にはセデーニョの2ランが飛び出し、まさかの8-0! 今季初の二桁得点も見えてきました。 この日は皆目の色が違う、と感じていました。もちろん早川が悪条件で調子を乱したせいもありますが、宮城のタイトルのためというだけでなく、せめて有終の美で今季最終戦を飾ろうと気合いが入っているのかな…くらいに思っていたのです。 4回までひとりのランナーも許していない宮城ですが、オリックスの攻撃が長いため試合展開はさほど早くはありません。天気予報ではじきに降りやむと予想されていた雨雲は去る気配なし。少しやきもきし始めます。 4回裏。打ち上がった小郷の打球はレフトフライか、と思った次の瞬間、西川が落下点を通り越してしまいます。打球に触れていないのでもちろん記録はヒットで無死二塁。うおおーい!(エラーにしてくれという叫び) 宮城がギアを上げれば無失点に抑えることはできるでしょうが、悪天候ですし、残りの回を投げきる体力を残さないといけないことを考えると困難なミッションです。それでも犠飛の1失点にとどめたのはさすがでした。 5回も攻撃の手をゆるめないオリックス。高卒新人相手に無死満塁と攻め立てますが、三振とゲッツーで無得点という最悪の結果に。若手を育てることは厭いません。 その裏、宮城は一死一・二塁とピンチを作るも無失点。球数は順調です。あとはお天気だけです。 そして7回表1アウト。代打杉本の打席の途中で、中断が告げられました。 ファンの誰もが祈りを捧げるも、雨雲は無情にも球場の上にとどまり続けます。それどころか勢いが強くなっていく始末。いったんはシートが剥がされるも、グラウンドは土を入れても入れても浮いてきます。 早い回からフライが取りづらそうでしたし、宮城の件がなければ5回でコールドになっていたでしょうし、互いに消化試合でなければノーゲームでもおかしくないくらいの天候でした。それでも試合続行のために尽力してくれた審判団や楽天球団には感謝しかありません。できる限りのことは尽くしてくれました。誰も悪くありません。 ただただ、めぐりあわせが悪かったとしか言いようがありません。 最後の最後まで、雨に泣かされた2024年でした。 朝はLAD山本が打ち込まれ茫然としている姿にショックを受け、夜は宮城の涙にもらい泣き。打ちひしがれた日曜日。 さらに夜中のことでした。 中嶋監督退任の一報が…。 イヤだ! ダメだ! オリックスを強くしてくれた中嶋監督がいなくなってしまったら、このチームはいったいどうなってしまうのだ!? 取り乱す頭をガンと殴られたのは、中嶋監督のコメントを目にした時でした。何度言っても改善されなかったというチームの「慣れ」。その緩みを、感じないわけではありませんでした。しかし今シーズンのかみあわなさは、三連覇の疲弊や相手の対策や怪我人の多さであると勝手に自分を納得させて目をそむけるようにしていました。 誰しも「慣れ」には弱いもの。常勝球団を作り上げるのはたやすいことではありません。ソフトバンクは王会長という精神的支柱が現場に現れては引き締めてくれますが、他のチームは巨人ですらその諱には縁遠くなりつつあります。ましてやオリックスのようにBクラス常連だったチームがその空気を常態化するには、なかなかの精神力が必要なように思います。 コメントの一部を取り上げ、個人名を論ってここぞとばかりに煽るメディアもあります。しかし監督が言いたかったのは、そこではないと感じます。引責辞任ならあたりさわりのない言葉で幕引きすることもできたはずです。それなのにあえて厳しい言葉を残したのは、現状にとどまってはいけないと、チームが行くべき道の先を示してくれたのだと思います。日ハムの黄金期もその後の凋落も目のあたりにしてきた中嶋監督ですから、オリックスに重ねるところがあったのではないでしょうか。 ならばこれは、まごうことなき愛なのです。 ファンも活を入れられたような気がします。中嶋監督がいるから大丈夫、と慣れきってしまっていたのですから。 万年最下位の澱んだチームを優勝の高みに連れていってくれました。日本一の景色も見せてくれました。そして最後まで、チームのことを思っていてくれました。 中嶋監督には感謝の念しかありません。 そして本当に、新しい時代が始まるのだ、始めないといけないのだと感じます。 オリックスが中嶋監督の残していった愛を忘れずに、常勝球団へと上っていくその道を、来年も追いかけていきたいと強く思います。
