◇『ノック 終末の訪問者』 ★★☆☆☆
僕もシャマランの映画は10本以上観ているので、良いシャマランと悪いシャマランの両方共よ~く知っています。今回は悪いシャマランでした。1つの思いつきだけで強引に作り、まったく練られていない設定やストーリーに、あっけにとられるほどの弱いオチです。僕にキリスト教の知識がなく、終末観がどんなものかわからないとかは関係ありません。単純にいつもの悪いシャマランです。しかし今回のラストは特にひどいですね。そのまますぎるでしょ。
ゲイカップルと養子のアジア人少女が主人公なのですが、監督のシャマランは確かアジア人の女の子を養子にしていたはずなので(シャマランはインド系)、そういう自分に酔っているのもよくわかりました。
◇『ミーガン』 ★★★★☆
この映画は面白かったんですが、子どもに必要なのは生身の人間との関わりなんだよとか、辛い感情を持つのは人として当たり前のことなのでそれを誤魔化すのではなく向き合ってくれる人の存在が大切なんだよとか、そんな有り体のテーマに感動したのではなく、純粋なエンタメ作品として面白かったですね。
ミーガンが発達障害の悪ガキとか隣の家の犬飼ってるババアとかを殺したりするとこがスカッとして楽しいです。ジェマの上司を殺すあたりはちょっと不条理すぎるなあとも思いますが、悪役が魅力的な映画は面白いです。
◇『X エックス』 ★★★☆☆
僕もけっこうなじじいになってきたので、パールのように自分の老いを受け入れられず、自分の思い描いていた人生でなかったと嘆くのは理解できますが、かといって若者に嫉妬したり憎んだりする気持ちはまったくなく、むしろ自分と同年代か年上のジジババが大嫌いなので、パールの若者に対する暴走はちょっと理解できませんでしたね。また、パールと対比して描かれる上昇志向が強くブレない心を持つ女主人公のマキシーンに、外見も性格もまったく魅力を感じなかったため、そこまで面白くはなかったですね。
◇『すばらしき世界』 ★★★☆☆
良くまとまっていますし、ケチをつけるところは特にないのですが、社会的弱者の生きづらさと、そんな社会でのひとすじの希望、みたいなテーマは扱いやすいと思いますし、主人公の三上の愚直で正義感が強いが、気が短くキレると暴力に頼ってしまうという、とにかく生きるのが不器用なんだよこの人はという人間像もとてもありきたりです。西川美和監督の映画はデビュー作から観ていますが、なんでこんなベタな設定の映画を撮ったんだろう、ちょっと大御所感が出てきたなと思いますね。
もともとこの監督は、ごく普通に生きてる一見善良な人間が持つ、小さなほつれのようなイヤな部分を、じわーっと染み渡るように描くのが上手かったのですが、こんな映画でそういう繊細でクセのある演出は不要ですから、別にこの監督が撮らなくてもいいのかなと思います。ラストも好きじゃないですね。何ですかあの心の底から善良な人物として描かれた障害者にもらったコスモスは。あれがこの社会のひとすじの希望ですか。
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