11/21 ☆H-G
東京ドームが使えないため、京セラドームから始まった2020年の日本シリーズ。 ああ、見慣れたはずの京セラが…オレンジに染まっている…。アナウンスの声も違うし、巨人のチャンス時に応援歌が流れるし…。こんなの京セラと違う…。 しかし、そこで躍動する黒いユニフォーム、外野の間を割った打球を追いかけていく白いユニフォームには、ひっじょおおおーーーーに既視感を憶えました。 正直、巨人を全力応援していました。理由はひとつ、少しでも長く野球を楽しみたいからです。ソフトバンクなんざ、応援しようがしなかろうがどうせ日本一になるのです。巨人の試合はほとんど観ていませんし、セ・リーグを大差で優勝したことも知っていますが、昨年の日本シリーズでその力差を感じましたし、今年のソフトバンクの強さも身を持って実感していますから、巨人が、いやセ・リーグが束になってかかってきても太刀打ちできないことは断言できます。なんなら11球団連合軍でもせいぜい善戦が関の山でしょう。 「今年のソフトバンクの強さ」と書きましたが、毎年強いソフトバンクでもその中身は同じではありません。 千賀・甲斐・柳田・グラシアルなど、主力だけなら去年と同じように見えますが、激しい一軍争いを勝ち上がってきた貪欲な戦力がそこへ加わってきているのです。 それが周東、そして栗原です。 巨人自身、昨年のシリーズで周東にかき回されていますし、今年はタイトルホルダーにもなってマスコミが戦前こぞって取り上げましたから、対策してこないわけがありません。菅野もマウンドに上がった時から相当意識していたようでした。で、周東封じには成功しました。 失敗したのは栗原です。誰がどう見ても、無策でした。 栗原のもっとも恐ろしいところは、彼の脅威がぱっと見ではわからないところです。打率2割4分、CSではノーヒット。そして去年まではスタメンはおろか一軍定着もままならず、交流戦のなかった今年、その顔を今日初めて知ったセ・リーグファンも多かったのではと思います。 しかし、なぜそんな無名だった栗原が、内川を二軍に塩漬けにしてまでスタメン起用され、あまつさえデスパイネを差し置いて5番を打っているのか。その答えが、今日の試合に凝縮されていました。 ソフトバンクの強さの理由のひとつは、チーム内の激しいスタメン争いにあります。打たなくても許されるのは柳田せいぜいグラシアルくらいで、あとのメンバーはすべて当落線上に立たされています。栗原ももちろん例外ではありません。ましてや短期決戦、打てなければ即ベンチ。来季の信頼度にもつながります。初体験のCSで結果を出せなかった栗原は必死だったでしょう。そしてCS以降の練習期間で、「5番栗原でいける」と首脳陣を信用させるものが確実にあったということです。豊富な戦力を抱えているからこそ生まれる競争意識であり、工藤監督が選手起用にシビアな指揮官であることも原因ですが、これは巨人には(もちろん他の全チームにも)存在しないチームカラーでしょう。 周東や柳田対策をしてきたことは感じましたが、栗原をおろそかにしたのは巨人の大きな戦略ミスだったと思います。まあ、ソフバンの戦力からすると「対策してきたからどないやっちゅうねん」という気もしますが。 攻撃でも、千賀のフォークを見極めてランナーを溜めたあたりはさすがだなとは思いましたが、その他の球種を打てなければ意味ありません。とくに丸は広島時代からソフトバンク相手の日本シリーズでは完全にドツボです。この日も無死一・二塁で併殺と、四球から崩れることの多い千賀を攻略できる唯一のチャンスを潰してしまいました。DHで亀井をぶっつけ起用しましたが本調子ではなさそうですし中島が普通にスタメンだし、たとえ菅野が栗原を抑えていたとしても、千賀を(そしてこの後出てくるソフバン投手陣を)攻略するのは、この打線ではやはり困難なように感じます。 さらに、二番手の戸郷を後ろに回すのは良いとして、4点差で投げさせたのは解せませんし、しかもその後に高橋を出してちゃっかり追加点を献上したのも、采配に噛み合わなさを感じます。 今年の工藤監督は、ベンチでタブレットを見ていません。昨年まではCSから奇策を用いて、相手の足を引っ張り蹴り落としていきました。優勝した今年は、どっしり横綱相撲で挑むのだと思います。実際、打順も継投もシーズンどおりです。つまり、逆に奇襲をしかけていけばつけいる隙はあったかと思います。かつてDeNAは、その手でソフトバンクを追い詰めかけました。 しかしその時のDeNAも、3位からの日シリ出場チーム。巨人はセ・リーグの優勝チームである以上、横綱同士の優勝決定戦で変化をしかけるような真似はできかねるのでしょう(そんな奇策が果たしてあるのか、できるのかどうかは置いておいて)。しかも原監督に積極的に動く印象はありません。 が、このまま何もせず対ソフトバンクの連敗を伸ばしていくのはちょっとどうかと…。 PR |
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