『オードリー』
朝ドラあるある:ヒロイン迷走しがち。 朝ドラは半年という長丁場で人の人生を描くのですから、夢や目標が変わっていくのも当然といえば当然のこと。しかしこういう展開がハマるかハマらないかが、作品の価値を決めると思っています。 この作品も女優→女将→映画監督と、美月の人生は都度変化していきました。しかしその原因は大京の経営難であったり、滝乃の結婚であったり、自分自身の選択というよりは環境に振り回された感もあります。さまざまな困難を乗り越え、最後に自分の夢をかなえるという王道ストーリーではあるものの、その困難は主に育ちの複雑さや滝乃という強烈な存在。ありふれていない設定が新鮮で、なんだかんだ最後まで飽きずに観てしまいました。 滝乃の存在感はさすがでした。よくよく考えてみると、他人の娘の美月を我がものにするスタート地点から、昔の恋心が再燃してあっさり椿屋を捨てるところまで、いつもいつも独善的でこれっぽっちも共感できない生き方なのですが、なぜか嫌いになれない。これも大竹しのぶの演技力のなせるわざなのか。滝乃さえいなければ、美月も春夫も愛子も梓も、きっとその人生はおそらく良い方向に大きく変わっていたでしょうに、滝乃の最期のシーンでは悲しみの念すら湧いてきました。 当初はその演技力に疑問を抱いていたヒロインですが、最後は中年になった美月のこれまでの人生の重みと人間味を感じることができました。以前の朝ドラはこんなふうに、若手女優の成長譚でもあったよなあ…と懐かしく思います。 堺雅人と佐々木蔵之介がこんなに重要人物とは思ってもいませんでした。佐々木蔵之介なぞ最後は一人二役を演じる離れ業。だからこそ一茂がもったいなかったです。なぜ一茂を…こんな大事な役で…。せめて虎の俳優さんでも良かったのに…。 ドラマ全体としては、さすが大石静脚本だなと感服しました。 『虎に翼』 終盤は星家の確執と原爆裁判に尊属殺人、あわただしい展開が続きました。そこに宙ぶらりんだった美佐江のエピソードを回収しなければいけなかったので、やや駆け足に過ぎ去ってしまったように思います。 原爆裁判や尊属殺人は、短い時間でしっかりとその本質を突いていたと思います(山田轟法律事務所がこの歴史的裁判両方に関わったというのは、まあ、ドラマだから仕方なし)。被爆者や美位子の心情も丁寧に描かれていましたし、法廷で「クソだ!」と言い切ったシーンは拍手喝采。尊属殺人に寅子は関わってはいませんでしたが、戦後の法曹界を描く以上、どうしてもこの裁判を避けることはできなかったのだろうなと感じます。 ただ、現在進行形で決着のついていない問題があります。寅子たちが守ってきた少年法の理念。戦後間もない頃、貧しさから罪を犯す子どもたちを救ったのは「愛」でした。しかし終戦から年月を経て、戦争を知る世代と知らない世代のギャップは広まり、少年法改正の動きも強まりつつありました。 みずからの手は汚さず、人を操っていく美佐江。寅子は彼女を恐れて「愛」を届けられなかったことを悔やみ、その娘であり美佐江と同じ雰囲気を纏う美雪には正面からしっかりと向き合い、みずからの思いをぶつけました。寅子の言葉を受け止め、施設暮らしで改心したかに見えた美雪。「愛」の理念の完全勝利かと思いましたが、しかしその後の寅子と音羽の会話は、美雪がまた罪を犯す可能性があることを否定してはいませんでした。 美雪の涙は嘘ではないでしょう。しかし、美佐江や美雪のようにサイコパスの因子を持った人間はおそらく一定数存在して、どれだけの愛を持ってしてもその因子をかき消すことはできない、そんな愛の無力さを含ませているようにも感じてしまいました。 寅子と美雪の対峙が感動的であったからこそ、その含みに消化不良感が残ってしまったのですが、現実と照らし合わせても、「愛」がすべての人を救えるなどというのは傲慢なのかもしれません。もちろん、ここでの主題は音羽たち若い世代が新時代の家裁を作り上げていく、そのバトンタッチを寅子が行うという多岐川の理念の継承なわけですが。 新潟編まではじっくり描かれていた寅子の人生が、最後はバタバタ終わっていってしまった感が少し肩透かしでした。一年くらいかけてゆっくり観れば、味わい深かった作品のように思います。 『海のはじまり』 なかなか賛否両論激しい最終回ではありましたけれども、やはりこのドラマの焦点は人生の選択であったのかなと思います。 最終的に、夏は海とともに生きる道を選び、弥生は選びませんでした。誰かのため、ではなく、自分のため。「犠牲になった」とされている夏も、自分自身が選んだ人生なのです。水季と交際したことから海の父親になることまで、すべて自分で責任を持って選ばなければならない、それが人生。そして選んだ結果はすべて取り返しがつかない、それが人生。 水季とてそうです。意地を張らずに実家で暮らしていれば病院にも通えて、海と離れることはなかったのかもしれない。死んでしまえば選択肢を誰かの手に委ねなければならないのですから。 弥生もあんな元彼とさっさと別れていればつらい思いもせずに済んだだろうし、自分の子を産む時のことを考えずに海の母親になる道を選んでいたかもしれません。 人生はすべて選択と、偶然と必然のくり返し。 だからこそ偶然と必然に際して安易な選択はしてはならないし、選ぶ時はいつも自分のしあわせを考えなければならないのです。その選択は時に誰かを傷つけるかもしれない。けれど、自分をしあわせにできるのは、結局最後は自分だけ。 そうでなければこんな苦しみばかりの世界、生きていけない。 もっとも、このドラマはそんな説教くさいことを主張はしません。ただ、誰かが自分の人生を自分の手で選んでいく。ちょっと非日常な状況ではあるけれど、自分のしあわせを一生懸命考えて自分の道を決めていく、描かれたのはそんなどこかの誰かの日々。ただそれだけなのですが、ちょっと立ち止まって自分の人生を振り返る、そんなきっかけになったと思います。 『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』 笑えるのに泣ける。泣けるのに笑える。 感情の起伏が激しい45分を毎週、岸本家と一緒に過ごしていました。 父の早逝、弟はダウン症、母は車椅子で祖母は認知症。その「設定」だけで「かわいそう」とレッテルを貼る世間に対し、七実はその筆(指?)で抗い続けます。こんな「おもろい」家族がいるものかと。 七実は、ずっと父への最後のひとことに縛られていました。「死んでまえ」と言ったら本当に死んでしまった父。父がいれば、七実は家族のためがむしゃらに頑張らなくても良かったのかもしれない。そんな感情が爆発するシーンは、七実のこれまで抱えてきた苦しみが伝わり胸が締めつけられました。 しかし父はずっと七実を、岸本家を見守っていたのです。それを知っていたのは草太だけでした。岸本家から独立する日。ゆく道の先を見つめる草太の強い意志を秘めた両目と、息子の成長を見守る父親のあたたかいまなざし。それはずっと寄り添ってくれていたパパから卒業する日でもありました。 七実も、ひとみも、耕助がずっとそばにいてくれたことを知ります。認知症の芳子もまた、草太の中に耕助を見つけます。岸本家は、五人でひとつ。全員そろって、「おもろい家族」たりえるのです。 岸本家を「おもろい家族」と言ったのは、耕助が最初でした。その遺志を継いだ七実。家族をずっと笑わせ続けることを決意した七実は、耕助の愛車ボルちゃんを買い戻します。そして家族を乗せて、おもろい道を走り続けるのです。これからもずっと。 河合優実を知ったのは『不適切にもほどがある!』でしたが、それより前にこの作品の主演に抜擢した制作陣の眼力はすごいと感嘆しました。高校生から中年まで、等身大の七実を演じきっていました。てっきり関西人かと思っていたら東京都出身なことにも驚き。関西弁でセリフを言うだけでも難しいであろうに、ツッコミの間の取り方が完璧でした。 草太役の子にも泣かされましたが、坂井真紀・錦戸亮演じる両親の演技も素晴らしかったです。親は同性・異性の子に対し、愛情の量は同じであっても接し方が微妙に異なるものです。異性の子には優しさや包容力が先に来て、同性の子は友達のように距離感が近い。その違いを描きわけているドラマは家族ものでも今まであまりなかったように思います。岸本家を身近に感じさせる空気感を作り出す演出も特筆ものでした。 ほぼコメディタッチながら緩急のついた脚本と演出もクオリティが高く、まれにみる傑作でした。どうしてリアルタイムで見なかったのだろう…。再放送してくれて本当にありがたかったです。
9/24 vsL ●
ついにこの日を迎えることになってしまいました。 平日ナイターにもかかわらず、実数発表後最多の3万6217人の観客が見守る中、今季京セラ最終戦にしてT・安達・小田の引退試合が始まりました。 しかし初回からエスピノーザが復調の兆しなく、2点を失ってしまいます。4回もエラーが絡んで3失点。そして打線は相手先発の今井に対し文字どおり手も足も出ず、ヒットどころか出塁すらできずという、この大事な一戦で相も変わらずしょっぱい展開。号泣する準備万端でしたが早くも「スンッ」状態になってしまいました。 目が覚めたのは5回裏。二死一・三塁となって、中嶋監督がベンチを出ます。コールされたのはT-岡田、流れ始めるカーニバル。超満員の客席でタオルが回されます。西武ベンチが間を取ってくれたおかげで長く堪能することができました。さらに今まででいちばん大きい「おっかーだー!」コール。今井が一度マウンドをはずしたのも応援席への配慮でしょうが、一球でセンターフライに終わるあたりTらしいというか…。 6回表、Tがファーストに入り、投手は川瀬に交代。引退試合で投げたいと言っていた川瀬ですが、連投の今日は今ひとつ制球定まらず、Tの声かけも実らず走者一掃のタイムリーを浴びて3失点、8-0とますます点差が開いてしまいます。 その裏。一死走者なし、ふたたび中嶋監督が代打を告げました。なにわ男子の曲とともに打席に向かったのは安達了一。センター前に落ちるかと思われた打球は西川の好プレーに阻まれ、安達は拍手を送りながらベンチに戻りました。続く打者は西野。今日は一打席目から気迫を感じていました。そして4球目、打球は外野を割っていき、今日のチーム初ヒットは三塁打となりました。塁上でほっとしたように微笑んだ西野のもとに、代走小田が駆け寄ります。抱き合った同期入団のふたりの姿に涙腺崩壊。そして少しでも長く小田の姿を見たいというファンの思いと裏腹に、一球でアウトになる太田よ…。 7回表、ショートに安達、ライトに小田が入ります。そしてマウンドは山岡。懐かしい布陣でした。 その裏、Tの前の打席で代打に出た杉本が2ランホームラン。小田と安達を両脇に最初で最後の昇天ポーズ。そしてその直後、Tに通算1193本目のヒットが生まれました。 8回表はセンターに代わった小田と安達で3アウトを取りました。これも古田島と西武打者のコントロールのなせるわざか? 8回裏は、先頭の安達がショートへの内野安打で沸かせます。さらに2番に入った小田、2球目をバックネット方向に打ち上げてしまいますが、相手捕手古賀がこれをスルーするというL金子の引退試合と同じ状況に。あえなくショートライナーで終わってしまいましたが、引退試合ならではの光景に胸が熱くなった一場面となりました。 いよいよ9回。一死から紅林が四球を選ぶと、杉本がわざと空振り三振で併殺を防ぎ、打席をTに回します。その3球目でした。放物線を描いた打球は右翼ポール際、惜しくもファウルに。しかし最後の最後まで大観衆を沸かせてくれました。 試合終了後は最終戦セレモニー。挨拶をしていた中嶋監督が、突如比嘉と小田を呼び寄せます。予想外の無茶ぶりでしたが、ふたりともしっかり応えてくれました。さすが中嶋監督です。 そして、Tと安達の引退セレモニーも涙、涙でした。ふたりより泣いているますだおかだ岡田と丈一郎くんにもますます泣かされました。 本当に終わりなのだなあ…。 ひとつの時代が終わってしまうのだなあ…。 試合がなかったので翌日もずっとしんみりしてしまいました。 9/26 vsM ○ さて、もうおしまいの気分ですがビジターゲームはまだ残っています。終わり良ければすべて良し、なんとか白星を増やしてシーズンを終えてもらいましょう。 苦手のカイケルを相手に、打線は3回、5回、6回と得点を重ねていきます。先発曽谷は勝ち星のないマリンでたびたびランナーを背負うも、ともに犠飛の2失点にとどめ同点を許しません。 7回からは鈴木に交代。一死満塁でソトという逃げ場のない大ピンチで併殺に仕留め、難を逃れます。するとその直後、昇格していた大城が本日2打点目となるタイムリーで追加点。守備の安定感は相変わらず抜群ですし、ずっといてくれないと困る選手なのですよね…。 マチャドが体調不良で抹消されていたため、2点差の9回はペルドモが登板。しかし二死から連打を浴びて、ソトに打順が回ってしまいます。3球目のスライダーはやや甘く、打った瞬間逆転サヨナラホームランを確信して「ウギャー!」と叫んでしまいましたが、センター渡部のグラブの中におさまりました。_:(´ω`」 ∠):_ ペルドモまで劇場型なの…? 9/28・29 vsE ○○ 髙島は前回の楽天戦、同じ仙台で黒星を喫して以来の先発です。初回に先制されてしまいますがその後は無失点でしのいでいるうち、4回にようやく味方打線が援護に成功。今季初先発の田中将から三連打で満塁にすると、セデーニョの犠飛で同点に追いつき、渡部がスクイズを決め、若月がタイムリーを放ち計3得点という、オリックスとは思えない鮮やかな逆転劇でした。5回に太田がホームランを放ち3点差にしたその裏を髙島が投げ切り、勝ち投手の権利を手にします。 6回にはおととい昇格していた茶野が内野安打で追加点。ここにきて打線がつながり始める不思議。 6・7回は鈴木が回またぎで抑え、8回は吉田→山岡で無失点。9回はペルドモが〆て快勝! 観られなかったのが残念! 心配なのは肘の違和感で交代した吉田の状態です。ここに来てまた怪我人が出てしまうとは…。大事なければ良いのですが。 翌日はこの消化試合の中、唯一の見どころと言っていい宮城。規定まであと2試合、防御率タイトルも射程圏内です。力みもあってかやや球数を要する立ち上がりとなりましたが、無失点を続けていくうち、4回にようやく援護点が。5回にもオリらしくない繋がりで一挙5得点。相変わらず仙台には強い。なぜこれを他の試合でできない! 宮城は6回の満塁のピンチもしのぎ、7回までゼロで投げ抜きました。さあ、あと1試合。舞台が同じ仙台、同じ相手というのは良いのか悪いのかわかりませんが、気負わず気楽に投げられるような状況に持っていってほしいです。 25日にはゴンザレスの引退報道がありました。最終戦セレモニーにいないと思ったらそういうことだったの…。 ゴンザレスは昨年の優勝に貢献してくれた偉大なメジャーリーガーでした。どこを守っても一流で、これぞユーティリティープレーヤーというプレーをいくつも見せてくれました。華麗なフィールディングや素手キャッチ、ここぞの一発に確信歩きのフェン直…。日本シリーズで傷心の宇田川をハグして慰めていた優しさも忘れられません。お別れの場を設けてほしかったよー。・゚・(ノД`)・゚・。
9/18 vsL ●
先制しても「このまま終わるわけがない」と言い切れるチーム状態。案の定、その裏あっさり同点に追いつかれ、2回に勝ち越しされると、もう敗北を確信してしまうというこの打たれ弱さです。うまくいかない時は何をしても本当になーんにもうまくいかないのはなぜでしょう。3回、先頭渡部がヒットで出塁したにもかかわらず、エンドラン失敗で三振ゲッツー。この攻撃(&失敗)パターン、かつてよく見ましたね…。エスピノーザは7回まで投げ切り序盤の2失点のみ。これだけだと負ける内容ではないのですが、なにせ打線がね…ビハインドだと撤収モードですからね…。福永も毎日受け慣れていない先発陣相手に頑張っていますし、打席でも粘れていますから、アピールはできていると思うのですが。 9/20 vsH ● あたりまえに負けるようになってくると、末期症状です。精神のバランスを保つため、試合の記憶が完全に抜け落ちるようになります。翌朝、ネットニュースを見て、「あ、昨日も試合あったんだった」と思い出しました。坂上どうぶつ王国を観ながら速報は確認していたはずなのですが。トシのせいではありません、防衛本能です。 というわけで一球速報で復習しましたが、初回に攻め切れず以降は無抵抗、相手はきっちりチャンスを生かし、淡々と終わる、と。何の見どころもありませんでした。 こんな状態で、引退試合は大丈夫なのか…? 最終戦でヤジの飛び交う光景はもう二度と見たくないのですが…。 9/21 vsF ○● 試合観戦へのモチベーションは低下していたものの、山下の先頭からの9アウトすべて三振という投球には痺れました。2回など無死満塁から三者三振という離れ業。そのぶん球数を要し6回106球で降板となったものの、12奪三振1失点という「これが見たかった!」というシュンペーターの姿でした。4月も福岡でこんな投球を見たかったわあ…。しかしこの回り道も山下にとって必要な経験だった、と言い切れるくらいに来年は最初から相手を圧倒する投球をしてほしいですね! で、そんな山下に勝ちどころか負けをつけようとするオリ打線。重症です。いくら北山が良いからって…、って、どうしてオリックス相手だとみんな好投するんだい? ようやく8回、唯一北山に合っていた大里にバントさせてまで一死二塁のチャンスを作りますが(ちなみにこれがはじめての二塁到達という…)、ベンチスタートの代打紅林が当てるだけのゴロ、前日から1番復帰していた廣岡も打てずに無得点。相手の抑えは天敵田中、今年何度目か数えるのもイヤになるくらいの1-0負けが現実味を増してきました。 しかし、先頭の西野がヒットで出ると球場が熱を帯びます。太田は三振するものの、本日昇格していた森がヒットを放ち、代走山足は三塁へ。そして打席は杉本、4球目をセンターへ打ち返し同点タイムリー! なんと84イニングぶりのタイムリー!(異次元の記録) さらにすっかり絶不調の西川がストレートの四球を選ぶも、7番は8回にセデーニョの代走として途中出場していた渡部。「え、代打なし?」と首をひねったものの、目先の一勝にこだわるより若手に機会を与えることを優先したのでしょう。延長を覚悟しましたが、渡部は4球目の変化球をコンパクトにライト前へ打ち返しました! まさかまさかの逆転サヨナラ勝ち! なんだか小田の姿がかぶって見えたのは気のせいでしょうか。サヨナラ男の小田もよくこんなヒットを放っていました。守備はピカイチなのですから、走塁と打撃を磨いて小田のような頼もしい存在になってほしいものです。 例によって、ひとつ勝つと突如として強気になるオリファン。打線もつながるようになった(はずだ)し、日ハムキラー宮城ですから、ひさしぶりに前のめりで試合開始を待ちました。デーゲームではソフトバンクが楽天に勝ち、夜に日ハムがオリに敗れると優勝決定という段階になっています。ペイペイドームの外でパブリックビューイングしているファンのためにも、オリが勝って優勝を決めてさしあげましょう。 宮城はさすがエース、三者三振と絶好調の立ち上がり。2回には紅林のセンターオーバーのタイムリーで先制、理想的な展開になります。しかし3回表。先頭上川畑にヒットを打たれるも、怖いマルティネスを抑えた直後、9番水野の2球目でした。高めのストレートはやや不用意な一球に見えました。パッカーンと飛んで行った打球はまさかまさか、ライトスタンドへ。 …ボーゼン。 宮城はその一球以外、ほぼ完璧な内容でした。しかし相手の加藤もまた、2回以降完璧でした。両左腕のほぼ互角の投げ合いは、あっという間に終盤へ。 敗色濃厚になってきた7回裏。ヒットで出た森が盗塁を決め、二死二塁。28打席ヒットのない西川ですから、正直期待はしていませんでした。しかし低めのフォークをすくい上げる西川らしいバッティングで、打球はレフト前へ! 森が還ってどうてーん! さらに盗塁でなおも二死二塁。ここで紅林に期待したものの、今度は外野の頭を超えませんでした。 8回表、宮城は二死一・二塁とピンチを背負います。レイエスに対しカウント2-2から投じたきわどい球をボール判定されて思わず膝を折るも、心は折らずに空振りを奪って渾身のガッツポーズ。 ここで降板かなと思っていたので、9回の続投には驚きました。さすがに限界だったのか、先頭万波に二塁打を打たれ、バントで三塁へ進んだ代走五十幡が松本剛のゴロで生還、勝ち越しを許してしまいます。しかしここはなんとか当てて転がした松本剛と、五十幡の驚異的な脚力を褒めるしかありません。西野がストライク送球できていてもおそらくセーフだったでしょう。控えのふたりがしっかり仕事を果たしたあたり、さすが上位球団だなと感服しました。 その裏、完投した加藤に手も足も出ず二桁勝利を献上、宮城はあえなく完投負けで二桁黒星リーチとなりました。あと2試合、なんとか2勝をもたらしてほしいものです。9回の続投は規定投球回到達のためでしょうから、必ず達成してもらいましょう。最優秀防御率のタイトルは相手もあることですから、転がりこんでくればラッキー程度の期待ですが、できれば無失点投球で1点台でフィニッシュしてくれれば良いなと思います。 さて、日ハムが勝利したことでソフトバンクの優勝はM1でお預けとなりました。先週胴上げ見届けを回避した時点で、次の京セラ戦ですでに優勝を決めているだろうと予想していたのに…まさか回ってきちゃうとは…。 9/23 vsH ● 三連休の最終日のナイターなのに超満員の京セラドーム。相手にとっては大一番となる一戦です。 先発才木は初回先制された直後に味方が逆転したにもかかわらず、追加点を取れないうちに4回、3失点で再逆転を許してしまいます。さらに5回も回またぎの椋木が3失点と、完敗ペースの展開に。6回裏、来田に2ランが出るものの手をゆるめないソフトバンク。佐藤がエラーがらみの2失点でダメ押しされると、大差がついても杉山→ヘルナンデスの継投でアッサリ試合終了、2014年以来の優勝見届け人となりました。 ソフトバンクの強さについては素直に脱帽ですけれども、今日も例によって何のみどころもない展開でした。もうちょっとこう…昨年の優勝チームとしての意地を見せてほしかったという思いが拭い切れません。優勝インタビューで小久保監督が「三連覇したオリックスがいたからこそ…」とリップサービスしてくれましたけれども、とてもその賛辞とは見合わない試合内容で恥ずかしくなりました。あと、オリファンとしてもプロ野球ファンとしても、最後のセデーニョは見逃しではなく空振り三振で終わってほしかった…。 |
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